萩原 尊礼(萩原 尊禮、はぎわら たかひろ、1908年5月11日[1][2] - 1999年11月14日[1])は、日本地震学者[3]イタリアイラン大地震[4]福井地震[5]松代群発地震[11]を調査し、萩原式電磁型地震計 (HES) を考案した[12][リンク切れ][1][13]学位は、理学博士東京帝国大学論文博士・1942年)[3]。東京大学名誉教授。

略歴

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東京府出身。開成中学旧制松本高等学校理科甲類を経て、1932年東京帝国大学理学部地震学科を卒業すると[14][15][16][17]、1933年東京帝国大学地震研究所に入り[18]助手から助教授・地震研究所員(1941年)を経て教授職に就く(1944年)。1965年から1967年まで東京大学地震研究所所長を務め[19][20][21]、1969年定年退官名誉教授

この間に機械試験所の技師(1942年)、1948年に運輸技官 (中央気象台) をそれぞれ兼任[5]。1953年から1955年にはユネスコ派遣専門家としてイスタンブール工科大学で教壇に立つ。

1969年から1981年まで地震予知連絡会会長[22][23][24]、1971年(昭和46年)に参議院災害対策特別委員会に参考人として出席、発言する[26]。1981年に地震予知総合研究振興会会長も務めた[27]

受章・受賞

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1969年紫綬褒章、1978年勲二等旭日重光章を受勲。1980年交通文化賞受賞。

主な著作

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単著

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  • 『地震計』岩波書店〈科学文献抄 ; 第8〉1936
  • 『振動測定』宝文館 1945
  • 『地震はどうして起こるか』東洋図書〈学習全書〉1947。全国書誌番号:45024576doi:10.11501/1168594近代デジタルライブラリー、インターネット公開。
  • 振子物語 運動の美』東洋図書 1949。国立国会図書館/図書館送信参加館内公開[28]
  • 『地震の予知』地学出版社〈地学ガイド・シリーズ〉1966
  • 『地震への挑戦 予知のための基礎知識』〈講談社ブルーバックス〉1972年。 
  • 『大地震の来る前に』全国加除法令出版〈JED新書〉 1980。doi:10.11501/9584090国立国会図書館内/図書館送信。
  • 『地震学百年』東京大学出版会〈UP選書〉、1982年。doi:10.11501/9584621 国立国会図書館内/図書館送信。
  • 『地震予知と災害』丸善理科年表読本〉1997

共編著・監修

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翻訳

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  • アーサー・バイサー 解説(ドイツ語) 『地球』ライフ編集部 編 時事通信社〈ライフネーチュアライブラリー第3巻〉1963。国立国会図書館内/図書館送信。
    • 1970年改版、アーサー・バイサー 著 〈タイムライフブックス ライフ大自然シリーズ ; 14〉、タイムライフインターナショナル。
    • 1975年改版、アーサー・バイサー 原著 タイムライフブックス編集部 編集〈タイムライフブックス〉

