猩紅熱
連鎖球菌により媒介する発疹性の伝染病のひとつ
猩紅熱(しょうこうねつ、英: scarlet fever)は、小児に多い発疹性感染症。明治年間に法定伝染病に指定され恐れられていた病気の一つだが、抗生物質の開発により、治療が容易になった。このため、1998年の法改正に伴い、法定伝染病(届け出が必要)ではなくなった。現在の感染症法ではA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)として診断・治療を行うことがほとんどである。
猩紅熱 | |
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別称 | scarlatina,[1] scarletina[2] |
紅色の小さな発疹が全身にできる猩紅熱 | |
概要 | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | A38 |
ICD-9-CM | 034.1 |
DiseasesDB | 29032 |
Patient UK | 猩紅熱 |
概要
編集A群β溶血性連鎖球菌の毒素(発赤毒 (erythrogenic toxin)[3]、Dick毒素)によって発症する全身症状。発赤毒素に免疫のない人で発症する[4]。A群溶血性連鎖球菌咽頭炎(5類感染症定点把握疾患、溶連菌感染症)の1タイプ[5]。2歳 - 10歳の小児に多く発病し、小児が集まる機関(幼稚園、保育園、小学校)で集団発生する事がある。中耳炎・腎炎・リウマチ熱などと合併して発症する事がある。
日本では1957年(昭和32年)に流行し、届出のあった患者だけでも1万4500人、うち40人が死亡した事例がある[6]。
感染様式
編集主に飛沫感染。
症状
編集通常はレンサ球菌咽頭感染症に続発し発症する[7]。
- 潜伏期は2日 - 4日
- 前駆期は高熱と、咽頭痛(上気道炎)、頭痛、四肢痛、悪寒、となる事がある。
- 発疹期(第1病週)は紅色の小さな発疹が全身にできる。舌が腫れ、「いちご舌」、皮疹
- 落屑期(第2 - 3病週)は手のひらや足の裏から膜様鱗屑[3](皮がむけ、落ちる)
- 感染後 免疫反応としてリウマチ熱や糸球体腎炎を併発することがある[5]
主な合併症
編集- 化膿性疾患
- 肺炎、髄膜炎、敗血症など
- 非化膿性疾患
- リウマチ熱、急性糸球体腎炎
予防
編集治療法
編集関連法規
編集定点報告対象(5類感染症)[8]。
参考画像
編集-
苺舌の一例
脚注
編集- ^ “Scarlet Fever: A Group A Streptococcal Infection”. Center for Disease Control and Prevention (January 19, 2016). 12 March 2016閲覧。
- ^ Shorter Oxford English dictionary. United Kingdom: Oxford University Press. (2007). pp. 3804. ISBN 0199206872
- ^ a b Q18猩紅熱(しょうこうねつ)はどのような症状ですか? 日本皮膚科学会
- ^ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 厚生労働省
- ^ a b 臨床検査データブック2017-2018 疾患と検査 - 感染症,性病,寄生虫疾患 - 猩紅熱、医学書院
- ^ 日外アソシエーツ編集部編 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年、145頁。ISBN 9784816922749。
- ^ a b レンサ球菌感染症 MSDマニュアル プロフェッショナル版
- ^ a b c d A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは 国立感染症研究所感染症情報センター