粗度係数
粗度係数(そどけいすう)とは、河川の水が河床や河岸などと触れる際の抵抗量を示した数値。人工水路よりも起伏、曲線、障害物(水草、礫等)に富んだ自然河川の方が値は高くなる。
算出方法
編集粗度係数N は、マニング公式より求められ、次式で表される:
ここで、
- V は平均流速 [m/s]
- I は勾配
- R = A /Sは径深 [m]
- A は流積 [m2]
- S は潤辺 [m]
特徴
編集- 実用公式
- 定常流という前提
- マニングの公式は時間がたっても流量が変化しないという定常流が前提である。よってN の値は常に変化する。
- 次元
- 抵抗係数の表示
概略値
編集長さにm(メートル)、時間にs(秒)の単位を使用している。
- 閉管路[暗渠]
- 真鍮管 0.009~0.013
- 鋳鉄管 0.010~0.016
- 鉄鋼管 0.010~0.017
- 純セメント平滑管 0.011~0.013
- コンクリート管 0.011~0.016
- 人工水路
- 滑らかな木材 0.010~0.014
- コンクリート巻き 0.011~0.020
- 切石モルタル積み 0.013~0.017
- 粗石モルタル積み 0.017~0.030
- 粗石空積み 0.023~0.035
- 土を開削した水路、直線等断面 0.014~0.025
- 土を開削した水路、蛇行不等断面 0.023~0.030
- 岩盤に開削した水路、滑らか 0.025~0.040
- 岩盤に開削した水路、粗い 0.035~0.050
- 自然河川
- 線形、断面とも規則正しい、水深大 0.025~0.033
- 線形、水路床が礫、草岸 0.030~0.040
- 蛇行していて、淵瀬あり 0.33~0.045
- 蛇行していて、水深が小さい 0.040~0.055
- 水草が多いもの 0.50~0.080
参考文献
編集- 土木学会編『土木工学ハンドブック』技報堂出版、494頁。
- 井上和也編『図説わかる水理学』学芸出版社、101頁。
- 椎貝博美『わかりやすい水の力学』鹿島出版会、27頁。
- 吉岡幸男『図解 土木講座 水理学の基礎第二版』技報堂出版、40頁。
- 日野幹夫『明解水理学』丸善、150頁。