田村響
田村 響(たむら ひびき、1986年 - )は、日本のピアニスト[1]。京都市立芸術大学講師[2]。新日本フィルハーモニー交響楽団の田村直貴は兄[1]。
田村 響 | |
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生誕 | 1986年(37 - 38歳) |
出身地 | 日本 愛知県安城市 |
ジャンル | クラシック音楽 |
職業 | ピアニスト |
担当楽器 | ピアノ |
略歴
編集愛知県安城市に生まれる[3]。安城市立篠目中学校卒業[4]。愛知県立明和高校音楽科を卒業後、ザルツブルク・モーツァルテウム大学にて学び[5]、留学中の2007年に20歳でロン=ティボー国際コンクールで優勝した[5][6]。その後世界的に活躍するようになり「年間⅓ほど演奏活動で学校を離れることもあり、あっという間に4年間が過ぎた」と語っている[5][7]。2010年2月からは日本全国ツアーを行うなどしたが[7]、「中途半端な形で大学を終えてしまった。20代のうちに自分に一つのけじめをつけるために修士を取得しよう」と決意し、2013年4月に大阪音楽大学大学院に入学した[5]。2015年に修士号を得て卒業し[8]、同年4月から京都市立芸術大学講師となった[3]。
ピアニストのクラウディオ・アラウを敬愛しており、志に迷いが生じたときはアラウの演奏するベートーヴェンを聴いている[9]。
コンクール優勝の影響
編集田村がロン=ティボー国際コンクールで優勝した翌年の2008年には、同じ愛知県立の名古屋市立菊里高等学校音楽科が13年ぶりに定員40人を割る中で、田村の出身校である愛知県立明和高等学校音楽科は、定員40人に対し希望者100人と前年に比べ躍進した[10]。菊里高校音楽科主任の内藤江美、明和高校音楽科主任の西典代は朝日新聞の取材に対し、前年の田村の優勝、および受賞時に「明和高校出身」と紹介されたことが影響したと述べた[10]。これに対し両校とも公開実技試験や選抜演奏会の実施など、人員確保のための施策を講じたが、 「コンクールは目安にすぎない」「誰もがプロの音楽家になるわけではないし、どの生徒にもいつか咲く花がある。一人一人の個性や可能性を大切に伸ばしたい」「勉強の一つの目標としてコンクールに挑戦するのはよいことだが、結果は運。一喜一憂する必要はない。演奏家にならなくとも、音楽を心から楽しんで応援できる、よい聴衆に育てたい」として、田村に続く学生のコンクール入賞を積極的に押し出す姿勢は取らなかった[10]。
趣味
編集時間が空いた時には哲学や心理学の本を手にとっている[7]。「音楽は抽象的で答えがなく、悩まされることがあった」が、読書を通し「嫌なことも、後で必要なことだったんだと思えるようになった」と語っている[7]。また、カメラが趣味であり、モーツァルテウム音楽院時代には授業の合間にカメラを持って独りで欧州を旅していた[9]。
受賞歴
編集評価
編集- 愛知県立芸術大学准教授の安原雅之は、2008年に田村が名古屋フィルハーモニー交響楽団と共演したラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』を聴いて、「田村の独奏は、安定したテクニックと高い芸術性を兼ね備え、この作品が示す絢爛豪華なヴィルトゥオーソ性と叙情性を遺憾なく発揮した」と述べ、「オーケストラの音の狭間から矢のように飛び出してくる弱音」の美しさを称えた[16]。
- 朝日新聞の谷辺晃は、2008年に関西フィルハーモニー管弦楽団と共演した田村の演奏を聴いて「技術も音楽性もずば抜けていて驚嘆」と評した[17]。
主なディスコグラフィ
編集- デビュー・アルバム - ハイドン『ピアノソナタ』ほか[18]
- ショパン作品集 - 『ピアノソナタ第2番』ほか[19]
- リサイタルアルバム - リスト、モーツァルトの作品集[20]
- フランス・ヴァイオリン作品集 - ヴァイオリニスト小林美樹との共演[21]
- ロン=ティボー国際音楽コンクール優勝記念盤 - モーツァルト、フォーレ、ブラームスの作品集[22]
脚注
編集出典
編集- ^ a b “音楽の素晴らしさ、兄弟デュオが披露 可児の保育園”. 朝日新聞朝刊: p. 22. (2014年9月5日)
- ^ “田村響”. 京都市立芸術大学. 2020年3月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “ピティナ・演奏家情報:田村 響”. www.piano.or.jp. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “10月29日(火) 田村響さん 生き方講演会 その1”. 安城市立明祥中学校 (2019年10月29日). 2021年5月19日閲覧。
- ^ a b c d “ピアノの音色に浸って 田村響が来月、名古屋・小幡でリサイタル”. 朝日新聞夕刊: p. 5. (2013年6月14日)
- ^ “(劇場への招待 びわ湖ホール通信)気軽にクラシック♪ 心が動く瞬間体験を”. 朝日新聞朝刊: p. 26. (2013年11月15日)
- ^ a b c d “楽都に浸り伸びる 愛知・安城出身のピアニスト田村響、全国リサイタル”. 朝日新聞夕刊: p. 6. (2010年1月29日)
- ^ “田村響”. 京都市立芸術大学. 2020年3月11日閲覧。
- ^ a b 「新境地、ショパンに挑む 国際コン優勝から4年、田村響「歯がゆさと向き合う」」『朝日新聞夕刊』2011年3月10日、4面。
- ^ a b c “ライバル競演60年 二つの公立高校音楽科、菊里高と明和高”. 朝日新聞夕刊: p. 7. (2008年7月9日)
- ^ “Archives”. www.pianocompetition.org. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “出光音楽賞歴代受賞者 | 出光音楽賞”. 出光興産(出光昭和シェル). 2020年6月12日閲覧。
- ^ a b “世界の「響」、凱旋公演 安城市民会館でピアノリサイタル”. 朝日新聞朝刊: p. 27. (2008年5月4日)
- ^ “国際大会で優勝、5月に凱旋公演 ピアニスト・田村響さん”. 朝日新聞朝刊: p. 26. (2008年2月13日)
- ^ “音楽 | メセナ活動 | 会社概要 | The Okura Tokyo | 公式サイト”. The Okura Tokyo. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “(音楽)新進アーティストの競演 弱音の美、際立つ田村響”. 朝日新聞夕刊: p. 8. (2008年1月25日)
- ^ “ステージから”. 朝日新聞夕刊: p. 3. (2008年6月6日)
- ^ “田村響/デビュ-・アルバム:ハイドン/メンデルスゾ-ン/他:田村響 - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2020年3月12日閲覧。
- ^ “田村響/ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、スケルツォ第2番、ワルツ第1番-第4番 - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “田村響/リスト: バラード第2番, ダンテを読んで(ソナタ風幻想曲); モーツァルト: ピアノ・ソナタ K.331, 他 - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “小林美樹 (Classical)/サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 フランス・ヴァイオリン作品集 - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “田村響/2007年ロン・ティボー国際音楽コンクール・ピアノ部門優勝記念 -モーツァルト, フォーレ, ブラームス (4/17-18/2008) / 田村響(p) - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2020年3月11日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- プロフィール - 所属する事務所ヒラサ・オフィスによるもの