藤井直伸
藤井 直伸(ふじい なおのぶ、1992年1月5日 - 2023年3月10日)は、日本のバレーボール選手。全日本代表メンバーで[1]、V.LEAGUE DIVISION1 MENの東レアローズに所属していた。
| ||||
---|---|---|---|---|
基本情報 | ||||
国籍 | 日本 | |||
生年月日 | 1992年1月5日 | |||
出身地 | 宮城県石巻市 | |||
没年月日 | 2023年3月10日(31歳没) | |||
ラテン文字 | Naonobu Fujii | |||
身長 | 183cm | |||
体重 | 78kg | |||
血液型 | O型 | |||
選手情報 | ||||
愛称 | フジイ | |||
ポジション | S | |||
指高 | 232cm | |||
利き手 | 右 | |||
スパイク | 320cm |
来歴
編集宮城県石巻市雄勝町出身。入学した中学ではスポーツ系のクラブ活動がバレーボール部しかなく、同部へ入部した[2]。県内のバレーボール強豪校である宮城県古川工業高等学校を経て、順天堂大学に進学。大学1年の時に実家が東日本大震災で被災。津波で実家が流され、仮設住宅を転々とした[3]。家族が職を失いバレーを続けられる状況ではなくなったが、大学は藤井ら被災者に学費免除の救済措置を取ったことでバレーを続けることができた[4]。2013年11月にV・プレミアリーグの東レアローズの内定選手となった[5]。
2016/17シーズンには、安定したサーブレシーブに加えてクイックを多用する藤井のトス回しで[6]チームを8年ぶりの優勝に導き、自らもベスト6に耀いた[7]。
2017年3月に全日本メンバーに初招集され[6][8]、バレーボール・ワールドリーグポプラート大会でシニア国際大会でデビュー[9]。藤井は「(ミドルを多用する)ひと味違うセッターが欲しかったのかな」と選出された理由を考えていたが[6]、ワールドリーグを順調に乗り切ると、2018年バレーボール男子世界選手権予選突破、アジア選手権優勝[10]。アジア選手権ではベストセッター賞となる[10]。2020/21シーズン選手間投票で「アタッカー&セッターのベストコンビNo.1」に選ばれた[11]。
2021年東京オリンピックメンバーに選出され、7月24日のベネズエラ戦に途中出場してオリンピック初出場、李博へのクイックで試合を決めた[12]。
2021年9月26日、元日立リヴァーレの佐藤美弥との結婚を発表[13]。佐藤もポジションはセッターだった[13][14]。
2022年2月27日、自身のインスタグラムで胃がんを患い、既にステージ4まで進行し、脳にも転移していることを公表した[15][16]。務めていた主将は本人の強い意志で交代しないこととなった[17]。チームメートらが発起人となり、SNSなどを通じ、治療費のために募金を募ったが、関係者間の調整が終わらないまま半ば見切り発車で開始してしまったこともあり、数日で中止された[18]。
2023年3月12日、所属の東レが、同月10日に死去したことを公表した[19]。31歳没。
2023年4月23日、2022-23 V.LEAGUE DIVISION1 MENファイナルの試合前に行われた授賞式でVリーグ特別賞が追贈された。妻の美弥が授賞式に出席し、トロフィーを受け取り、謝辞で「これまでの夫の功績をこのような形で讃えていただき、本当にありがたく、誇らしく思っております。」と話した[20][21][22]。
人物
編集ミドルを多用するプレイスタイルで、それまでサイドの攻撃が主流だった日本のバレーボールを変えた先駆者[23]。高校時代は身長が高かったため、自分が決めた方が早いとアタックをバンバン撃つ攻撃的なセッターだった。
宮城県出身で仙台のことを「東北のラスベガス」と言っている[24]。2018年2月頃のキャッチコピーは「よく寝られるようになった、神経質男子」[24]。同じ東レアローズに所属するミドルブロッカーの李博との息の合ったクイックでリーグ優勝に貢献、共に全日本メンバーに招集された。李博とはファンが選ぶベストコンビに選ばれた[25]。愛称は「ふじーりー」。代表では「東レライン」と呼ばれる。得意な攻撃は縦のBクイック。親善試合の放送中、藤井の方が歳下だが「李博は僕の武器です」と話した[26]。2020/21シーズン選手間投票で「アタッカー&セッターのベストコンビNo.1」に選ばれた[27]。2021/22シーズン選手間投票で「アタッカー&セッターのベストコンビNo.1」に選ばれ2年連続の受賞となった[28]。
