褐色火薬
褐色火薬(かっしょくかやく、brown powder)は、黒色火薬よりもゆっくりと燃焼する黒色火薬に似た火薬である。
主な用途はライフル銃や大砲の装薬。見た目の色から、木炭を使用する黒色火薬が「ブラックパウダー」(black powder)と称されるのに対して、褐色火薬は炭素50パーセント前後の半焼炭を用いるので「ココアパウダー」(cocoa powder)とも呼ばれる[1]。
日本でも「褐色六稜火薬」として明治20年に採用され大砲などで使用されていた。これはドイツで開発され、六角形柱状で中心に丸い孔が空いており、その形状から来た名である[2]。
銃身にライフリングが刻まれたライフル銃は旧式の火縄銃などと違い銃弾と銃身の間に隙間がほとんど無い構造をしているため、銃の内部圧力が過大にならないようにするために、黒色火薬よりも燃焼速度の遅い火薬が必要となったことから黒色火薬を改良して開発された。だが、発砲時に生じる白煙と、火薬滓に関しては黒色火薬と変わらぬレベルであった。
初期の無煙火薬製造は扱いの難しいハイテクであり、技術の遅れた国では製造や貯蔵では幾多の困難があったので、使い慣れた黒色火薬の延長線上で作られた過渡期的な火薬として広く使われた。しかし、後に各国で無煙火薬製造法が普及すると使用も製造もされなくなった。
成分
編集- 硝石 79%
- 硫黄 3%
- 褐色木炭 18%
脚注
編集参考文献
編集- 田中航『戦艦の世紀』毎日新聞社刊