泉神社 (日立市)
泉神社(いずみじんじゃ)は茨城県日立市にある神社である。『延喜式神名帳』の「天速玉姫命神社」に比定されており、境内にある湧泉は『常陸国風土記』に「密筑の里の大井」として記述がある。椎や松から成る境内の泉ヶ森は茨城県の史跡に指定されている。
泉神社 | |
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拝殿 | |
所在地 | 茨城県日立市水木町2-22-1 |
位置 | 北緯36度31分6.79秒 東経140度37分29.67秒 / 北緯36.5185528度 東経140.6249083度座標: 北緯36度31分6.79秒 東経140度37分29.67秒 / 北緯36.5185528度 東経140.6249083度 |
主祭神 | 天速玉姫命 |
社格等 |
式内社(小)論社 旧郷社 |
創建 | 不詳、一説に崇神天皇四九年 |
本殿の様式 | 流造 |
例祭 | 5月3日 |
主な神事 |
当屋祭 - 旧暦2月12-14日 日立のささら(茨城県指定無形民俗文化財) |
地図 |
祭神
編集祭神は次の1柱[1]。
- 天速玉姫命(あまのはやたまひめのみこと[2])
天速玉姫命は記紀には登場しない神である[1]。『茨城県神社誌』によれば、「天速玉姫命は天棚機姫命の女で、天太玉命の后神、天比理刀咩命とも云う」としている[1]。祭神名の「速玉」は清泉の美称であり、大井という湧泉が神格化されたものが本祭神と考えられている[4]。『日本三代実録』では「姫」の字がない「天速玉神」について言及があるが、『式内社調査報告』などでは天速玉姫命と同神と見なしてよいとしている[5]。
歴史
編集創建年代は不詳[1][4]。崇神天皇49年に久自国造の船瀬宿禰による創建とする説もあるが[3]、船瀬宿禰は成務天皇の時代の者であり、後世の創作だと指摘されている[1]。境内の泉ヶ森は『常陸国風土記』久慈郡の条にある「密筑の里の大井」に比定され、泉神社は『延喜式神名帳』に記載されている「天速玉姫命神社」に比定される[1]。なお、『常陸国風土記』には泉神社に関する記述はない[5]。
『日本三代実録』によれば、天速玉神は866年(貞観8年)5月27日に正六位上から従五位下に昇階し、874年(貞観16年)12月29日には従五位下から従五位上に昇階している[6]。『延喜式神名帳』では常陸国久慈郡に「天速玉姫命神社」と記載され、小社に列せられている[1]。明治維新後は、明治6年(1873年)4月に近代社格制度において郷社に列せられた[1]。
現存する棟札によれば、1530年(享禄3年)に佐竹義篤が社殿を修理し社号を泉大明神に改めたとされる[4]。永禄3年には佐竹義昭が社殿の葺替えをし、江戸期には水戸藩の保護下で寛延3年6月26日に造営が行われた[6]。その後、享和年間(1801-1804年)に社殿を焼失し、文化年間(1804-1818年)に再建した[4]。1960年(昭和35年)に再び社殿を焼失し、1961年(昭和36年)に仮社殿を建築した[4]。『常陸多賀郡史』によれば、消失前の社殿は本殿の間口九尺・奥行き八尺、拝殿は表四間三尺、奥行き二間三尺であったとされる[5]。
境内
編集境内の敷地は1185坪(3917平方メートル)、境外所有地は6655坪(2万2000平方メートル)[3]。1961年(昭和36年)に建てられた社殿は、本殿が鉄筋コンクリート製の流造で間口一間二尺・奥行き二間、拝殿は屋根がトタン葺入母屋造で間口三間三尺・奥行き三間である[5]。
泉神社の境内一帯は泉ヶ森と呼ばれ、茨城県の史跡に指定されている[6]。椎や松などの常緑樹から構成される[4]。『常陸国風土記』久慈郡の条に「密筑の里の大井」とあるのが泉ヶ森とされる[2]。泉ヶ森北東部には、周長約40メートル、最大水深約2メートルの湧泉がある[4]。この泉はすり鉢のように池の中心に向かって急に深くなり、大小20余の泉穴がある[4]。
境内社
編集境内社は下記の通り[7]。
- 厳島神社 - 市寸島比売命
- 三峯神社 - 伊弉藷神・伊弉冉神
- 鷺杜神社 - 天玉柱屋姫命
- 富士神社 - 木花開邪姫命
- 豊稔神社 - 月讀命・大穴牟遅命
- 稲荷神社 - 宇迦之御魂大神
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三峰神社
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厳島神社
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鷺杜神社・富士神社・豊稔神社・稲荷神社
祭事
編集文化財
編集県指定無形民俗文化財
編集- 日立のささら - 1963年(昭和38年)8月23日指定[8]。
県指定史跡
編集交通アクセス
編集出典
編集参考文献
編集- 茨城県神社誌編纂委員会 編『茨城県神社誌』茨城県神社庁、1973年。
- 式内社研究会 編『式内社調査報告 第11巻 東海道6』皇学館大学出版部、1976年。
- 『茨城県大百科事典』茨城新聞社、1981年。
- 『日本歴史地名体系 8 茨城県の地名』平凡社、1982年。
- 『角川日本地名大辞典 8 茨城県』角川書店、1983年。
- 鎌田啓司『茨城の神社覚書I』1986年。
- 鎌田啓司『茨城の神社覚書II』1993年。