Vリーグでも縦のクイックを使うことがスタンダードとなり、クイックとパイプ攻撃が今のバレーのメインとなる中で、次の課題として取り組んだのが両サイドへのトスの、ファーストテンポでの正確性。特にレフトへのトスの精度で五輪に向けて 「祐希のことを研究した」と語った[23]。
球歴
編集- 日本代表 - 2017-2021年
- ワールドリーグ - 2017年
- ワールドグランドチャンピオンズカップ - 2017年
- オリンピック-2021年
所属チーム履歴
編集- 石巻市立大須中学校
- 宮城県古川工業高等学校
- 順天堂大学
- 東レアローズ(2014-2023年)
受賞歴
編集- 2017年
- 2016/17V・プレミアリーグ ベスト6
- 第19回アジア選手権 ベストセッター賞
- 2023年
個人成績
編集Vプレミアリーグレギュラーラウンドにおける個人成績は下記の通り[29]。
シーズン | 所属 | 出場 | アタック | ブロック | サーブ | レセプション | 総得点 | 備考 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | セット | 打数 | 得点 | 決定率 | 効果率 | 決定 | /set | 打数 | エース | 得点率 | 効果率 | 受数 | 成功率 | ||||
2014/15 | 東レ | 21 | 72 | 13 | 9 | 69.2% | % | 15 | 0.21 | 251 | 3 | % | 10.1% | 6 | 0.0% | 27 | |
2015/16 | 21 | 72 | 23 | 9 | 41.2% | % | 20 | 0.28 | 226 | 5 | % | 9.5% | 4 | 0.0% | 37 | ||
2016/17 | 21 | 78 | 21 | 16 | 76.2% | % | 15 | 0.19 | 250 | 6 | % | 11.0% | 3 | 0.0% | 37 | ||
2017/18 | 21 | 80 | 9 | 6 | 66.7% | % | 12 | 0.15 | 299 | 13 | % | 7.7% | 6 | 0.0% | 31 | ||
2018/19 | % | % | % | % | % |
脚注
編集- ^ “Player”. FIVB. 2017年9月10日閲覧。
- ^ 「月刊バレーボール」2016年12月号臨時増刊 Vリーグ観戦ガイドブック 39ページ
- ^ 五輪代表入りの東レセッター藤井、被災地の希望つなぐ 宮城・石巻出身 実家が被災あなたの静岡新聞、2021.6.22
- ^ “東レ 藤井直伸「初全日本は素直に嬉しかったです。尊敬する選手は、中学の頃は朝長孝介さんでした」”. バレーボールマガジン (2017年12月6日). 2022年2月27日閲覧。
- ^ “新人内定選手4名の入部について”. 東レアローズ男子バレーボール部. 2017年9月10日閲覧。
- ^ a b c 「月刊バレーボール」2017年6月号 27-29ページ
- ^ “2016/17シーズン Vリーグ個人賞 受賞者一覧”. Vリーグ機構. 2017年9月10日閲覧。
- ^ “2017年度全日本男子チーム 選手・監督・スタッフ”. 日本バレーボール協会. 2017年9月10日閲覧。
- ^ “FIVBワールドリーグ2017 - 全日本メンバー”. 日本バレーボール協会. 2017年9月10日閲覧。
- ^ a b 「月刊バレーボール」2017年9月号 14-15ページ
- ^ Vリーグ公式 [@vleague_or_jp] (2021年6月9日). "/ #V1男子 アタッカー&セッターのベストコンビNo.1が決定🙌 \ 選手間投票で最多得票を獲得したコンビを発表📣 1位に選ばれたのは… #東レアローズ @toray_arrowsmen #李博 #藤井直伸 選手のコンビ✨🌈 お馴染みのこのコンビがやはり最多でした😆 #vleague #バレーボール #男子バレー". X(旧Twitter)より2022年2月27日閲覧。
- ^ “【TOKYO2020】ベネズエラに完勝。幸先の良いスタートを切る!”. VOLLEYBALL NEXt (2021年7月27日). 2022年2月27日閲覧。
