菊正宗酒造
菊正宗酒造株式会社(きくまさむねしゅぞう)は、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く日本の酒造会社。
本社工場 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | キクマサ |
本社所在地 |
日本 〒658-0046 兵庫県神戸市東灘区御影本町1-7-15 |
設立 | 1919年11月20日 |
業種 | 食料品 |
法人番号 | 7140001001324 |
事業内容 | 清酒「菊正宗」「百黙」、焼酎、梅酒の製造ならびに販売 |
代表者 | 代表取締役社長 嘉納 治郎右衛門(12代目) |
資本金 | 1億円 |
純利益 |
6,057万3,000円 (2024年3月期)[1] |
純資産 |
50億1,753万円 (2024年3月期)[1] |
総資産 |
120億339万2,000円 (2024年3月期)[1] |
関係する人物 | 嘉納治郎右衛門(本嘉納家当主) |
外部リンク | https://www.kikumasamune.co.jp/ |
特記事項:創業は1659年(万治2年) |
概要
編集灘五郷の一つである御影郷に本拠を構える大手の一角。「キクマサ」の愛称でも知られる。
創業は万治2年(1659年)と古く、業界の大手として清酒業界をリードしてきた。2009年に創業350年を迎えた老舗メーカーの一つである。古くは後醍醐天皇に、澤乃井より汲んだ水で酒を造り献上したところ、ご嘉納になったので嘉納の姓を賜ったと伝えられている。創業御影の名門、嘉納家の本家(本嘉納家)にあたり、一門からは、同じ御影郷にある日本最大手の酒造メーカーである白鶴酒造の嘉納家(白嘉納家)[注 1]や、講道館を創設し柔道を創始した嘉納治五郎の嘉納家(浜東嘉納家)、日本ボクシングの源流の一つである、神戸ジムの創始者の嘉納健治(浜嘉納家)を出した。
なお、「菊正宗」はとりわけ関東地方で根強い人気を誇り、辛口が多い。現在では手間がかかるためあまり行われていない、生酛造りにこだわっている。 また、樽酒ではトップシェアを取っており[要出典]、料理と一緒に飲むお酒として人気がある。
なお「やっぱり俺は菊正宗」(作詞:永六輔・作曲:中村八大・唄:西田佐知子、正式タイトルは『初めての街で』)というCMソングでも知られる。以前はラジオCMのみであったが、特撰・上撰・佳撰のリニューアルに伴い、2008年10月から、TBS[注 2]にてテレビCMを再開。2009年1月には、朝日放送とテレビ朝日の共同制作番組[注 3]で提供を再開した(提供クレジットは清酒 菊正宗)。
2009年9月よりテレビCMをリニューアル。歌は同じであるが、ジェロによってカバーされた(なお、このCDは非売品である。)。
創業から360年を迎えた2019年には、神戸市に本拠地を置くJリーグのチーム・ヴィッセル神戸に所属しているアンドレス・イニエスタが『菊正宗アンバサダー』に就任。イニエスタを起用した新CMを放送[2]。なお、このCMには前述のCMソングは使用されていない。
沿革
編集(沿革節の主要な出典は公式サイト[3])
- 1659年 - 嘉納家が神戸の御影にて酒造を始める。
- 1814年 - 1万1000石(1980kl)の清酒を醸造。
- 1877年 - 清酒をイギリスに輸出。
- 1908年 - 合名會社本嘉納商店に組織変更(1919年に株式会社移行)[4]
- 1927年 - 灘中学校の設立に関わる(菊正宗・白鶴・櫻正宗)。
- 1947年 - 昭和天皇が本社に行幸する。
- 1965年 - 菊正宗酒造株式会社に社名を変更。
- 1971年 - 「灘の酒造用具」505点が国の重要有形民俗文化財に指定される。
- 1981年 - 業界に先駆け、三増酒を全廃。
- 1988年 - 主力酒を全て本醸造酒に。
- 1995年 - 阪神・淡路大震災により、酒造記念館などを破損する。
- 1999年 - 酒造記念館を復興。
- 2007年 - 特撰・上撰・佳撰のラベルを41年ぶりに一新。
- 2009年 - 350周年を記して「真・辛口宣言」を発表し、本醸造酒と純米酒を全生酛化。製品の4割が生酛造りとなる。
- 2012年 - 吟醸酒と純米吟醸酒を全生酛化。上撰以上のレギュラー酒がすべて生酛造りとなる。
- 2016年 - 新ブランド「百黙」発表。
商標の由来
編集正宗という商標は同じ灘五郷の「櫻正宗」の六代目が、仏教の経典に由来する「正宗」を見て音読み「セイシュウ」が「セイシュ」に近く縁起も良さそうだと名付けた。長い年月を経て清酒の代名詞となった「正宗」の名の元祖である。 菊正宗の正宗という銘柄が江戸で大流行したのを契機に、世に正宗と名乗る酒が蔓延したといわれる。その後差別化のためふと思いついた菊を冠し、「菊正宗」という商標が付けられることになった。
主な商品
編集- 菊正宗:特撰(本醸造:生酛造り)
- 菊正宗:上撰(本醸造:生酛造り)
