(とび ひろたか、1960年 -)は、島根県出身のSF作家島根県立松江南高等学校、島根大学卒業。日本SF作家クラブ会員。

飛 浩隆
(とび ひろたか)
ペンネーム とび 浩隆ひろたか
誕生 1960年????
日本の旗 日本島根県
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 島根大学卒業
活動期間 1982年 -
ジャンル サイエンス・フィクション
代表作 『グラン・ヴァカンス』シリーズ
主な受賞歴 日本SF大賞(2005年7月、2018年4月)
デビュー作 『ポリフォニック・イリュージョン』
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示

略歴

編集

1981年、大学在学中に「ポリフォニック・イリュージョン」で三省堂SFストーリーコンテスト入選[1]。就職1年目から、石飛卓美が主宰するファングループ「山陰SF創作会」に参加[2]

1982年、『S-Fマガジン』誌上でデビュー作「ポリフォニック・イリュージョン」を発表。以降『S-Fマガジン』誌上で中短編10作品を発表する。

1992年の「デュオ」を最後に2002年まで作品の発表が途絶える。

2000年から2002年にかけて、既発表の全作品をまとめた『神魂別冊 飛浩隆作品集』(全3巻)がファンにより出版される(私家版)[3]。2002年9月、〈廃園の天使〉シリーズ第1作の『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』がハヤカワSFシリーズ Jコレクションから刊行。

2005年7月、「象られた力」で第36回星雲賞日本短編部門を受賞。同年12月、中篇集『象られた力』で第26回日本SF大賞を受賞。2007年度から2009年度まで日本SF大賞選考委員となる。

2007年9月、『ラギッド・ガール 廃園の天使II』で第6回センス・オブ・ジェンダー賞を受賞。

2010年8月、「自生の夢」で第41回星雲賞日本短編部門を受賞。

2015年8月、「海の指」で第46回星雲賞日本短篇部門を受賞。2016年度から2018年度まで、再び、日本SF大賞選考委員となる。

2018年4月、『自生の夢』で第38回日本SF大賞を、選考委員をつとめながら受賞。日本SF大賞は2度目の受賞となった。

2019年7月、『零號琴』で第50回星雲賞日本長編部門を受賞。

作品

編集

共通のバックグラウンドを持って書かれている作品は次のとおり。

  • 〈廃園の天使〉シリーズ
    • 長編3作と関連中短編で構成される予定。現在長編1(『グラン・ヴァカンス』)、中短編集1(5作収録)が出版されている。
  • 「リットン&ステインズビー協会」が出てくるシリーズ
    • 『夜と泥の』
    • 『象られた力』

〈廃園の天使〉シリーズ

編集
  • グラン・ヴァカンス 廃園の天使I(早川書房 Jコレクション 2002年9月 ISBN 978-4-15-208443-9 / ハヤカワ文庫JA[4] 2006年9月 ISBN 978-4-15-030861-2
  • ラギッド・ガール 廃園の天使II(早川書房 Jコレクション 2006年10月 ISBN 978-4-15-208767-6 / ハヤカワ文庫JA 2010年2月 ISBN 978-4-15-030983-1
    • 夏の硝視体(初出:『S-Fマガジン』2002年10月号)
    • ラギッド・ガール(初出:『S-Fマガジン』2004年2月号)
    • クローゼット(初出:『S-Fマガジン』2006年4月号)
    • 魔述師(書き下ろし)
    • 蜘蛛(ちちゅう)の王(初出:『S-Fマガジン』2002年11月号)
  • 空の園丁 廃園の天使III(連載中)
    • 『S-Fマガジン』2005年4月号に第1章第1節が先行掲載
    • 『S-Fマガジン』2007年4月号に第二部冒頭が「蜜柑」として先行掲載
    • 『S-Fマガジン』2020年2月号より連載開始

零號琴

編集

中短篇集

編集
  • 象られた力[7] (ハヤカワ文庫JA 2004年9月 ISBN 978-4-15-030768-4
    • デュオ
    • "呪界"のほとり
    • 夜と泥の
    • 象られた力
  • 自生の夢(河出書房新社 2016年11月 ISBN 978-4-309-02521-6 / 河出文庫 2019年12月 ISBN 978-4-309-41725-7
    • 海の指
    • 星窓 remixed version(初出:『SF Japan』2006 Spring)
    • #銀の匙
    • 曠野にて
    • 自生の夢
    • 野生の詩藻(旧題:La Poésie sauvage)
    • はるかな響き
  • ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成(河出書房新社 2018年5月 ISBN 978-4-30-902669-5
    • ポリフォニック・イリュージョン(初出:『S-Fマガジン』1982年1月号)
    • 異本:猿の手(初出:『S-Fマガジン』1983年9月号)
    • 地球の裔(初出:『S-Fマガジン』1983年11月号)
    • いとしのジェリイ(初出『S-Fマガジン』1984年6月号)
    • 夢みる檻(初出:『S-Fマガジン』1986年4月号)
    • 星窓(初出:『S-Fマガジン』1988年2月号)
  • ポリフォニック・イリュージョン 飛浩隆初期作品集(河出文庫 2021年10月 ISBN 978-4-309-41846-9) - 『ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成』から小説作品を収録し、下記の超短編5編を追加収録。
    • 洋服(初出:スミダカズキ『OUT TO LAUNCH!』2016年11月)
    • 洋服(二)(初出:ウカイロ9『THE END IS THE BEGINNING IS THE END』2019年8月)
    • #金の匙(初出:青山ブックセンター本店イベント「2010年代のSFを語る」来場者特典 2020年2月23日)
    • おはようケンちゃん(初出:著者Twitter 2020年9月7日)
    • 食パンの悪魔(初出:『小説すばる』2021年1月号)