- ^ a b “日本代表・東レの藤井直伸と元日本代表・日立の佐藤美弥が結婚”. バレーボールマガジン (2021年9月26日). 2021年10月15日閲覧。
- ^ “胃がんステージ4告白の藤井直伸の妻、美弥さんも決意「私も共に闘います」【全文】”. デイリースポーツ online (2022年3月1日). 2022年3月1日閲覧。
- ^ “バレー男子日本代表・藤井直伸、胃がんステージ4告白 目の不調で検査入院し判明「脳の方にも転移」”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2022年2月27日) 2022年2月27日閲覧。
- ^ “31歳で死去した東京五輪代表・藤井直伸さん「胃癌が脳の方にも転移」も闘病へ決意つづっていた”. 日刊スポーツ (2023年3月12日). 2024年8月10日閲覧。
- ^ “活動スケジュール・トピックス | 東レアローズ男子バレーボール部 | TORAY”. www.toray-arrows.jp. 2022年2月28日閲覧。
- ^ “胃がん公表バレー藤井直伸、期限待たず募金終了「冷静な判断できずご迷惑と不快な思いを」”. 日刊スポーツ (2022年3月5日). 2023年3月12日閲覧。
- ^ バレー男子東京五輪代表 藤井直伸さんが死去 31歳 22年2月に胃がんステージ4と公表 東レ「悲しみに耐えません」 - デイリースポーツ online 2023年3月12日
- ^ “ウルフドッグス名古屋が7年ぶり2度目の優勝 -中央日土地 2022-23 V.LEAGUE DIVISION1 MEN V.FINAL STAGE FINAL 最終結果-”. V.LEAGUE (2023年4月23日). 2023年4月24日閲覧。
- ^ “バレーボールのVリーグが故・藤井直伸さんを特別表彰 夫人が感謝の言葉”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2023年4月23日) 2023年4月24日閲覧。
- ^ “藤井直伸さんがVリーグ特別賞を受賞。美弥夫人が気丈に謝辞「本当にありがたく、誇らしく思っています」”. バレーボールマガジン. (2023年4月24日) 2023年4月24日閲覧。
- ^ a b “バレー藤井直伸、見失った“らしさ”を取り戻したキーパーソンの自信「他の人にはない使命感を…」”. REAL SPORTS (2021年7月23日). 2021年7月27日閲覧。
- ^ a b 「月刊バレーボール」2018年2月号149ページ
- ^ Vリーグ公式 [@vleague_or_jp] (2021年2月11日). "【#V1男子 月間MVP👑】 今月(12・1月)は #ベストコンビ をファンの皆様の投票で決定😆 今月のMVPに選ばれたのは… #東レアローズ @toray_arrowsmen #藤井直伸 & #李博 選手🙌🌈 ファンの皆さんに愛称で親しまれるまさに #ベストコンビ✨ ファンの方からのコメントも動画で👍 #vleague #Vリーグ". X(旧Twitter)より2022年2月27日閲覧。
- ^ バレーボール日本代表国際親善試合〜東京チャレンジ〜男子 日本×中国 2021年5月2日
- ^ Vリーグ公式 [@vleague_or_jp] (2021年6月9日). "/ #V1男子 アタッカー&セッターのベストコンビNo.1が決定🙌 \ 選手間投票で最多得票を獲得したコンビを発表📣 1位に選ばれたのは… #東レアローズ @toray_arrowsmen #李博 #藤井直伸 選手のコンビ✨🌈 お馴染みのこのコンビがやはり最多でした😆 #vleague #バレーボール #男子バレー". X(旧Twitter)より2022年2月27日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/vleague_or_jp/status/1537736822142517250”. Twitter. 2022年6月20日閲覧。
- ^ Vリーグ機構. “選手別成績”. 2018年8月29日閲覧。
外部リンク
編集- 藤井直伸 - Olympedia
- 藤井直伸 - 東レアローズ
- V.LEAGUEによる公式プロフィール - ウェイバックマシン(2023年4月24日アーカイブ分)
- 藤井直伸 (@nakkun0703) - X(旧Twitter)
- 藤井直伸 (@torayarrows21) - Instagram