没食子酸
有機化合物の一つ
没食子酸(もっしょくしさん または ぼっしょくしさん、gallic acid)は、有機化合物の一種で、芳香族カルボン酸。別名3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸。白色の吸湿性の結晶で、昇華点 210 ℃。加熱すると脱炭酸してピロガロールを生じる。1818年にフランスの薬学者アンリ・ブラコノーにより発見され、テオフィル=ジュール・ペルーズにより研究された[1]。
没食子酸 | |
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3,4,5-trihydroxybenzoic acid | |
別称 ガリル酸 ガロ酸 3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 149-91-7, [5995-86-8](一水和物) |
PubChem | 370 |
J-GLOBAL ID | 200907000634034951 |
KEGG | C01424 |
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特性 | |
分子式 | C7H6O5 |
モル質量 | 170.12 g/mol |
示性式 | C6H2(OH)3CO2H |
精密質量 | 170.021523 |
外観 | 白色の結晶 |
密度 | 1.7 g/cm3 (無水) |
融点 |
250 °C, 523 K, 482 °F |
水への溶解度 | 1.1 g/100 ml @ 20°C (無水) 1.5 g/100 ml @ 20 °C (一水和物) |
酸解離定数 pKa | COOH: 4.5, OH: 10. |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC 1174 External MSDS |
主な危険性 | 刺激性 |
関連する物質 | |
関連物質 | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
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概要
編集五倍子(ヌルデの虫こぶ)、没食子(中近東のブナ・カシワの虫こぶ)、マンサク科の植物ハマメリス(Witch-hazel)、茶の葉、オークの樹皮など、多くの植物に含まれる。加水分解性タンニンの基本骨格を成す。
アルカリ性水溶液は還元力が強く、還元剤、写真の現像剤に使われる。また、タンニン合成の原料になり、青インク(没食子インク)の製造に使われ、さらに、没食子酸プロピル、没食子酸イソアミルなどのエステルとして油脂・バターの酸化防止剤にも使用される。カテキンの一種、エピガロカテキンガレートも没食子酸のエステルである。
脚注
編集- ^ “没食子酸 | ディー・エス・エス株式会社”. 2021年8月26日閲覧。