環状シロキサン
シロキサン結合による環状分子構造骨格を持つ環式有機化合物
環状シロキサン(かんじょうシロキサン、英語 Cyclic siloxanes、Cyclosiloxanes )とは、シロキサン結合による環状分子構造骨格を持つ環式有機化合物の総称。
概要
編集多くはオリゴマーであり、特に低分子のものは環状ジメチル型(D体、分子式 SiO(CH3)2)の結合量により、D3(三量体)、D4(四量体)、D5(五量体)などと表記される。
- D3 : ヘキサメチルシクロトリシロキサン(hexamethyl cyclotrisiloxane)C6H18O3Si3 融点64℃、沸点134℃の固体
- D4 : オクタメチルシクロテトラシロキサン(octamethyl cyclotetrasiloxane)C8H24O4Si4 融点18℃、沸点175℃の半固体
- D5 : デカメチルシクロペンタシロキサン(decamethyl cyclopentasiloxane)C10H30O5Si5 融点-30℃、沸点210℃の液体
D20までを低分子環状シロキサン、または単に低分子シロキサンと称し、特にD3~D10の総量は後述する接点阻害などを防ぐうえでのシリコーン品質基準の指標とされている。
用途
編集主にシリコーン製造における原材料として使用されるほか、D5 は溶剤として用途が広い。
- D5 は常温で液体で揮発性があり、環境中に放出しても短期間で二酸化ケイ素、二酸化炭素、水に分解されるため、環境への影響がわずかとされ使用されている。この方法は英語でGreenEarth Cleaningと呼ばれ、特許が与えられている。
- シクロペンタシロキサンと表記されている。毒性の低い溶剤として、落ちにくさを特長とする製品で多用される。
その他、医薬品を含む、皮膚洗浄剤、毛髪染色剤に、乳化剤として使用される。
問題点
編集低分子環状シロキサンは高沸点物質だが揮発性が高いため、室温あるいは体温付近でも蒸気となって気中へ拡散する。この性質による、いくつかのトラブルが知られている。溶剤として使用している現場以外での発生源としては、シーリング・コーキング材などのシリコーン樹脂製品や、シャンプー、化粧品などに含まれるシリコーンオイルが考えられる。
- 電気電子回路への障害
- 半導体製造ラインへの影響
- バイオガス利用設備への障害
出典・脚注
編集- ^ ファンヒーター よくあるご質問 コロナ
- ^ シリコーン等による石油ファンヒーターへの影響 (PDF) ダイニチ