軽蔑 (1963年の映画)
『軽蔑』(けいべつ、Le Mépris)は、1963年製作・公開、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・イタリア合作の長篇劇映画である。
軽蔑 | |
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Le Mépris | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
原作 | アルベルト・モラヴィア |
製作総指揮 |
ジョルジュ・ド・ボールガール カルロ・ポンティ ジョーゼフ・E・レヴィーン |
出演者 |
ブリジット・バルドー ミシェル・ピコリ ジャック・パランス ジョルジア・モル フリッツ・ラング |
音楽 |
ジョルジュ・ドルリュー ピエロ・ピッチオーニ イタリア・スペイン版 |
撮影 | ラウール・クタール |
編集 | アニエス・ギュモ |
製作会社 |
ローマ・パリ・フィルム レ・フィルム・コンコルディア コンパニア・チネマトグラフィカ・カンピオン |
配給 |
マルソー=コシノール 日本ヘラルド映画 |
公開 |
1963年10月29日 1963年12月20日 1964年11月22日 |
上映時間 | 102分 |
製作国 |
フランス イタリア |
言語 |
フランス語 英語 ドイツ語 イタリア語 |
製作費 | 90万米ドル |
概要
編集ゴダールの長篇劇映画第6作である。アルベルト・モラヴィアの同名小説を原作に、当時、2年前に結婚したばかりの妻アンナ・カリーナとの愛の問題に苦悩したゴダールが、自己を投影し、愛の不可能性を描いた[1]。当時の日本同様、斜陽化著しいヨーロッパの映画産業での映画づくりを描き、ハリウッド一辺倒の世界への不安も描かれている[1]。ドイツのサイレント映画の巨匠で、戦後アメリカのB級映画作家となったフリッツ・ラングが本人役で出演し、愛の問題にも映画産業の問題にも的確な言説を吐いている[1]。
本作は1963年4月から5月に、イタリア南部・カンパニア州ナポリ県にあるカプリ島、およびラツィオ州にあるローマ市内のイタリア国立撮影所チネチッタでロケーション撮影が行われた。
アメリカ人プロデューサーとの撮影が頓挫するフリッツ・ラングは、劇中で映画『オデュッセイア』を撮ろうとしているが、現実世界のラングは、1960年の『怪人マブゼ博士』以降の監督作はなく、同作が遺作になっている。ゴダールがラングの助監督として本作に登場している。
本作は、フランスより先にイタリアで公開されたが、イタリア版では、ジョルジュ・ドルリューの音楽が、ピエロ・ピッチオーニの軽快なジャズに差し替えられて公開された。
ストーリー
編集女優カミーユ・ジャヴァル(ブリジット・バルドー)と脚本家のポール・ジャヴァル(ミシェル・ピッコリ)は夫婦である。夜、ふたりのアパルトマンのベッドルームでの会話は無意味、でもそれは夫婦らしいものであった。
翌朝、ポールはアメリカから来た映画プロデューサー、ジェレミー・プロコシュ(ジャック・パランス)と会った。ジェレミーはフリッツ・ラング(本人)が現在撮影中の映画『オデュッセイア』があまりにも難解であるとし、この脚本のリライトをポールに発注してきた。昼になって、カミーユが現れ、夫妻はジェレミーに自宅に誘われた。自宅でジェレミーは、カミーユをカプリ島でのロケーション撮影に来ないかと言う。それは夫が決めること、とカミーユは答えた。
アパルトマンに帰った後のポールとカミーユは、なぜかしっくりこない。夜、ふたりは別々の部屋で寝ることになる。ジェレミーから再び、カミーユへのロケのオファーの電話があった。ポールはポールで、本人次第だと答えてしまう。電話の後で激したカミーユは、ポールを軽蔑すると言い放つ。ジェレミーの誘いで映画館に行った後、カミーユはオファーを承諾した。
カプリ島。ここにはジェレミーの別荘がある。撮影現場でラング監督とはやはりうまくいかないジェレミーは、カミーユに、別荘へ戻ろうと言う。カミーユはポールを一瞥するが、ポールは、カミーユがジェレミーと別荘に帰ることを軽く承諾した。ポールは、それよりも、ラング監督との映画『オデュッセイア』の問題について議論をつづけたいのだ。
遅れて別荘に着いたポールは、カミーユに、あの日ポールに言い放った「軽蔑」ということばの真意を問いただす。答えはなかった。
翌朝、ポールに手紙が届く。そのカミーユからの手紙には、ジェレミーとローマへ発つと書かれていた。おなじころ、ハイウェイで派手な衝突事故が起きていた。大型車にぶつかり大破したスポーツカーには、血まみれの男女の死体があった。ジェレミーとカミーユの変わり果てた姿であった。
スタッフ
編集- 監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
- 撮影監督:ラウール・クタール
- 原作:アルベルト・モラヴィア
- 録音:ウィリアム・ロバート・シヴェル
- 編集:アニエス・ギュモ
- スクリプター:シュザンヌ・シフマン
- 音楽:ジョルジュ・ドルリュー / ピエロ・ピッチオーニ (イタリア・スペイン版)
- 助監督:シャルル・L・ビッチ
- 製作主任:フィリップ・デュサール、カルロ・ラストリカッティ
- パブリシスト:アニー・ショヴェ、ベルトラン・タヴェルニエ
- プロデューサー:ジョルジュ・ド・ボールガール、カルロ・ポンティ、ジョゼフ・E・レヴィーン
- 製作:ローマ・パリ・フィルム、レ・フィルム・コンコルディア、コンパニア・チネマトグラフィカ・カンピオン
キャスト
編集役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
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テレビ版1 | テレビ版2 | ||
カミーユ・ジャヴァル(女優) | ブリジット・バルドー | 北島マヤ | 渋沢詩子 |
ポール・ジャヴァル(脚本家) | ミシェル・ピコリ | 滝田裕介 | 臼井正明 |
ジェレミー・プロコシュ(映画プロデューサー) | ジャック・パランス | 大塚周夫 | |
フランチェスカ・ヴァニーニ | ジョルジア・モル | 北浜晴子 | |
フリッツ・ラング(映画監督) | フリッツ・ラング[2] | 早野寿郎 | |
ラングの助監督 | ジャン=リュック・ゴダール | ||
撮影監督 | ラウール・クタール | ||
シレン | リンダ・ベラス |
- テレビ版2:初回放送1970年9月21日『月曜ロードショー』
評価
編集レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは59件のレビューで支持率は92%、平均点は8.60/10となった[3]。
関連書籍
編集- アルベルト・モラヴィア『軽蔑』、大久保昭男訳、至誠堂、1964年 / 至誠堂新書、1965年
- 池澤夏樹個人編集 世界文学全集 Ⅱ=03『マイトレイ/軽蔑』河出書房新社、2009年5月
- ISBN 4309709559。併収はミルチャ・エリアーデの半自伝的作品、住谷春也訳。
註
編集- ^ a b c allcinemaサイト内の記事「軽蔑」の記述を参照。
- ^ 本人役での出演
- ^ “Le Mépris (Contempt)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月16日閲覧。