百瀬義行
百瀬 義行(ももせ よしゆき、1953年11月29日 - )は、日本のアニメーター、演出家、アニメーション監督。東京都出身。過去にスタジオジブリに所属していた[1]。
ももせ よしゆき 百瀬 義行 | |
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別名義 | 百瀬 ヨシユキ(ももせ よしゆき) |
生年月日 | 1953年11月29日(70歳) |
出生地 | 日本・東京都 |
職業 | |
ジャンル | |
主な作品 | |
アニメーション映画
テレビアニメ
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人物
編集日本のテレビアニメ初期から活動するベテランアニメーター。『タイガーマスク』『アタックNo.1』や『天才バカボン』で動画を務め、『ど根性ガエル』『はじめ人間ギャートルズ』等のテレビアニメに原画として参加。『アラビアンナイト シンドバットの冒険』『ペリーヌ物語』『名犬ジョリィ』などでは作画監督を担当していた。
スタジオジブリが設立されると、1988年公開の『火垂るの墓』から2013年の『かぐや姫の物語』まで参加した。『火垂るの墓』の作画監督だった近藤喜文の推薦でレイアウトと作画監督補を担当すると、それ以降、高畑勲作品の中心的存在となる。高畑の右腕として原画や場面構成、演出などを担当し、スタジオジブリの中核を担った[2][3]。また宮崎駿監督作品では、『紅の豚』『On Your Mark』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』で原画を手掛けている。
高畑勲に「百瀬さんがアニメーションを進化させる」と言わしめた鬼才であり[2]、高畑は百瀬について「自分の片腕から抜け出て両腕をふるう活躍を見ればその期待が正しかったことがわかる」と語っている[4]。
デジタル技術への関心が高く、1980年代からコンピュータを使用した映像制作に取り組み始め、『もののけ姫』制作時にはCG室を立ち上げ、CGの使用をスタジオに根付かせた[3][5]。ジブリはセルルック(セル画で制作されたアニメのような表現を実現する3DCG)をいち早く導入しているが、それを実現したのも百瀬である[3]。
その後、ジブリでテレビCMの演出、短編アニメーション作品『ギブリーズ』と『ギブリーズ episode2』、中田ヤスタカの楽曲(「ポータブル空港」「space station No.9」「空飛ぶ都市計画」)に映像をつけたSF3部作で監督を務めた[注 1]。2006年にはSF3部作をひとつの作品にした映画『ジュディ・ジェディ』が劇場公開された[6][注 2]。
ジブリの制作部門解散後、2018年に旧ジブリスタッフが設立したスタジオポノック制作の短編アンソロジー『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』の一篇、『サムライエッグ』の脚本と監督を務めた。
2019年、人気RPGシリーズ『二ノ国』を原作にした長編アニメーション映画を監督した[1]。また百瀬はジブリ時代に原作ゲームの『二ノ国 漆黒の魔導士』と『二ノ国 白き聖灰の女王』のアニメーション監督を務め、前年の2018年には『二ノ国II レヴァナントキングダム』でキャラクターデザインを担当している[1]。
2021年、スタジオポノックがオリンピズムをテーマにオリンピック文化遺産財団と共同制作した短編アニメーション映画『Tomorrow's Leaves』を監督[7][注 3]。
作品
編集映画
編集公開年 | 作品名 | 役職 |
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1984年 | SF新世紀レンズマン | 原画 |
1985年 | ペンギンズメモリー 幸福物語 | 原画 |
1987年 | ゴキブリたちの黄昏 | 原画 |
1987年 | チロヌップのきつね | 原画 |
1988年 | 火垂るの墓 | レイアウト・作画監督補 |
1990年 | 劇場版 ペリーヌ物語 | 作画監督 |
1991年 | おもひでぽろぽろ | 場面設計・絵コンテ |
1992年 | 紅の豚 | 原画 |
1994年 | 平成狸合戦ぽんぽこ | イメージビルディング・画面構成 |
1995年 | On Your Mark | 原画 |
