消化不良(しょうかふりょう、: Indigestion: dyspepsia)または、胃もたれ: upset stomach)は、上腹部の不快感胸やけ逆流などを生じた状態である[2]。また、腹部膨満感吐き気げっぷ、食事中の予想より早い満腹感などの症状もあげられる[5][6]。これらの症状は長期間続いたり再発したりすることが多い[6]。 消化不良は生活の質を下げることがある[1]

消化不良
別称 消化不良、胃もたれ
上腹部の位置、または、みぞおちとも呼ばれる
概要
診療科 消化器科
症状腹部の不快感胸やけ逆流[1][2]
原因 胃食道逆流症(GERD)、胃炎消化性潰瘍食道けいれん胃排泄遅延乳糖不耐症冠動脈疾患がん[3]
診断法 ヘリコバクター・ピロリ細菌の検査、内視鏡[1]
予防 喫煙、飲酒、コーヒー、チョコレート、高脂肪食品、肥満を避けること[2]
治療 制酸薬プロトンポンプ阻害薬ヒスタミンH2受容体拮抗薬s[2][4]
頻度 一般的[1]
分類および外部参照情報
Patient UK [1]

原因には、胃食道逆流症(GERD)、胃炎消化性潰瘍食道けいれん胃排泄遅延乳糖不耐症冠動脈疾患がん、などがあげられる[3]非ステロイド性抗炎症薬ビスホスホネート副腎皮質ホルモンなどいくつかの医薬品が原因となる場合もある[2]。機能性消化不良は、症状はあるが基礎疾患の証拠がない場合に診断されることがある[3]

60歳以上の人、または嚥下障害体重減少赤血球が少ないなどの懸念される症状がある人には、内視鏡(柔軟なチューブに取り付けられたカメラを喉から胃まで挿入する手順)による検査が勧められる[1]。60歳未満の人には、ヘリコバクター・ピロリ細菌の検査をし、陽性の場合には治療が勧められる[1]。アジア圏では、35歳以上の人に内視鏡検査が推奨される[1]

効果的な対策には、喫煙、飲酒、コーヒー、チョコレート、高脂肪食品、肥満などを避けることがあげられる[2]。就寝前の食事を控えることや寝る時に頭を高くすることなども効果的な場合がある[2]制酸薬が効果的であることが多いが、粘性のあるリドカインの添加が効果的かは不明である[4]プロトンポンプ阻害薬が使用されることが多く、これにヒスタミンH2受容体拮抗薬が加えられる場合がある[1]

消化不良は一般的にみられる症状であり、20%の人が生涯のある時点で罹患する[1]西洋諸国では機能性消化不良のケースが大部分の症例数をしめており、15%の人が罹患している[7][8]。消化不良は、平均余命の短縮とは関連しない。消化不良を意味する「dyspepsia」は、ギリシャ語で「悪い」を意味する「dys」と「消化」を意味する「pepse」からきている[5]。消化不良の症状は18世紀には説明されている[5]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i Eusebi, Leonardo H; Black, Christopher J; Howden, Colin W; Ford, Alexander C (11 December 2019). “Effectiveness of management strategies for uninvestigated dyspepsia: systematic review and network meta-analysis”. BMJ 367: l6483. doi:10.1136/bmj.l6483. PMC 7190054. PMID 31826881. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7190054/. 
  2. ^ a b c d e f g Recommendations | Gastro-oesophageal reflux disease and dyspepsia in adults: investigation and management | Guidance | NICE”. www.nice.org.uk (3 September 2014). 21 May 2023時点のオリジナルよりアーカイブ19 June 2023閲覧。
  3. ^ a b c Dyspepsia - Gastrointestinal Disorders”. Merck Manuals Professional Edition. 23 March 2023時点のオリジナルよりアーカイブ19 June 2023閲覧。
  4. ^ a b #289 Keeping it Simple for Emergency Room Dyspepsia”. CFPCLearn (3 May 2021). 1 July 2023時点のオリジナルよりアーカイブ15 June 2023閲覧。
  5. ^ a b c Schmidt-Martin, Daniel; Quigley, Eamonn M. M. (2011). “1. The definition of dyspepsia”. In Duvnjak, Marko. Dyspepsia in clinical practice (1. Aufl. ed.). New York: Springer. p. 2. ISBN 9781441917300. オリジナルの2023-01-10時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=UGpATfS5-T8C&pg=PA2 2022年3月28日閲覧。 
  6. ^ a b “Guidelines for the management of dyspepsia”. Am. J. Gastroenterol. 100 (10): 2324–37. (October 2005). doi:10.1111/j.1572-0241.2005.00225.x. PMID 16181387. 
  7. ^ “Review article: current and emerging therapies for functional dyspepsia”. Aliment. Pharmacol. Ther. 24 (3): 475–92. (August 2006). doi:10.1111/j.1365-2036.2006.03005.x. hdl:2027.42/74835. PMID 16886913. https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/2027.42/74835/1/j.1365-2036.2006.03005.x.pdf 2022年3月28日閲覧。. 
  8. ^ Ford, Alexander C.; Mahadeva, Sanjiv; Carbone, M. Florencia; Lacy, Brian E.; Talley, Nicholas J. (2020-11-21). “Functional dyspepsia” (English). The Lancet 396 (10263): 1689–1702. doi:10.1016/S0140-6736(20)30469-4. ISSN 0140-6736. PMID 33049222. https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30469-4/abstract 2022年3月28日閲覧。.