立山杉
富山県東部の山岳地帯に自生するスギ
立山杉(たてやますぎ)は、富山県東部の立山を中心とする山岳地帯に自生するスギ[1][2][3]。また、造林用に育苗された品種のことも指す[3]。寒さや雪に強いという特徴を持っており[1][2][3]、垂直分布の上限は標高2,070メートル[4]。木材としては、年輪の幅が狭く[5]、強度に優れており、主に建築材料として利用される[6]。富山県の木[1][2][7]、立山町の木に指定されている[8]。
標高1700m以上に生息するものは温暖期に分布を広げた後に寒冷化で取り残された遺存分布で、そこでのスギ林は殆どが伏条で増殖した単一クローンである[9]。
主な自生地
編集著名な立山杉
編集- 仙洞スギ(中新川郡立山町芦峅寺) - 幹周9.4m、樹高21m[11][17][18]。「ブナ平立山のスギ」として森の巨人たち百選に選定[17]。
- 不老樹(中新川郡立山町芦峅寺) - 幹周10.5m、樹高34m[11][19]。3本の木が固まって立つ[11][19]。
- 美女杉(中新川郡立山町芦峅寺)[20] - 美女平駅の脇に立つ2本の木[21]。
- 芦峅雄山神社境内杉林(中新川郡立山町芦峅寺) - 幹周2 - 6m[22]、122本[23]。県の天然記念物に指定[22][24]。
- 中村の大杉(中新川郡上市町中村) - 樹高20m余り[25]。町の天然記念物に指定[25][26]。
- 大沢の地鎮杉(魚津市大沢) - 幹周8.5 - 10m[27]、樹高約40m[27][28][29]。県の天然記念物に指定[27][28][29]。
- 立山杉の古木(滑川市中野) - 幹周3.1m、樹高約30m[7]。市の天然記念物に指定[30]。
- 立山杉の古木(滑川市下梅沢) - 2004年の台風第18号で倒伏し、市の天然記念物の指定も解除された[7]。
- 日吉社の大杉(小矢部市杉谷内) - 市の天然記念物に指定[31][32]。
- 御手植え杉(富山市西笹津) - 1947年に昭和天皇が植樹した3本の木[33]。
脚注
編集- ^ a b c “富山県の県木に指定されている樹木といえば?”. 北日本新聞. (2011年8月28日) 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b c 石須秀知 (2017年3月14日). “富山県の木天然スギがおもしろい!(1)力強いタテヤマスギ”. 北日本新聞 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b c “用語解説た行”. 富山県. 2017年8月19日閲覧。
- ^ 平英彰 著「タテヤマスギ」、富山大百科事典編集事務局 編『富山大百科事典』 下、北日本新聞社、1994年、175頁。全国書誌番号:95015589。
- ^ 高桑進 2012, p. 28.
- ^ “富山の木 富山県にはどんなスギがあるの?”. 富山県木材組合連合会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b c “立山杉の古木” (PDF). 滑川市. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “ここです!立山町”. 立山町. 2017年8月19日閲覧。
- ^ [富山県大百科事典 北日本新聞 175頁 1994年]
- ^ “巨木の愛称”. 林野庁中部森林管理局. 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b c d “立山スギ巨木愛称選定木散策マップ” (PDF). 林野庁中部森林管理局富山森林管理署. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “立山美女平・ブナ坂・下ノ小平”. 日本の森・滝・渚全国協議会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ 黒川正博 (2016年11月23日). “ふるさとの山々:高きが故に貴からず 中山 富山・上市町=1255メートル”. 毎日新聞 2017年8月19日閲覧。
- ^ 魚津市産業建設部商工観光課 (2012年3月). “魚津市の観光振興事業等について”. とやま経済月報. 富山県. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “洞杉及び岩上植物群落” (PDF). 魚津市. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “杉沢の沢スギ”. 文化遺産オンライン. 文化庁. 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b 笹島芳信「森の巨人たち百選「ブナ平立山のスギ」の収集」(PDF)『関西育種場だより』第62号、森林総合研究所林木育種センター関西育種場、2010年7月、3頁、ISSN 1882-5877、2017年8月19日閲覧。
- ^ “仙洞杉の観光情報”. るるぶ.com. JTBパブリッシング. 2017年8月20日閲覧。
- ^ a b “不老樹の観光情報”. るるぶ.com. JTBパブリッシング. 2017年8月20日閲覧。
- ^ “美女杉の観光情報”. るるぶ.com. JTBパブリッシング. 2017年8月20日閲覧。
- ^ JTBパブリッシング、34,50頁。
- ^ a b 本多啓七 著「芦峅雄山神社境内杉林」、富山大百科事典編集事務局 編『富山大百科事典』 上、北日本新聞社、1994年、30頁。全国書誌番号:95015589。
- ^ “芦峅雄山神社境内杉林”. とやま学遊ネット. 富山県民生涯学習カレッジ. 2017年8月19日閲覧。
- ^ 立山町商工会『たてやま遊歩』富山県中新川郡立山町商工会婦人部、1989年、70頁。全国書誌番号:91009222。
- ^ a b “町指定文化財”. 上市町. 2017年8月20日閲覧。
- ^ “上市町文化財”. 上市町. 2017年8月20日閲覧。
- ^ a b c “大沢の地鎮杉”. 魚津市観光協会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ a b 長井真隆 著「大沢の地鎮杉」、富山大百科事典編集事務局 編『富山大百科事典』 上、北日本新聞社、1994年、276頁。全国書誌番号:95015589。
- ^ a b 「大沢の地鎮杉」(PDF)『月刊日造協』第329号、日本造園建設業協会、2001年1月10日、1頁、2017年8月19日閲覧。
- ^ “文化財”. 滑川市 (2017年8月1日). 2017年8月19日閲覧。
- ^ “指定文化財5(天然記念物)”. 小矢部市. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “小矢部市の指定文化財一覧” (PDF). 小矢部市. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “「御手植え杉」見えやすく 細入、住民と県神社庁が整備”. 北日本新聞. (2017年5月18日) 2017年8月19日閲覧。
参考文献
編集- 高桑進「杉と日本人のつながりについて」『研究紀要』第25巻、京都女子大学宗教・文化研究所、2012年3月、19-40頁、CRID 1050845762507665664、hdl:11173/1946、ISSN 0914-9988、2023年11月30日閲覧。
- 『るるぶ立山黒部アルペンルート '14』JTBパブリッシング、2013年。ISBN 978-4-533-09100-1。
外部リンク
編集- 立山スギ巨木林 - 中部森林管理局