青年
青年(せいねん)は、人の成長過程における一時期であり、15歳から24歳までの時期の男女[1][2]。人が社会の中で自立を獲得していく時期である[3]。
近代社会の成立と青年期
編集人類社会において人間の発達段階に青年期がもたらされたのは近代社会の成立と関係があるとされている[3]。
ジャン=ジャック・ルソーは1762年の『エミール』で青年期を幼児期と成人期の中間に位置する固有の時期として位置づけた最初の人物である[3]。
近代社会以前の社会では青年期という位置づけが明瞭ではなく大人への移行も突然に行われていたとされている[3]。H.L.ホリングワースは原始社会では子どもから大人への移行も突然に行われていたとしている[3]。また、マーガレット・ミードは1928年の『サモアの思春期』において、アメリカの若者とサモアの若者の比較調査の結果、青年期の存在は人類に普遍的とはいえず近代社会の所産であると結論づけている[3]。江戸時代以前の日本の武家社会でも、元服し、前髪を剃り落とせば「一人前の大人」であった。
日本語の「若者」は鎌倉時代以降には存在した概念であるが、「青年」という概念は明治時代になって登場した[3]。この「青年」という言葉は小崎弘道が"Young Men"の訳語として考案したものともいわれる(詳細はキリスト教青年会#日本を参照)[注 1]。
もともと「青年」は書生あるいは学生を指す概念として用いられていたものである[3]。厳密には青年と若者は別の概念であり、青年は1887年から1888年にかけてメディアを通して広がった言葉である[4]。また、その暗に意味するところは少なくとも日露戦争後までは変容している[5]。なお、近代日本における青年とはもっぱら男子を指し、そこに女子が含まれる場合は「青年男女」、または「女子青年」といった言葉が用いられた[5]。
1896年には山本滝之助が『田舎青年』において地方の若者の意味で使用している[3]。また、1911年には石川啄木が「時代閉塞の現状」において青年教育の必要性を説いた[3]。
なお、ナタリー・Z・デービスの説では16世紀のフランス社会にはすでに青年期が認められるとするなど異説もあり歴史上の青年期の出現については研究が続いている[3]。
青年の定義や年齢制限
編集- 厚生労働省では、0~4歳を「幼年」、5~14歳を「少年」、15~24歳を「青年」、25~44歳を「壮年」、45~64歳を「中年」、それ以上の年齢者は「高年」と定義している[2]。
- 発達心理学で14、15歳から24、25歳までの時期を指す[1]。
- 社会組織での「青年」部門の年齢制限として、「JICA青年海外協力隊」の資格要件は20歳から39歳、以下「日本青年会議所」、「商工会青年部」は20歳〜40歳、「民主党青年局」は40歳以下の党員、「自由民主党青年局」、「全国青年司法書士協議会」で45歳以下の党員、会員となっている。「青年法律家協会」 では年齢規定を設けていない。
- 農業経営基盤強化促進法における「青年等就農計画」の対象年齢では、原則として18歳以上45歳未満の個人、としている。
青年期の区分については、確定的なものは存在しないとの意見[6]、情勢から日本では20代後半~30代前半までを青年期とみる「青年期延長論」[6]といった考えや、27・28歳までを「青年後期」とする考えも存在する[6]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 木村直恵「「青年」の誕生 : 明治日本における政治的実践の転換」、新曜社、1998年8月、NCID BA34541617。
- 和崎光太郎「近代日本における「煩悶青年」の再検討 : 1900年代における<青年>の変容過程」『日本の教育史学』第55巻、教育史学会紀要、2012年10月、19-31頁、doi:10.15062/kyouikushigaku.55.0_19、NAID 40019453053。
関連項目
編集- 団体の名称