特定技能
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特定技能(とくていぎのう)英: Specific skill(スペシフィックスキル)とは、2019年に開始された日本の在留資格。少子高齢化の進展で深刻化する労働力不足に対応するために設置されたものであり、一定の技能及び日本語能力基準を満たした者が特定技能としての在留を許可される。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となった。
概要
編集特定技能は出入国管理及び難民認定法第二条の二に定められた在留資格である。外国人労働者用の在留資格であり、資格の取得には技能及び日本語能力の試験に合格する、又は技能実習で一定の条件を満たす必要がある[1]。
種類として通算で上限5年の在留期限がある「特定技能1号」と在留期間3年又は1年で6か月ごとの更新のある「特定技能2号」の2種類がある[2]。
就業について
編集建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野の決められた業務と付随する業務[3]に限り認められる[4]。従事する仕事も専門性や高度な技能を必要とした物に限られる。同一分野又は別分野の技能試験に合格した場合は転職が認められている。
技能実習との違い
編集技能実習は技能の移転を目的にした資格であるので、試験はない(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力試験要件あり)が、特定技能は労働力を目的にした資格なので、相当の知識及び技能を必要とする。また従事する仕事のレベルも、特定技能の方が高いものとなっている。技能実習は原則転職出来ないが、特定技能は同一業務であれば転職出来る[5]。
転職は、技能実習は原則不可であり、特定技能1号、2号は可である。在留期間は、技能実習は最長5年であり、特定技能1号は通算5年であり、2号は上限なしである。家族帯同は、技能実習は不可であり、特定技能1号は不可であり、2号は可である。
また、技能実習から特定技能に移行することも可能である。[6]
職種について
編集「特定技能」の対象業種は、国内で十分な人材を確保できないとされ、特定産業分野に指定されている以下の14種。[7]
- 介護
- ビルクリーニング業
- 素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業(2022年に統合)
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
各種統計
編集年 | 人 | 外国人全体に占める割合 |
---|---|---|
2019年6月(最も古い統計) | 20 | 0.0% |
2019年12月(開始年の末時点) | 1,621 | 0.06% |
2020年12月 | 15,663 | 0.54% |
2021年12月 | 49,666 | 1.80% |
2022年12月 | 130,923 | 4.26% |
2023年12月 | 208,462 | 6.11% |
各四半期末(3か月ごと)の在留人数が法務省により公表される[9]。
2020年(令和2年)5月29日、出入国在留管理庁は、「特定技能」で滞在する外国人が、2020年3月末で3,987人になったと発表した[10]。初年度の最大受け入れ見込み47,550人の10分の1にも満たなかった。2020年4月末時点も併せて発表し、4,497人だった。増加率は鈍化しており、2019新型コロナウイルス感染拡大による入国制限の影響が出た。特定技能の資格取得は、試験に合格する方法と、技能実習制度で約3年以上の経験を積んだ実習生が試験を免除されて移行する方法があるが、入管庁によると3月末時点で在留人数の92%を占める3,663人が実習生からの移行だった[11]。
2022年(令和4年)4月、出入国在留管理庁は初めて特定技能2号の在留資格を許可した。許可を受けた中国国籍の労働者は、建設キャリアアップカードレベル3を取得し、コンクリート圧送施工技能検定1級に合格していた[12]。今回の事例により今後の申請者に必要とされる事実上の最低基準が示された。1号は2023年末の在留者数は20万8425人、2号は37人[13]。
特定技能の申請
編集特定技能の許可を得るためには、書類の提出が必要である。在留資格変更許可申請の場合は、原則本人が申請人でなければならない。[14]
脚注
編集- ^ “「『特定技能』半年 外国人の働く現場は」(くらし☆解説)”. NHK. 2020年2月20日閲覧。
- ^ “在留資格「特定技能」について”. 経済産業省. 2020年2月20日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “[http://www.moj.go.jp/content/001289367.pdf Q 5 農業分野の特定技能外国人は,農閑期の冬場に除雪作業を行ったり,農具小屋の 修繕等の作業を行ったりすることはできますか。]”. 法務省. 2020年2月21日閲覧。
- ^ “分野別運用方針について(14分野)”. 千葉県. 2020年2月21日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “新たな外国人材の受入れについて”. 経済産業省. 2020年2月21日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “在留資格「特定技能」|12業種(旧14業種)の職種と要点を解説 - カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~”. カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~ - (2022年12月24日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ “在留資格「特定技能」|12業種(旧14業種)の職種と要点を解説 - カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~”. カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~ - (2022年12月24日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ 2022年12月以降は1号と2号の合計人数を記載。“令和5年末現在における在留外国人数について”. 出入国在留管理庁 (2024年3月22日). 2024年5月24日閲覧。
- ^ “特定技能在留外国人数の公表”. 出入国在留管理庁. 2021年1月30日閲覧。
- ^ “特定技能外国人、想定の8% 3月末3987人、ベトナム最多 入管庁:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. (2020年5月30日)
- ^ 2020年5月31日中日新聞朝刊3面
- ^ 特定技能2号、中国人男性が国内初認定「日本で家族と生活できる」 - 岐阜新聞Web 2022年4月15日掲載。
- ^ “「特定技能」で80万人超、外国人労働者拡大へ 全業界で想定以上:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2024年3月19日閲覧。
- ^ “在留資格「特定技能」とは? 取得条件や申請について徹底解説! - カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~”. カナエル~特定技能・技能実習業界の総合メディア~ - (2024年7月5日). 2024年7月13日閲覧。