治療共同体
治療共同体(ちりょうきょうどうたい、Therapeutic community、TC)とは、精神疾患、パーソナリティ障害、薬物依存、ホームレス、女性や児童青年らに対しての長期的な参加型集団アプローチである[1][2]。このアプローチは、環境療法の理論をベースとし、さらに集団精神療法を実施するものである。現在は世界65カ国で取り入られている[1]。
初期においては、TCは個人のグループで行われるものであり[1]、クライアントと治療者が共に居住するスタイルが主流であった。現在では法人化されるグループも多く[1]、ユニットケア型に移行したり、医療専門家が常駐するところが多くなっている[1]。また矯正制度に組み込まれるケースもあり、隔離された囚人居住エリアでTCが実際されるグループもある[1]。
TCは、イギリスにおいてリハビリテーション成功率や患者満足度などで評判を得ている手法である。近年では社会的入院の解決策としてTCが注目されつつある。
歴史
編集米国
編集米国初のTCは、1958年のSynanon residential rehabilitation communityとされる[1]。
矯正制度においては、1960年代末にアスクレピオン財団がTCをマリオン連邦刑務所などの施設にて始めたことによる。そこでは交流分析(TA)、Synanonゲーム、12ステップのプログラムなどの臨床治療が行われていた。1980年代半ばでは、思想の家などがバージニア州矯正システムで活動を行い、このプログラムに1年以上参加した薬物犯、重罪犯、性犯罪らは、再犯率が17%減少したことが示された。
現在も米国のいくつかの州では、修正型TCが薬物犯の矯正施設にて実施されている (ペンシルベニア州[3]、コロラド州[4]、テキサス州[5]、デラウエア州[6]、ニューヨーク州[7])。ニューヨーク市では、男性施設ではアーサー・キル矯正施設、女性施設ではベイビュー矯正施設で実施されている[8]。
日本
編集日本でTCを運営している団体には、一般社団法人ワンネスグループ、島根あさひ社会復帰促進センターの「薬物離脱プログラム」などがある[2]。
脚注
編集- ^ a b c d e f g アメリカ国立薬物乱用研究所 (June 2015). What Are Therapeutic Communities? (Report). アメリカ国立衛生研究所.
- ^ a b 『平成23年度「アメリカにおける青少年の薬物乱用対策に関する企画分析」』(レポート)内閣府 共生社会政策担当、2012年3月 。
- ^ Pennsylvania Department of Corrections
- ^ Stout Street Foundation
- ^ Texas Department of Criminal Justice
- ^ Therapeutic Community In a Correctional Setting
- ^ Therapeutic Communities Association of New York State
- ^ Stay'n Out: In-prison Treatment Programs for Men & Women
関連項目
編集外部リンク
編集- European Federation of Therapeutic Communities (EFTC) - 欧州の連合会
- World Federation of Therapeutic Communities (WFTC) - 世界の連合会
- The association of therapeutic communities
- The Planned Environment Therapy Trust, including the PETT Archive and Study Centre
- Therapeutic Community Open Forum
- Another Way TLP
- Gould Farm Healing Community
- CooperRiis Healing Community
- American Residential Treatment Association
- Fountain House
- Clubhouse International
- 一般社団法人ワンネスグループ