渡邊文麿

日本の仏教研究者 (1934-1990)

渡邊 文麿(わたなべ ふみまろ、1934年3月11日[1] - 1990年3月7日)は、パーリ仏教研究者(Ph.D)である。

山口県小野田市に生まれる。高等学校を卒業後、龍谷大学文学部、龍谷大学大学院でパーリ仏教を学ぶ。1965年カナダに留学し、トロント大学大学院に入学する。パーリ仏教研究者のA.K.WarderやH.Saddhatissaの指導を受け、1976年にPh.Dの学位を授与される。その後、近畿大学(言語学)の教授を経て、愛知学院大学文学部国際文化学科の教授となる。

また、1979年からPali Text Societyの日本代表を務め、海外の仏教研究者との交流にも力を注いだ。

1990年3月7日、胃ガンのため他界。

略歴

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  • 1934年 山口県小野田市に生まれる 
  • 1956年 龍谷大学文学部仏教学科卒業
  • 1958年 龍谷大学大学院文学研究科パーリ仏教専攻修士課程修了
  • 1961年 龍谷大学大学院文学研究科パーリ仏教専攻博士課程単位取得満期退学
  • 1967年 カナダ・トロント大学大学院東アジア研究科パーリ仏教専攻修士課程修了
  • 1970年 カナダ・トロント大学大学院サンスクリット・インド研究科インド・仏教哲学専攻博士課程単位取得満期退学
  • 1970年 名城大学法学部非常勤講師
  • 1972年 近畿大学専任講師
  • 1975年 近畿大学助教授
  • 1976年 Ph.D.(哲学博士)の学位授与(トロント大学)
  • 1978年 龍谷大学文学部非常勤講師
  • 1981年 近畿大学教授
  • 1985年 花園大学文学部非常勤講師
  • 1985年 広島大学大学院文学研究科非常勤講師
  • 1987年 愛知学院大学文学部国際文化学科教授
  • 1989年 名古屋大学文学部非常勤講師
  • 1990年 往生 

受賞歴

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山内慶華財団論文賞(1956)

著作リスト

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  • Philosophy and its Development in the Nikayas and Abhidhamma
  • 遊行経に学ぶ

英訳書

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  • Notes on 'Essentials of Faith Alone' 共著
  • Notes on Once-Calling and Many-calling 共著
  • Notes on the Inscription on Sacred Scrolls 共著
  • Passages on the Pure Land Way 共著
  • The True Teaching, Practice and Realization of the Pure Land Way, vol. 1 共著
  • The True Teaching, Practice and Realization of the Pure Land Way, vol. 2 共著
  • The True Teaching, Practice and Realization of the Pure Land Way, vol. 3 共著

論文

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  • 論書の始原形態
  • 論書の始原形態ー雑阿含と無碍解道との関係ー
  • 論書の始原形態ーDhammmasanganiを中心とせる心所の考察ー
  • 無余涅槃の始原的意義
  • 原始仏典におけるParinibbana
  • 涅槃の異名に関する研究
  • 有と涅槃の問題
  • The Principles of Reasoning and Forms of Argument in the Early Buddhist Canon
  • Logical Arguments in the Dialogues(suttas)
  • How the Dialogue on Dhammas was Conducted
  • A Semantical Study of the Word takka in Pali Texts
  • DhammakathaとCatechism
  • The Expression and Communication of thoughtーThe Role of Words in Religionsー
  • The Character and Function of Similes in the Nikayas
  • 続・感情語と比喩表現ースッタニパータからー
  • 続・viparinamadhammaの深層構造
  • AniccaViparinamadhamma
  • anumanaの語義変化
  • The Proto-Indo-European *gne and the Root jan in Pali
  • ニカーヤにおけるsuttaの核概念
  • anupubbikathaの問題点
  • A Study of the Puddala Chapter in the Kathavatthu and the Vijnanakaya
  • 翻訳と思想ー或るパーリ語をめぐってー
  • 近畿大学図書館所蔵「セイロン語の貝葉写本」について
  • クッダカニカーヤのオリジナル考
  • The Conception of Abhidhamma in the Nikayas and Amagas: its Characteristics
  • On Dhammacakkhu
  • 70年代のマレーシアの仏教
  • パーリ仏教における解脱思想
  • 翻訳伝承学の確立とその研究ー心・意・識と信(心)を中心にー
  • Invitation to Abhidhamma Philosophy
  • A Study of the Samskara Chapter in the Samyuktabhidharmasarasastra
  • Comtemporary Buddhism in Malaysia
  • ジャイナ教と原始仏教に関する比較研究
  • YOGAの意味論的研究ーパーリ語資料を中心にー
  • A Study of the First Chapter in the Abhidharmasarasastra
  • Samadhi and Jhana in Early Buddhism
  • Vikappa, Vitakka, Vicaraーパーリ語資料を中心にー
  • アビダルマにおける存在論の体系的研究ー翻訳伝承学の観点からー
  • 真俗二諦の起源と意義 共著
  • マレーシア華人と仏教
  • オーストラリアの仏教ーWA仏教会とS僧院の運営ー
  • オーストラリアの仏教の歴史と現況
  • English Translation of the Chung-Tsu-king

脚注

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  1. ^ 『現代物故者事典 1988~1990』(日外アソシエーツ、1993年)p.707

外部リンク

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