瀬尾 乃武(せお のりたけ、1899年(明治32年)9月25日 - 1997年(平成9年)10月14日)とは、能楽囃子方、大鼓方葛野流能楽師。葛野流宗家預かり。

来歴・人物

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東京府東京市神田区猿楽町(現・東京都千代田区)に生まれる。宝生流シテ方と幸流小鼓方の二人の兄がおり、子供のころから能に親しむ環境のなかで育つ。川崎九淵亀井俊雄飯島佐乃六に師事。1924年(大正13年)「三輪」で初舞台。1921年(大正10年)東京外国語学校仏語科修了。司書の資格を持っており、図書施設に勤務するかたわら芸道にまい進した。1969年(昭和44年)葛野流宗家預かりとなる。1984年(昭和59年)重要無形文化財保持者に各個認定(人間国宝)。素手で打つことで手と指をきたえ、的確で澄んだ音色をきかせた[1]

長男は櫻間辰之(金春流シテ方)、二男は四世櫻間金記(金春流シテ方)。

能楽名演集1(NHKエンタープライズ、以下同)
  • 観世流「隅田川」梅若六郎 角当直隆 宝生弥一 宝生閑 田中一次 鵜澤寿 瀬尾乃武
  • 観世流「井筒」観世寿夫 宝生閑 藤田大五郎 大倉長十郎 瀬尾乃武
  • 金春流「黒塚」本田秀男 櫻間道雄 豊嶋十郎 鈴木順一 山本則寿 一噌幸政 中原孝一 瀬尾乃武 観世元信/金剛流「葵上」豊嶋弥左衛門
  • 「仕舞独吟一調舞囃子集」/舞囃子『清経』後藤得三 寺井政数 幸圓次郎 瀬尾乃武
能楽名演集2
  • 金春流「葵上」櫻間金太郎(弓川)/「実盛」櫻間道雄 森茂好 宝生閑 鏑木岑男 一噌正之助 北村一郎 瀬尾乃武 金春惣右衛門
  • 観世流「鞍馬天狗・白頭」梅若実/「恋重荷」観世銕之丞(雅雪) 観世静夫 森茂好 善竹圭五郎 田中一次 幸正影 瀬尾乃武 金春惣右衛門
能楽名演集3
  • 能 観世流『俊寛』観世寿夫 永島忠侈 浅井文義 宝生弥一 山本則直 一噌幸政 鵜澤寿 瀬尾乃武/能『猩々乱』観世寿夫

脚注

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  1. ^ 日本人名大辞典+Plus, デジタル版. “瀬尾乃武とは”. コトバンク. 2023年9月10日閲覧。

参考文献

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  • 日外アソシエーツ編『新撰 芸能人物事典 明治~平成』(2010年刊)
  • 西野春雄「能界展望(平成九年)」『能楽研究 : 能楽研究所紀要』第23巻、野上記念法政大学能楽研究所、1999年3月、197-210頁、doi:10.15002/00020526hdl:10114/00020526ISSN 0389-9616CRID 1390853649759206912  物故者欄、210頁