海王丸 (2代)

日本の海技教育機構が保有運用する航海練習船

海王丸(かいおうまる、英語: Kaiwo Maru)は、独立行政法人海技教育機構が運航する航海練習船日本丸と並ぶ日本を代表する大型帆船である。本項では、1989年平成元年)に竣工した2代目(海王丸II世)を取り扱う。外見は日本丸と似ているが、発電機や主機、救命艇、プロペラ、種別など異なる部分が多い。

海王丸 (2代)
横浜港で総帆展示を行う本船(2009年)
基本情報
船種 航海練習船練習帆船
船籍 日本の旗 日本
運用者 海技教育機構
建造所 住友重機械追浜造船所浦賀工場
姉妹船 2代目日本丸
経歴
進水 1989年3月7日[1]
竣工 1989年9月15日
就航 1989年
現況 就航中
要目
総トン数 2,556トン
全長 110.09 m
垂線間長 86.0 m
全幅 13.8 m
型幅 10.7 m
機関方式 ディーゼル
主機関 ヤンマーZ280-STディーゼルエンジン 2基
出力 3,000 PS
航海速力 13ノット
航続距離 9,800海里
搭載人員 199名
テンプレートを表示

船歴

編集

初代海王丸の後継として、1989年平成元年)に全通船楼甲板船として就航したのが海王丸II世である。

先代の海王丸に比べて大型化がなされ、また、日本丸II世で培われた建造技術をさらに進歩させ、帆走時には抵抗となるプロペラの迎え角を水流に平行とすることにより抵抗を減少させる、フェザリング機能を有する可変ピッチプロペラの採用などにより日本丸II世をしのぐ帆走性能を得た。その年で最速の帆船に贈られる「ボストン・ティーポットトロフィー」を1990年(平成2年)、1991年(平成3年)、1994年(平成6年)、1995年(平成7年)と4回受賞(日本丸II世は3回受賞)している。なかでも1995年(平成7年)には124時間で1394マイルを帆走する記録を打ち立てている。

海王丸II世は国有ではなく、民間の寄付により建造された。

公益財団法人海技教育財団が所有しており、独立行政法人海技教育機構用船契約される形で運航されている。海技教育財団が、一般社会人向けの体験航海・遠洋航海コースを実施しているが、海事教育機関練習船であるため、実習生の参加人数により一般募集枠が少なくなる場合もある。

補足として、日本丸II世との外見の違いは「船首像」「船体のライン数」「救命艇の形状」「後部フード(舵輪の屋根)の形状」である。

座礁事故

編集

2004年(平成16年)10月20日22時47分、海王丸II世は台風23号を避けようと伏木富山港沖で錨泊していたが、暴風により走錨し、伏木富山港富山地区の防波堤座礁した[2]

10月21日8時45分に救助が開始。15時20分に167名全員が救助された。内30名が負傷した[3]

地元の船はこのような避難行動を行わず、海上保安庁からも伏木地区は台風回避に適当ではないと勧告されており、このときの船長は後日判断ミスを認めた。

11月24日になり、35日間座礁したままになっていた海王丸II世はクレーン船2隻でつり上げられて離礁し、仮修理のため近くの新日本海重工業造船所へ曳航された。船底だけで130箇所も損傷があったため長引いたが、2005年(平成17年)4月5日に仮修理が完了し、本格的修理のためIHI横浜工場へ曳航された。左舷側を中心に約4割の鋼材が取り替えられるなどされ、2006年(平成18年)1月5日、修理が完了した。

両地区の間にある新湊地区の海王丸パークには、航海練習船を退いた海王丸が係留されており、海王丸II世の寄港によって両船が初めて揃う予定であったが、これが実現したのは座礁事故から約1年9か月を経た2006年(平成18年)7月15日のことであった。

設計

編集

4檣バーク型帆船で、メインマスト高は43.5 m(船楼甲板からの高さ)、総帆数36枚(総面積2,760平方メートル)である。

24時間テレビ

編集

ギャラリー

編集

脚注

編集
  1. ^ “「海王丸」七日に進水式”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年3月3日) 
  2. ^ 海上保安レポート 2005 台風23号への対応 - 国土交通省
  3. ^ 海王丸事故後の経過について - 独立行政法人航海訓練所[リンク切れ]アーカイブ
  4. ^ 日本テレビ「24時間テレビ」タイムテーブル

関連項目

編集

外部リンク

編集