論文

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  • 萩原尊禮「固体摩擦の振動倍率に及ぼす影響」『東京帝国大学地震研究所彙報』第11号 第1冊 (通号00050)、東京帝国大学地震研究所 編、1932年(昭和7年)、14頁、doi:10.11501/1141794 近代デジタルライブラリー、国立国会図書館/図書館送信限定公開。
  • 「弾性波による地下探査法」『科学画報』第26巻第9号 (昭和12年9月号)、東京 : 誠文堂新光社 1937。104-105頁 (コマ番号0065.jp2)
  • 10. 昭和21年3月の桜島噴火」『東京大学地震研究所彙報』第24巻第1-4号 著 萩原尊禮,表俊一郎,村内必典,明石和彦,山田重平 東京大学地震研究所 1948年6月 143-159頁。
  • 『東京帝大地震研究所研究速報』第5 東京帝国大学地震研究所 編 1947年(昭和22年)謄写版
    • 「9、徳島県富岡町及び高知県室戸町における余震観測」著 萩原尊礼,村内必典,山田重平 164頁。
    • 「11、室戸岬で行った水管傾斜計による土地傾斜変化の観測」著 萩原尊礼,山田重平 179頁。
  • 「地震の予知」『科学』第32巻第7号 岩波書店 1962年7月 367-371頁 ISSN 0022-7625 NAID 40017544398
  • 「松代地震から何を得たか 松代地震満5年の総決算」『自然』第25巻第10号、中央公論社、1970年10月。 
  • 636. 地震予知についての最近の状況 (<小特集> 地震と都市防災)」『土と基礎』第19巻第8号 土質工学会 1971年8月25日、27-33頁。国立国会図書館、NDLデジタルコレクション、インターネット公開。
  • 南関東の地震問題」『土と基礎』第21巻第6号 土質工学会 1973年6月15日、1-3頁。NDLデジタルコレクション、インターネット公開。
  • 「〈提言〉—震度5」 『時の動き』第21巻第18号 (通号532) 大蔵省印刷局 編 国立印刷局 1977年9月 32-33頁 ISSN 0912-800X。
  • 萩原尊禮「地震予知の現況と予知連絡会の役割」『そんぽ予防時報 : リスク情報専門誌』第112号、東京 : 日本損害保険協会、1978年1月、13-18頁 (コマ番号0009.jp2)、doi:10.11501/3250504全国書誌番号:00023997 NDLデジタルコレクション。
  • 「はじめに」『地震の断層モデルに関する研究 その2 (震源パラメターの算定について 2)』東京 : 損害保険料率算定会 1985。コマ番号0005.jp2、全国書誌番号:85052293

欧文

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  • 萩原尊禮「速度地震計の考案(英文)」『東京帝国大学地震研究所彙報』第12号第4冊、東京帝国大学地震研究所 編、1932年 (昭和7年)、doi:10.11501/1141880 
  • 「電磁地震計の倍率その他について〔英文〕」『東京大学地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo』第36巻第2号、東京大学地震研究所 編、1958年7月、ISSN 0040-8972 
  • Tsuboi, Chūji; Wadati, Kiyoo; Hagiwara, Takahiro; Tōkyō Daigaku Jishin Kenkyūjo (1962) (英語). Prediction of earthquakes: progress to date and plans for further development. Tokyo: Earthquake Research Institute, University of Tokyo. OCLC 006432256 
  • 松代地震における土地傾斜の観測-1-〔英文〕 (松代地震群の研究)」『東京大学地震研究所彙報』第44巻第1号、1966年7月、2021年9月10日閲覧 
  • 「松代群発地震の経過概要〔英文〕」『東京大学地震研究所彙報』第46巻第3号、1968年7月。 