- 菊正宗:佳撰(普通酒:糖類、酸味料無添加)
(上記3種類は2007年にデザインを41年ぶりに一新)
嘉宝蔵シリーズ
編集- 嘉宝蔵:生酛純米吟醸(超特撰:純米吟醸酒)
- 嘉宝蔵:生酛吟醸(超特撰:吟醸酒)
- 嘉宝蔵:生酛特別純米(特別純米酒)
- 嘉宝蔵:生酛本醸造(特撰:本醸造)
- 嘉宝蔵:生一本(純米酒)
- 嘉宝蔵:冷やおろし(本醸造)
- 嘉宝蔵:しぼりたて(本醸造)
吟醸系
編集- 治郎衛門:純米大吟醸
- 嘉宝:純米大吟醸(菊正宗の最高峰の日本酒)
- 純米大吟醸(2011年に大吟醸からリニューアル)
純米酒系
編集- 雅:特別純米酒(2012年にデザインリニューアル)
- 極上:特別本醸造(2012年にデザインリニューアル)
- 本嘉納正宗(本醸造)
- 男の辛口(上撰クラス:2011年に生酛と速醸酛のブレンドから生酛造りに変更。菊正宗では最初の生酛造り普通酒)
- 生貯蔵酒(上撰クラス:2012年にリニューアルが行われ、菊正宗では2種類目の生酛造り普通酒となったが、従来品は本醸造であり、実質的な格下げとなった)
- 生酛辛口 純米酒(上撰クラス:生酛の純米酒を低価格で楽しめる商品)
パック酒
編集- キクマサピン / ピン淡麗仕立(低価格クラス:2008年に2種ともデザインを変更)
- 辛口パック - 超辛口の旨さ -(低価格クラス:2010年現在で、菊正宗では最も辛口な商品(日本酒度:+10))
- しぼりたてギンパック
その他
編集- ほろよい流:GABAを多く含み、カロリーも押さえた日本酒(2008年にデザインリニューアル)
- 樽酒・樽酒カップ・冷し樽酒・たるざけ ミニ樽:本醸造
- 梅冷酒(2007年以降に柚子仕立てを冬季限定発売)
- らんぷ(粕取り焼酎)
- おいしい日本酒(冬季)/おいしい日本酒・冷用酒(夏季)
- 正宗印冷用酒
- 大吟醸deあま酒
- ご当地つまみの旅シリーズ
- 米のしずく
など
受賞歴
編集- 全国新酒鑑評会
平成14酒造年 - 29酒造年[5]
- 「菊正宗」金賞受賞 - 平成29年受賞
企業博物館
編集鉄塔看板
編集東灘区の生産工場内には1953年(昭和28年)12月に三角柱で赤い文字で「菊正宗」と掲げた高さ約50メートルの鉄塔看板が完成した[6]。もとは字体部分をネオン灯で赤く点灯していたが、2011年(平成23年)にネオン灯は撤去した[6]。
スポンサー番組
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現在
編集- 菊正宗 ほろよいイブニングトーク[注 4]→KIKUMASAMUNE SAKENOVA[7](ニッポン放送)
- CBCドラゴンズナイター(CBCラジオ)
- 吉田類の酒場放浪記(BS-TBS、日本盛の後を継いだ月桂冠に代わって提供開始)
PT・カウキャッチャー
編集過去
編集テレビ
- 水曜スペシャル(テレビ朝日)
- 必殺シリーズ→朝日放送制作金曜10時枠の連続ドラマ(朝日放送)
- テレビ朝日水曜21時枠刑事ドラマ(テレビ朝日)
- 水戸黄門(TBS)
- 円広志のグルメデート(毎日放送)
- 真相報道 バンキシャ!(日本テレビ)
- 土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
- 8時だョ!全員集合スペシャル(TBS)
- よしもと新喜劇50周年記念スペシャル(毎日放送)
- 金9ドラマ(朝日放送とテレビ朝日の共同制作・2009年1月から3月、提供クレジットは清酒 菊正宗)
ラジオ
PT・カウキャッチャー
編集テレビ
- パナソニック ドラマシアター(TBS、後にチョーヤ梅酒に交代)
など
関連書籍
編集- キクマサ読本―やっぱり俺は、菊正宗(2009年9月出版)
関連項目
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c 菊正宗酒造株式会社 第128期決算公告
- ^ ヴィッセル神戸・イニエスタ選手が日本酒「ギンパック」を「キニイッタ」、菊正宗酒造CM「イニエスタ、ノミマシタ」篇 食品産業新聞社 ニュースWEB
- ^ “菊正宗の歴史|菊正宗酒造~灘から世界へ。~”. 菊政宗. 2023年10月6日閲覧。
- ^ 『開国五十年史: 附録』開国五十年史発行所, 1908, p392
- ^ 独立行政法人 酒類総合研究所 -「全国新酒鑑評会 入賞酒一覧表」
- ^ a b c “菊正宗、鉄塔看板撤去へ 設置から70年超、酒どころ「灘五郷」彩るシンボル的存在 神戸”. 神戸新聞. 2024年12月17日閲覧。
- ^ 「ほろよい-」に代わって2022年度オフより放送。「ご機嫌にほろ酔いでお会いしましょう!」春風亭一之輔&高田秋が“酒の場”ならではの楽しい話を多彩なゲストを迎えて展開する新番組スタート - ニッポン放送、2022年9月26日。2022年9月29日閲覧
- ^ 長谷川郁夫『吉田健一』新潮社、2014年、344-346頁。ISBN 978-4-10-336391-0。