非圧縮性流体の基礎方程式のひとつに、次に示す連続の式がある。
これは、質量保存則および密度が一定であることを利用して導き出されるが、次のように体積変化率 の物質微分(物質時間導関数)を考えることでも導き出される。
上式に と を代入することで、連続の式が得られる。
なお、流体が非圧縮性であるか否かは流体の物性ではなく、流れの性質、具体的にはマッハ数による[1]。
固体力学において、体積ひずみという概念がある。ここでは、体積ひずみ と体積変化率 との関連性について述べ、非圧縮性のもとで体積ひずみが0となることを示す。
変形勾配テンソル は、変位勾配テンソル と恒等テンソル を用いると次のように表される。
ここで、変形勾配テンソル は
である。 は変位を表す。
変形勾配テンソル の各要素は変位勾配テンソル(の成分) を用いると、以下の様に表される。
よって、体積変化率 を変位勾配テンソル で表すと、下の式を得る。
ここで、 および は変位勾配の2次の項と3次の項を表す。非圧縮性であることから、 とすると、結局次の式を得る。
微小変形を考えると、 と が無視でき、
となるため、次の式を得る。
上記のように、非圧縮性から体積ひずみが0となることが示された。
- ^ Joel H. Ferziger; Milovan Prić 著、小林敏雄、谷口伸行、坪倉誠 訳『コンピュータによる流体力学』シュプリンガー・フェアラーク東京、2003年、2頁。ISBN 4-431-70842-1。