詩的許容
詩的許容(してききょよう、羅: licentia poetica)とは、詩において韻律やリズムなどの効果を上げるために、必要に応じて通常の文法等、言語の規則を逸脱してもかまわないということ[1][2]。例として、語順の変更[2][3](語位転換[4])、省略[4]、造語[2]、古語の使用[2]、方言の使用[5]、縮約[2]、発音[2](音の脱落[6])や品詞[2]の変更、綴字の変更[4]、論理の逸脱[3][6]、擬人化[6]が挙げられる。ポエティック・ライセンス(英語 poetic license)[7]、詩的自由、詩的破格[8]、詩的逸脱[9]とも。
どの程度の逸脱が許されるかは、詩的効果の大きさにもよる[3]。時に病的なまでの度合いの逸脱が行われることもある[5]。
言語や詩の他、美術や芸術全般における逸脱については同様に芸術的許容(英語 artistic license)と呼ばれる[10]。このほか言語規範からの逸脱を用いるものとして、ロシア・フォルマリズムの「異化」がある[6]。
古典と現代
編集詩においては、古典詩が詩法を踏まえながらの逸脱を許すのに対し、現代詩はもともと制約を度外視する傾向が強い。このため、詩的許容は主に古典詩の分野で議論される[4]。
正確性
編集出典
編集- ^ 堀内利美「<報文>Enoch Ardenにおける聴覚的価値」『仙台白百合短期大学紀要』第21巻、学校法人白百合学園 仙台白百合短期大学、1993年、47-62頁、doi:10.24627/ssjc.21.0_47、ISSN 0286-4924、CRID 1390282763020625536。
- ^ a b c d e f g 小西弘信『英語文学概論』広島文教女子大学、2018年、1-90頁 。
- ^ a b c 集英社 世界文学大事典5巻p.349「詩的許容」藤巻明
- ^ a b c d 鈴木信太郎「下巻「詩的許容」の章」『フランス詩法』白水社、1950年。doi:10.11501/1692362。NDLJP:1692362 。
- ^ a b Geoffrey N. Leech, "A Linguistic Guide to English Poetry", Chapter Three: Varieties of Poetic License.
- ^ a b c d 川口喬一『最新文学批評用語辞典』「詩的許容(してききょよう)」
- ^ 英詩の詩的許容(Poetic licence)について書かれている資料は無いか。| レファレンス協同データベース
- ^ 『文芸用語の基礎知識 増補改訂版』、赤塚行雄「詩的自由」の項
- ^ パーヴェル・フロレンスキー, 熊野谷葉子「パーヴェル・フロレンスキーコストロマ県ネレフタ郡のチャストゥーシカ集』(1909)を読む」第28巻、東京大学大学院人文社会系研究科スラヴ語スラヴ文学研究室、2013年、hdl:2261/54258。
- ^ 今井清「日本的空間とデザインについて」『デザイン理論』第7巻、関西意匠学会、1968年11月、5-18頁、hdl:11094/52536、ISSN 09101578、NAID 120005650436。
- ^ How acceptable is artistic licence in history entertainment? - BBC News