聖母マリアの誕生 (アルトドルファー)
『聖母マリアの誕生』(せいぼマリアのたんじょう、独: Geburt Mariae、英: Nativity of the Virgin)は、ドイツ・ルネサンス期の画家アルブレヒト・アルトドルファーが1520年ごろ、松板上に油彩で描いた絵画である。1816年にザルツブルクからバイエルン王国の国有財産となり、現在はミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されている[1][2]。主題は聖母マリアの誕生であるが、真の主題は当時建設が進められていた聖堂に置き換えられている[1]。
ドイツ語: Geburt Mariae 英語: Nativity of the Virgin | |
作者 | アルブレヒト・アルトドルファー |
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製作年 | 1520年ごろ |
種類 | 松板上に油彩 |
寸法 | 140.7 cm × 130 cm (55.4 in × 51 in) |
所蔵 | アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン |
作品
編集作品は、当時のドナウ派に典型的な景観的構図を用いている。主題である聖母マリアの誕生は、画面下部の2次的な場所に表されている。そこには聖アンナのベッド、助産婦たちとマリア、手に何かを持って階段を上がっている聖ヨアキムがいる。
作品の主要な部分は背景の教会で、そこには天使たちが大きな円を形作りながら飛翔している[2]。中央には、お香を撒くための振り香炉を持っている若い天使がいる。
聖母マリアとカトリック教会の類推 (後にプロテスタントの宗教改革で廃止される) を象徴する建築物は、複雑で独自の様式で構築されている。周歩廊と柱廊はロマネスク様式、 楕円形の窓はゴシック様式、貝殻型の穹窿のある後陣は当時のルネサンス建築の様式である。このような建築的要素への関心は、アルトドルファーが神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の宮廷で過ごした時期の作品に典型的なものである。
なお、本作に描かれている聖堂は、アウクスブルクの建築家ハンス・ヒーベル (Hans Hieber) が建設を進めていた巡礼聖堂「美しき聖母マリア」 (Schöne Maria) の設計図と関連している[1][2]。
脚注
編集- ^ a b c C.H.Beck 2002年、38頁。
- ^ a b c “Geburt Mariae, 1520/25”. アルテ・ピナコテーク公式サイト (英語). 2023年8月5日閲覧。
参考文献
編集- C.H.Beck『アルテ・ピナコテーク ミュンヘン』、Scala Pulblishers、2002年刊行 ISBN 978-3-406-47456-9
- Zuffi, Stefano (2005) (Italian). Il Cinquecento. Milan: Electa. ISBN 9788837034689