1995年 | 耳をすませば | 原画 |
1997年 | もののけ姫 | CG制作 |
1999年 | ホーホケキョ となりの山田くん | 絵コンテ・場面構成・演出 |
2001年 | 千と千尋の神隠し | 原画 |
2002年 | ギブリーズ episode2 | 脚本・監督 |
2006年 | ジュディ・ジェディ | 絵コンテ・監督 |
2006年 | ゲド戦記 | 原画 |
2013年 | かぐや姫の物語 | 特任シーン設計 |
2018年 | ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-「サムライエッグ」 | 脚本・監督 |
2019年 | 二ノ国 | 監督[9]・キャラクター原案・絵コンテ |
2021年 | Tomorrow’s Leaves | 監督 |
2023年 | 屋根裏のラジャー | 監督 |
テレビアニメ
編集公開年 | 作品名 | 役職 |
---|---|---|
1969年 | タイガーマスク | 動画 |
1969年 | アタックNo.1 | 動画 |
1971年 | 天才バカボン | 動画 |
1971年 | ルパン三世 | 原画 |
1971年 | 赤胴鈴之助 | 原画 |
1972年 | ど根性ガエル | 原画 |
1973年 | 荒野の少年イサム | 原画 |
1974年 | 柔道讃歌 | 作画 |
1974年 | はじめ人間ギャートルズ | 原画 |
1975年 | アラビアンナイト シンドバットの冒険 | 作画監督 |
1976年 | リトル・ルルとちっちゃい仲間 | 作画監督 |
1976年 | ドカベン | 作画監督 |
1977年 | あしたへアタック! | 作画監督 |
1979年 | まえがみ太郎 | キャラクターデザイン・作画監督 |
1979年 | りすのバナー | 原画 |
1979年 | トンデモネズミ大活躍 | キャラクターデザイン・作画監督[10] |
1980年 | トム・ソーヤーの冒険 | 第1話原画 |
1981年 | 名犬ジョリィ | 作画監督 |
1983年 | 子鹿物語 THE YEARLING | 作画監督 |
1983年 | セレンディピティ物語 ピュア島の仲間たち | 作画監督 |
1984年 | 小さな恋のものがたり チッチとサリー初恋の四季 | 作画監督 |
1985年 | 三国志 | 原画 |
1986年 | 三国志II 天翔ける英雄たち | 原画 |
1988年 | 夏服の少女たち ~ヒロシマ・昭和20年8月6日~ | キャラクターデザイン・作画監督 |
1989年 | 手塚治虫物語 ぼくは孫悟空 | キャラクターデザイン・作画監督・原画 |
1989年 | YAWARA! | 作画監督 |
2000年 | ギブリーズ | 脚本・監督 |
ゲーム
編集- 二ノ国 漆黒の魔導士(2010年) アニメーションパート監督
- 二ノ国 白き聖灰の女王(2011年) アニメーションパート監督
- 二ノ国II レヴァナントキングダム(2018年) キャラクターデザイン
PV
編集- capsule「ポータブル空港」PV(2004年) 絵コンテ・監督 ※百瀬ヨシユキ名義
- capsule「space station No.9」PV(2005年) 絵コンテ・監督 ※百瀬ヨシユキ名義
- capsule「空飛ぶ都市計画」PV(2005年) 絵コンテ・監督 ※百瀬ヨシユキ名義
- 新垣結衣「piece」PV(2009年) 絵コンテ・監督 ※百瀬ヨシユキ名義
CM
編集その他
編集- 香取慎吾の特上!天声慎吾 OPアニメ(2003年) 原案/構成/演出
- 宇宙エレベータ ~科学者の夢みる未来~(2007年) キャラクターデザイン ※百瀬ヨシユキ名義
- Warm Japanを、道玄坂一丁目から。(2016年)看板・デザイン
著書
編集- こおりの星のピッティ(講談社、2010年7月)
- 百瀬義行 スタジオジブリワークス(一迅社、2011年7月)ISBN 978-4758012089
- ツボミちゃんとモムくん(白泉社、2012年) ISBN 978-4592761532 「ももせ よしゆき」表記。初出は雑誌『MOE』2011年9月号
- ポノックのえほん「サムライエッグ」(KADOKAWA、2018年)
イラスト
編集- くもの糸・杜子春-芥川竜之介短編集(芥川竜之介著・講談社、2007年)※講談社青い鳥文庫
