私講師

ヨーロッパの大学教員の職位

私講師(しこうし、ドイツ語: Privatdozent)とは、ドイツ高等教育機関 (Hochschule) において、教授にはついていないが、教授資格(Lehrbefähigung)をもちつつ(habilitiert(これは、教授資格論文 (Habilitationsschrift) を書き、審査に合格したということである))、教育活動を行う権利(Lehrbefugnis)と義務を与えられた者をいう。教授職への一階梯とも考えられている。「Priv.-Doz.」「PD」などと略される。

現在、日本で博士研究員(ポスドク)を指してPDとするが、ドイツのPDはこれとは異なり、博士号Dr.に加えて称号として用いられる。19世紀のドイツでは、講義を選んで聴講する学生から講義代をもらうシステムだったため、人気がなければ無収入となった[1]。この項目の日本語訳は、Privatを「私」、Dozentを「講師」と直訳したもので、日本人が訳語だけを見てもなんのことかわからない、いわゆる異化翻訳の最たる例である。日本語の「講師」の多義性(講義する人を指すのか大学の職名を指すのか不明。ドイツの大学に「Dozent」という職名はない。)も、わかりにくくしている要因である。同化翻訳ならば「教授」となろうが、日本の「教授」が職名であるのに対し、ドイツでは「Prof.」は称号である。Privatdozentの称号を持つ者の中でも、資格と職名とそれに伴う給与体系が様々に異なる。自分の講座(Lehrstuhl)を持つ「主任教授」(Lehrstuhlinhaber)に対して「資格教授」とする訳語もある。

脚注

編集