アンソロジー収録作品

編集
  • "呪界"のほとり(『S-Fマガジン・セレクション 1985』 ハヤカワ文庫JA)
  • 象られた力(『S-Fマガジン・セレクション 1988』 ハヤカワ文庫JA)
  • はるかな響き Ein leiser Tone(初出:TORNADO BASE answer songs 2008年6月20日 / 『サイエンス・イマジネーション 科学とSFの最前線、そして未来へ』NTT出版 2008年8月)
  • 自生の夢(初出:『NOVA 1 書き下ろし日本SFコレクション』河出文庫 2009年12月 / 『THE FUTURE IS JAPANESE』ハヤカワSFシリーズ Jコレクション 2012年7月/ 『日本SF短篇50 5』ハヤカワ文庫JA 2013年10月)
  • #銀の匙(『NOVA 8 書き下ろし日本SFコレクション』河出文庫 2012年7月)
  • 曠野にて(『NOVA 8 書き下ろし日本SFコレクション』河出文庫 2012年7月)
  • La Poésie sauvage(初出:『現代詩手帖』2015年5月号 思潮社 / 『アステロイド・ツリーの彼方へ 年刊日本SF傑作選創元SF文庫 2016年6月)
  • 海の指(初出:モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ 2014年10月14日[8] / 『ヴィジョンズ』講談社 2016年10月)
  • 射線(『BLAME! THE ANTHOLOGY』ハヤカワ文庫JA 2017年5月)
  • 洋服(『行き先は特異点 年刊日本SF傑作選』創元SF文庫 2017年7月)
  • 流下の日(『NOVA 2019年春号』 河出文庫 2018年12月)
  • ジュヴナイル(文学ムック「たべるのがおそい」vol.7 書肆侃侃房 2019年4月)
  • 「方霊船」始末(初出:『S-Fマガジン』2018年4月号 / 『おうむの夢と操り人形 年刊日本SF傑作選』創元SF文庫 2019年8月)
  • 鎭子(初出:『文藝』2019年夏季号 / 『ベストSF2020』竹書房文庫 2020年7月)
  • 空の幽契(『ポストコロナのSF』ハヤカワ文庫JA 2021年4月)
  • 緋愁(『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』柏書房 2021年6月)
  • 第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評(『異常論文』ハヤカワ文庫JA 2021年10月)

書籍未収録作品

編集
  • 『零號琴』削除されたシーン(『S-Fマガジン』2018年12月号)
  • サーペント(『S-Fマガジン』2019年4月号)
  • 未の木(『群像』2020年1月号)
  • 鹽津城(『文藝』2022年秋季号)

評論・エッセイ

編集
  • SFにさよならをいう方法 飛浩隆評論随筆集(河出文庫 2021年12月 ISBN 978-4-309-41856-8) - 『ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成』の評論・随筆パートを増補。

原案

編集

脚注

編集
  1. ^ 早川書房のサイトを含め各サイトにおいて「異本:猿の手」が入選作・デビュー作とされているが間違い。
  2. ^ 飛浩隆『SFにさよならをいう方法』(河出文庫)、P.265
  3. ^ 神魂別冊 「飛浩隆作品集」 刊行のお知らせ”. 2019年7月28日閲覧。
  4. ^ Jコレクション版一部改稿
  5. ^ 『S-Fマガジン』2010年2月号~2011年10月号連載(全19回)を大幅に加筆訂正の上単行本化。
  6. ^ もうひとつの『零號琴』がここに――SFマガジン連載版をそのまま電子書籍化した『零號琴〔SFマガジン連載版〕』配信中!”. Hayakawa Books & Magazines(β) (2019年2月8日). 2020年2月1日閲覧。
  7. ^ 『象られた力』収録作品はすべてが『S-Fマガジン』掲載時のものに加筆訂正されている。特に表題作「象られた力」については大幅な変更が加えられている。
  8. ^ 海の指/飛浩隆 (1/8)”. モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ. 講談社 (2014年10月14日). 2021年11月2日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集