碗琴
碗琴(わんきん)は、有田焼の茶碗や鉢、湯呑みなどをピアノの鍵盤ように並べた、鉄琴や木琴などに近い楽器。およそ50年ほど前、有田タイル社長、和久陶平によって考案、演奏された。当時は14個の有田焼が用いられていたが、2002年、大有田焼振興協同組合所属の筒井孝司によって新たに17個、高音や低音、半音を奏でることのできる有田焼が追加され、碗琴が復興した。
茶碗や湯呑み、鉢を並べて叩くだけという極めてシンプルな演奏スタイルである。正確な調律が不可能なため、和久と筒井によって、約一万数千個の有田焼が叩かれ、31音が選び出された。茶碗を叩くスティックは、木琴用のマレットを使用する。先端にレースの布が巻かれ、音が硬くなりすぎないように配慮されている。
2008年8月の時点では、テーブルにマットを敷き、茶碗を並べるタイプの碗琴(和久のオリジナルを含む)がひと組。茶碗を固定して叩きやすくしてある碗琴がふた組、計3組の碗琴が存在する。現在も筒井によって、より美しく、音程の整った茶碗を選ぶ作業が続けられており、碗琴は、いまだ発展を続けている。