滑液包炎
滑液包炎(かつえきほうえん)は、滑液包といわれる液体で満たされた1つまたは複数の袋の炎症または腫れのことである[2][4]。滑膜で覆われた滑液包は、関節の動きを滑らかにする滑液を生成し、人体に150以上ある[5][6]。滑液包炎の症状は、患部の動きの制限、圧痛、痛みである[3]。徐々に発症した場合、痛みが生じない症例がある[2]。合併症には、敗血症性滑液包炎があげられる[1]。
滑液包炎 | |
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肘頭滑液包炎の例 | |
概要 | |
種類 |
無菌性、腐敗性[1] 急性、慢性[2] |
診療科 | 整形外科 |
症状 | 腫れ、動きの制限、圧痛、痛み[3] |
原因 | 使いすぎ、感染、外傷、炎症性疾患[2] |
診断法 | 症状と診察[1] |
鑑別 | 関節炎、骨折、腱炎、神経の障害[1] |
治療 | 安静、冷却、圧迫、NSAIDs[1][2] |
予後 | 一般的に良い[2] |
頻度 | 一般的[1] |
分類および外部参照情報 |
原因
編集滑液包炎の原因には、使いすぎ、感染、外傷、炎症性疾患などがあげられる[2]。最も一般的に影響を受けるのは、膝蓋骨前部、肘頭、転子部、踵骨後部である[1]。滑液包は、筋肉、腱などの組織が骨の突出した部分を横切る箇所にある[3]。通常は、組織間の動きを改善する機能がある[2]。
診断
編集一般に症状と診察に基づいて診断し、場合により、検査を追加して診断を確定する[1][2][7]。症状が同様で原因が異なるものに、関節炎、骨折、腱炎、神経の障害などがあげられる[1]。
治療
編集治療は通常、安静、冷却、圧迫、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) による[1][2]。ステロイド注射または手術はあまり一般的ではない[1]。慢性の滑液包炎におけるステロイド注射の治療は、おこなわれるが2020年以後からその根拠は不足している[2]。滑液包炎は、男女同等に一般的にみられる症状である[1][2]。
出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l Aaron, DL; Patel, A; Kayiaros, S; Calfee, R (June 2011). “Four common types of bursitis: diagnosis and management.” (英語). The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 19 (6): 359-367. doi:10.5435/00124635-201106000-00006. PMID 21628647.
- ^ a b c d e f g h i j k l Williams, Christopher H.; Sternard, Britni T. (August 15, 2020.). “Bursitis” (英語). Bursitis. StatPearls Publishing. オリジナルのDecember 1, 2020時点におけるアーカイブ。 September 23, 2020閲覧。
- ^ a b c Hubbard, MJ; Hildebrand, BA; Battafarano, MM; Battafarano, DF (June 2018). “Common Soft Tissue Musculoskeletal Pain Disorders.”. Primary care 45 (2): 289-303. doi:10.1016/j.pop.2018.02.006. PMID 29759125.
- ^ “Bursitis” (英語). Gale Encyclopedia of Nursing and Allied Health. Gale, a Cengage Company. ISBN 978-1-4103-6313-8
- ^ Vigorita, Vincent J.; Ghelman, Bernard; Mintz, Douglas (2008). Orthopaedic Pathology (Second ed.). Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins. pp. 719, ISBN 978-0-7817-9670-5
- ^ 蛭崎隆男『肩関節疾患の循環動態に関する解剖ならびに臨床的研究』福岡大学、1984(昭和60)年3月23日。doi:10.11501/3161522 。2023年1月5日閲覧。医学博士(博士論文:甲第46号)。インターネット公開、図書館・個人送信対象外、遠隔複写利用不可。
- ^ 杉本英治(著)、日本医学放射線学会(編)「関節周囲の嚢胞性病変 : ガングリオンと滑液包炎 [Cystic lesions around the joint : Ganglion and bursitis]」(pdf)『日本医学放射線学会雑誌』第59巻第7号、大阪大学、1999年6月25日。