- 風の館の物語(あさのあつこ著・講談社、2007年 - 2010年)
- おもひでぎょうじ(柳原一成監修・晋遊舎、2008年)
- タゴガエル鳴く森に出かけよう! -トモミチ先生のフィールドノート(小林朋道著・技術評論社、2010年)
- ORIX Agency News(2015年~2018年)表紙・絵
- よみとく10分シリーズ「10分で読める物語」1~6年生(学研、2020年)表紙絵
- よみとく10分シリーズ「なぜ?どうして?身近なぎもん」1~6年生(学研、2020年)表紙絵
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c “人気RPG「二ノ国」ジブリ出身・百瀬義行監督で長編アニメ化! 主演は山崎賢人”. 映画.com. エイガ・ドット・コム (2019年2月9日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ a b “高畑勲監督の元右腕・百瀬義行氏が監督「屋根裏のラジャー」が来夏公開”. スポーツ報知. (2021年12月8日) 2019年4月24日閲覧。
- ^ a b c “「メアリと魔女の花」から一年、スタジオポノックが新たな挑戦! 短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」を始動 ポノック短編劇場「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」”. 東宝 (2018年3月27日). 2018年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月25日閲覧。
- ^ スタジオジブリワークス 2011.
- ^ スタジオジブリワークス 2011, p. 104、115.
- ^ “百瀬ヨシユキ×中田ヤスタカ「ジュディ・ジェディ」シネマ・アンジェリカにて上映!”. スタジオジブリ (2006年5月23日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “スタジオポノック短編作品最新作。オリンピズムをテーマに描いた短編アニメーション映画「Tomorrow’s Leaves」が完成”. SCREEN ONLINE. 近代映画社 (2021年7月15日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “スタジオポノック長編映画『屋根裏のラジャー』1年余りの公開延期を経てほぼ完成を報告 手描きアニメーションの“進化”に手応え”. ORICON NEWS. オリコン (2023年8月22日). 2023年11月25日閲覧。
- ^ “人気RPG「二ノ国」ジブリ出身・百瀬義行監督で長編アニメ化!主演は山崎賢人”. 映画.com. (2019年2月9日) 2019年2月9日閲覧。
- ^ “トンデモネズミ大活躍”. 日本アニメーション. 2016年5月18日閲覧。
- ^ “スタジオジブリ出身の百瀬義行監督CM公開 JR西日本「SUMMER TRAIN!」が描くアニメ”. アニメ!アニメ!. イード (2015年6月24日). 2023年11月25日閲覧。
参考文献
編集この記事で示されている出典について、該当する記述が具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 |
- 百瀬義行『百瀬義行 スタジオジブリワークス』一迅社、2011年。ISBN 978-4758012089。
- 高畑勲・宮崎駿 著、アニメージュ編集部 編『おもひでぽろぽろ アニメージュ特別編集ガイドブック』徳間書店〈ロマンアルバム〉、1991年。ISBN 4-19-721080-9。
- アニメージュ編集部 編『おもひでぽろぽろ』徳間書店〈ジブリ・ロマンアルバム〉、1991年。ISBN 978-4197201594。
- アニメージュ編集部 編『天空の城ラピュタ』徳間書店〈ジブリ・ロマンアルバム〉、1997年。ISBN 978-4197200269。
関連人物
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 百瀬義行 - 日本映画データベース
- 百瀬義行 - allcinema
- 百瀬義行 - KINENOTE
- Yoshiyuki Momose - IMDb