試金石 (オペラ)
「試金石」(イタリア語:La pietra del paragone)はジョアキーノ・ロッシーニが作曲した2幕から成るメロドラマ・ジョコーゾ(諧謔音楽劇、オペラ・ブッファ)である。台本はルイージ・ロマネッリ。1812年9月26日、ミラノ・スカラ座で初演された。
概要
編集「試金石」はロッシーニがミラノのスカラ座のために作曲した初めての作品である[1]。初期の作品で歌っていたマリエッタ・マリコリーニとフィリッポ・ガッリの力添えで劇場との契約が実現し、かなりの額の報酬を受け取った上、兵役を免除された[2]。1812年7月11日には数曲のナンバーを仕上げていたが、ルイージ・ロマネッリによる台本の最終的な完成は遅れ、8月21日までずれ込んだ。ロッシーニは健康上の問題を抱えながら、これ以前の作品、「デメトリオとポリビオ」、「ひどい誤解」のナンバーからの転用も交えながら総譜を納期までに完成させた[3][4]。
9月26日の初演は大成功で、再演は53回を数えた。最終回には聴衆に応えて7つのナンバーがアンコールされた[3]。名声はチマローザ、パイジエッロ、スポンティーニに並ぶものとされた。
配役
編集- クラリーチェ侯爵夫人(アルト):教養豊かな未亡人で、アズドゥルーバレ伯爵に思いを寄せている。
- アズパージア男爵夫人(ソプラノ):クラリーチェのライバル。ただし、財産目当て。
- ドンナ・フルヴィア(メゾソプラノ):クラリーチェのライバル。ただし、財産目当て。
- アズドゥルーバレ伯爵(バス):裕福な貴族。
- 騎士ジョコンド(テノール):詩人。伯爵の友人。密かにクラリーチェに思いを寄せている。
- マクロ―ビオ(バス):新聞記者
- パクーヴィオ(バス):詩人
- ファブリツィオ(バス):伯爵の執事
- 合唱:庭師、客、狩人、兵士
構成
編集楽器編成
編集次の楽器編成で演奏される。
- 木管楽器:フルート/ピッコロ2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット
- 金管楽器:ホルン2、トランペット2
- 打楽器:ティンパニ、大太鼓、シンバル
- 弦楽器
- 通奏低音
音楽ナンバー
編集序曲と19のナンバーで構成される。
- 序曲
第1幕
- No.1 導入曲:"Non v'è del conte Asdrubale"(合唱、パクーヴィオ、アスパージア、フルヴィア、ファブリツィオ)
- No.2 二重唱:"Mille vati al suolo io stendo"(マクロ―ビオ、ジョコンド)
- No.3 シェーナとカヴァティーナ:"Quel dirmi, oh dio! - Eco pietosa"(クラリーチェ)
- No.4 カヴァティーナ:"Se di certo non sapessi"(アズドゥルーバレ伯爵)
- No.5 二重唱:"Conte mio, se l'eco avesse"(クラリーチェ、アズドゥルーバレ伯爵)
- No.6 アリア:"Ombretta sdegnosa"(パクーヴィオ)
- No.7 四重唱:"Voi volete e non volete"(クラリーチェ、アズドゥルーバレ伯爵、ジョコンド、マクロ―ビオ)
- No.8 アリア:"Chi è colei che s'avvicina?"(マクロ―ビオ)
- No.9 合唱曲:"Il conte Asdrubale"
- No.10 フィナーレ:"Su queste piante incisi"(全員、合唱)
第2幕
- No.11 導入曲:"Lo stranier con le pive nel sacco"(合唱、アスパージア、フルヴィア、マクロ―ビオ、アズドゥルーバレ伯爵、パクーヴィオ、ジョコンド)
- No.12 合唱曲と嵐の音楽:"A caccia, mio signore!"(合唱、パクーヴィオ)
- No.13 シェーナとアリア:"Oh come il fosco - Quell'alme pupille"(ジョコンド)
- No.14 五重唱:"Spera se vuoi, ma taci" (クラリーチェ、ジョコンド、アスパージア、マクロ―ビオ、アズドゥルーバレ伯爵)
- No.15 アリア:"Pubblico fu l'oltraggio"(フルヴィア)
- No.16 三重唱:"Prima fra voi coll'armi"(マクロ―ビオ、アズドゥルーバレ伯爵、ジョコンド)
- No.17 行進曲、シェーナとアリア:"Se l'Itale contrade"(クラリーチェ、合唱)
- No.18 アリア:"Ah, se destarti in seno"(アズドゥルーバレ伯爵)
- No.19 フィナーレ: "Voi Clarice?"(全員、合唱)
あらすじ
編集3人の女性から言い寄られているアズドゥルーバレ伯爵。3人が真剣かどうかを試すため、トルコの商人に扮装し、自身の破産を宣告する芝居を打つが、同情したのはクラリーチェだけ。逆に、第2幕では、伯爵がクラリーチェに真剣度を試される。双子の兄(架空)に扮装したクラリーチェに、「妹と遠くの国で暮らすことになった」と告げられると、伯爵は彼女を手放したくないと気づく。本意を告げたところでクラリーチェが正体を明かし、二人は結ばれる。
録音
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脚注
編集- ^ Wilhelm Keitel, Dominik Neuner: Gioachino Rossini. Albrecht Knaus, München 1992, ISBN 3-8135-0364-X, p.53
- ^ Richard Osborne: Rossini – Leben und Werk. Aus dem Englischen von Grete Wehmeyer. List Verlag, München 1988, ISBN 3-471-78305-9, p.27 f
- ^ a b La pietra del paragone. In: Reclams Opernlexikon. Digitale Bibliothek Band 52. Philipp Reclam jun., 2001, S. 1973. ISBN 389853152X
- ^ Herbert Weinstock: Rossini – Eine Biographie. Übersetzt von Kurt Michaelis. Kunzelmann, Adliswil 1981 (1968), OCLC 964346289 , p.36
参考文献
編集- Wilhelm Keitel, Dominik Neuner: Gioachino Rossini. Albrecht Knaus, München 1992, ISBN 3-8135-0364-X
- Richard Osborne: Rossini – Leben und Werk. Aus dem Englischen von Grete Wehmeyer. List Verlag, München 1988, ISBN 3-471-78305-9
- La pietra del paragone. In: Reclams Opernlexikon. Digitale Bibliothek Band 52. Philipp Reclam jun., 2001, S. 1973. ISBN 389853152X
- Herbert, Weinstock Kurt Michaelis訳 (1981). Rossini : eine Biographie. A. Kunzelmann. OCLC 964346289