航空通信士
国家資格の一つ
航空通信士(こうくうつうしんし)は、航空従事者国家資格のうちの1つ。国土交通省管轄。等級の区分[1]および限定はない。
航空通信士 | |
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英名 | Flight Radiotelephone Operator |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 交通、航空、通信 |
試験形式 | 学科 |
認定団体 | 国土交通省 |
根拠法令 | 航空法 |
公式サイト | https://www.mlit.go.jp/koku/ |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
概要
編集航空機に乗り組んで無線設備の操作(受信を含む)[2]を行うのに必要な資格。
ただし各区分の操縦士など、航空機に乗り組んで運航に携わるいわゆる運航従事者[3]であって、必要な無線従事者資格(航空特殊無線技士を含む)を有する者は、航空通信士の資格を別に取得する必要はない[4]。
国家試験は年2回実施される。実施は国土交通省が行う。学科試験の受験には資格要件はない[5]が、技能証明の申請には[6]、17歳以上で第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士または航空無線通信士の無線従事者免許を受けている事を要する[7]。 なお航空特殊無線技士は技能証明を申請できないが、前述の通り運航従事者資格を有する者であれば、航空機に乗り組んで認められた範囲での無線設備操作ができる。
通信機器の発達により操作が簡素化され操縦士のみでも十分な通信が可能となったため、専任の航空通信士を採用する民間企業はなくなった[8]。
→「通信士#航空無線」も参照
海上保安庁では海難救助にあたる航空機において、操縦士は自機の運航に関する通信に専念し、遭難船との交信などは搭乗した航空通信士が担当する場合があるため、有資格者の採用や養成を不定期に行っている[要出典]。
自衛隊の航法・通信員や機上無線員は航空従事者ではなく自衛隊の部内資格制度(航空士)に依っているため資格は不要[9]であるが、技能証明として資格を取得させたり技術曹として有資格者を雇用している[要出典]。
試験科目
編集学科のみ
脚注
編集- ^ 1952年の航空法制定時には一等・二等・三等航空通信士の区分があり、電波法による一級・二級・航空級無線通信士の操作範囲に対応していた。前二者は専任の乗員として無線通信に従事するための資格で、技能証明の取得には通信士としての飛行経歴を要し、また実地試験もあった。60年代末には3つとも学科試験合格のみで取得できるようになり、1994年からは航空通信士に一本化された。現在では、無線設備の操作範囲は所有する無線従事者免許のみによって決定される。
- ^ 航空法 第4章第28条(業務範囲)により、受信のみを目的とする無線設備の操作であっても、機上においては所定の資格を有する者でなければ従事できない。電波法では、受信のみの操作は特に規制していない。
- ^ 航空通信士のほかに、定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、二等航空士若しくは航空機関士。整備士は含まれない。また運航管理者も不可。
- ^ 以前はこの規定がなく、航空通信を行う操縦士は最低でも三等航空通信士の資格を併有する必要があった。1971年に特殊無線技士無線電話丙(航空特殊無線技士の前身)の資格ができるのに合せて改正された。
- ^ 国土交通省の航空従事者技能証明等の試験によれば、一定の年齢及び飛行経歴等の要件を実地試験を申請するまでに満たしておけばよい(なお、運航管理者技能検定は学科試験を申請する前までに満たす必要がある)。
- ^ 航空法施行規則 第4章第43条(技能証明等の要件)参照。
- ^ 航空法施行規則 第4章第42条(技能証明の申請)5項より、無線従事者免許証の写しを技能証明申請書提出の日より2年以内に提出することとなっている。
- ^ 1960年代初頭までは、国際線の旅客機が専任の通信士を乗せる場合があった。地域によってはモールス通信を必要としたからである。
- ^ 自衛隊法 第8章第107条(航空法等の適用除外)/第112条(電波法の適用除外)