脚注

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  1. ^ a b c 萩原尊礼』 - コトバンク
  2. ^ 都築 1986, pp. 327左.
  3. ^ a b 萩原尊禮 [著]「Some fundamental studies of seismographs and examples of observations made with them」1942年(昭和17年)4月27日、2021年9月10日閲覧 東京帝国大学、博士論文(理学博士)。別題『地震計に関する基礎的研究並に観測実例』。
  4. ^ Japan Mission Sent to Iran for Investigating the Problems Related to Disastrous Earthquakes in Iran; Hagiwara, Takahiro; Naitō, Tachū (1959) (English). A report.. Tokyo. OCLC 618116. https://www.worldcat.org/title/report/oclc/618116&referer=brief_results 
  5. ^ a b 日本学術会議 1949, pp. 61-.
  6. ^ 萩原尊礼『科学朝日』第25巻第12号 1965年12月 91-95頁。
  7. ^ 萩原、山田、Hirai 1966, pp. 351–361.
  8. ^ 萩原尊礼『地震』第2輯第20巻第4号 公益社団法人 日本地震学会 1968年 192-200頁。
  9. ^ 萩原、Iwata 1968, pp. 485–515.
  10. ^ 萩原 1970, pp. 83–90.
  11. ^ 「松代地震群と地震予知」[6]松代地震における土地傾斜の観測-1-〔英文〕 (松代地震群の研究)[7]、「第3篇 観測および実験に基づく研究 第13章 松代群発地震 §13.2 綜合的記述:特集: 日本の地震学の概観」[8]、「松代群発地震の経過概要〔英文〕」[9]、「松代地震から何を得たか 松代地震満5年の総決算」[10]
  12. ^ サービス終了のお知らせ”. thanks.yahoo.co.jp. 2021年9月10日閲覧。
  13. ^ 萩原 1958, 「電磁地震計の倍率その他について〔英文〕」.
  14. ^ 萩原 1932b, p. 14.
  15. ^ 萩原 1932a, p. 776.
  16. ^ 萩原尊禮「10.地震動の変位,速度及加速度の比較(英文)」『東京帝国大学地震研究所彙報』第13号第1冊、東京帝国大学地震研究所 編、1932年 (昭和7年)、138頁- (0090.jp2)。 国立国会図書館内限定。
  17. ^ 那須信治,萩原尊禮,表俊一郎「39.関東地方に於ける地震の発生(其1)」『東京帝国大学地震研究所彙報』第14号第3冊、東京帝国大学地震研究所 編、1932年 (昭和7年)、427頁- (0065.jp2)、doi:10.11501/1141963 
  18. ^ 萩原尊禮「最近製作せる携帯用地震計」『技術日本』第160号、日本技術協会、1935年12月、18-21 (コマ番号0014.jp2-)。 
  19. ^ 地震予知研究シンポジウム 1968, pp. 1頁 (コマ番号0003.jp2), 「地震予知研究シンポジゥムの開催について」萩原尊礼 (地震予知小委員会委員長).
  20. ^ 地震予知研究シンポジウム 1968, pp. 2頁 (コマ番号0004.jp2), 「内外における地震予知研究の現状」萩原尊礼(東大震研).
  21. ^ 地震予知研究シンポジウム 1968, pp. 66頁 (コマ番号0036.jp2), 「反省と展望に関するパネルディスカッション」.
  22. ^ 地震への挑戦 1972, pp. 141頁- (0072.jp2-)「5 地震は予知できるか」
  23. ^ そんぽ予防時報 1978, pp. 13-18頁 (コマ番号0009.jp2).
  24. ^ 萩原 1982, pp. 188頁- (コマ番号0102.jp2-, 「地震予知連絡会の発足」.
  25. ^ (地震対策に関する件)”. kokkai.ndl.go.jp. 第65回国会 参議院 災害対策特別委員会 第6号 昭和46年5月14日. 国会会議録検索システム シンプル表示. 2021年9月10日閲覧。肩書き:東京大学名誉教授。
  26. ^ 発言番号173、同180、同182、同186、同188、同190[25]
  27. ^ 大竹 2000, pp. 22–24, 『地震ジャーナル』.
  28. ^ プランゲ文庫-児童書、整理番号:512-14(読み物)。検閲書類枚数:1。原資料所蔵機関:メリーランド大学

参考文献

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脚注に使用、主な執筆者の姓の50音順。

  • 大竹政和「松代地震のインパクト (地震予知研究こぼれ話--萩原尊禮先生の思い出)」『地震ジャーナル』第30号、地震予知総合研究振興会、2000年12月、22-24頁。 
  • 都築洋次郎 編著「Hagiwara Takahiro 萩原尊礼」『科学・技術人名事典』科学史科学教育研究所(構成・製作)、学文社(発売)、北樹出版、東京、1986年、327左頁。全国書誌番号:86029737 

関連項目

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関連資料

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本文の典拠ではないもの。出版年順。

  • 萩原尊礼 ; 河本晃「〈この人にきく〉萩原尊礼氏」『時の動き』第22巻第8号 (通号547) 大蔵省印刷局 編. 国立印刷局, 1978年4月 80-83頁 ISSN 0912-800X。
  • 「萩原尊禮」『日本歴史災害事典』北原糸子, 松浦律子, 木村玲欧 編、東京 : 吉川弘文館、2012。
    • 「地震予知と予測」86頁a
    • 「IV 歴史災害」496頁a
  • 長谷川 成一「萩原尊礼編著,山本武夫・太田陽子・大長昭雄・松田時彦著『古地震探求--海洋地震へのアプローチ』」日本歴史学会 編『日本歴史』 (通号 579)、東京 : 吉川弘文館 1996年8月、130-131頁、doi:10.11501/7910636

外部リンク

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萩原尊礼 CiNii収載の論文一覧