池山 直(いけやま なお、1969年9月18日 - )は、日本の元女子プロボクサー岡山県真庭市出身[2]。初代WBO女子世界アトム級王者。フュチュール所属。岡山県立岡山操山高等学校卒業[3]。男女通じて日本人最年長記録となる44歳で世界王座奪取を果たした。また、男女通じて日本人最年長記録となる52歳で公式試合出場も果たしている。

池山 直
基本情報
通称フォアマン[1]
階級 アトム級
国籍 日本の旗 日本
誕生日 (1969-09-18) 1969年9月18日(55歳)
出身地 岡山県真庭市
スタイル オーソドックス
プロボクシング戦績
総試合数 28(JBCによる女子公認前後の通算)
勝ち 18
KO勝ち 5
敗け 6
引き分け 4
テンプレートを表示

来歴

編集
  • 2001年に健康維持のためそれまで格闘経験も無かったが、ジムの扉を叩く。2003年8月にプロライセンス取得。公務員(岡山市職員)のためファイトマネーは受け取っていない。
  • 2003年11月30日、上村里子戦で白星デビュー。この時34歳だった。
  • 2005年6月12日、北沢タウンホールにて日本ミニフライ級王座を懸け、因縁の菊地に挑むもドローで王座奪取ならず。菊地はその後日本王座を返上し、WBCF世界ストロー級王座を獲得している。
  • 2006年4月30日、日本ミニフライ級王座決定戦に出場し、アヤカを8回TKOで退け王座獲得。
  • 2006年10月1日、西田久美子に判定で初防衛。
  • 2007年11月18日、WIBA世界ミニマム級王座決定戦をオレンジホールでクリスティーナ・ベレンスキーと行い、10R判定勝ちを収め王座を獲得した。

JBC - 一時引退

編集
  • 2008年JBCの女子公認に合わせ、フジワラボクシングジムから中外ボクシング&スポーツジムに移籍。38歳という年齢ながら特例で受験を認められ4月29日に行われた関西地区初の女子プロライセンス試験にB級合格した[4][5]
  • 2008年8月3日、香川県坂出市の坂出サティホールでノーンブア・ルークプライアリー(タイ)とのノンタイトル戦で2RTKOで勝利。
  • 2008年11月25日、坂出サティホールで上村里子とのノンタイトル戦で、6R3-0判定勝ち。
  • 2009年1月30日、所属していた中外ジムが不祥事での活動停止のため、西日本ボクシング協会預かり選手となった。
  • 2009年5月2日、WBC女子世界アトム級王者小関桃に後楽園ホールで挑戦し、0-3判定で敗れ日本最年長記録での世界タイトル奪取ならず。
  • 2010年8月15日、韓国で朴智賢が持つIFBAミニマム級王座に挑戦。判定負け。
  • 2010年12月5日、小田美佳に勝利したが、父の訃報のため一度引退。

復帰 - WBO世界王座獲得

編集
  • 2013年、京都のフュチュールに移籍して3年ぶりに復帰[6]。地元のジムで後輩と接していくうちに、夢を諦めたままでいいのかという気持ちが沸いたのがきっかけだった[7]
  • 2013年12月14日、アゼリア大正にて復帰戦として岩川美花と対戦し、判定勝利。
  • 2014年5月17日、復帰第2戦にして、初代WBO女子世界アトム級王座決定戦としてジョゼベル・パガデュアンと対戦(WBC女子ミニフライ級の安藤麻里 vs 黒木優子とのダブル世界戦)[8]。試合は3-0判定で勝利し、藤岡奈穂子の38歳2ヶ月26日(当時)を上回る44歳7ヶ月29日で国内最年長世界王座獲得記録、そして日本人初の40代世界チャンピオンを戴冠した[9]。JBC公認タイトル獲得としてもそれまでのつのだのりこの42歳1ヶ月を上回る最年長記録であった(2024年4月6日野中悠樹が46歳3ヶ月に更新。女子としては現在も最年長記録)。
  • 2014年9月20日、同じく現役復帰した秋田屋まさえ相手に初防衛戦(WBO女子ミニフライ級の池原シーサー久美子 vs グレッツェン・アバニエルとのダブル世界戦)[10]。2回にダウンを奪った後、中盤はパンチを押される場面もあったが、後半の巻き返しで3-0の判定勝利で、45歳2日での国内最年長世界王座防衛を果たした[11]
  • 2015年2月28日、2度目の防衛戦として過去に東郷理代と対戦経験を有するノル・グロと対戦[12]。3-0の判定で2度目の防衛に成功し、自身が持つ国内最年長防衛記録を45歳5ヶ月に更新した[13]
  • 2015年12月19日、ジュジース・ナガワ相手に3度目の防衛戦を行い、3-0の判定で3度目の防衛に成功[14]。この試合はスリランカコロンボにて同国初のプロボクシング興行の一戦として挙行された[15]
  • 2016年6月13日、後楽園ホールにて東洋太平洋ミニフライ級王者花形冴美の挑戦を受け、1-1(96-94、94-96、95-95)の引分で辛くも4度目の防衛に成功、最年長防衛記録も46歳8ヶ月に更新した[1][16]
  • 2016年12月13日、後楽園ホールにて元WBAライトミニマム級王者宮尾綾香と10年ぶりの再戦を6回TKOで締め、5度目の防衛に成功[17]。最年長防衛記録も47歳2ヶ月に更新するとともに、猪崎かずみが持っていた公式試合最年長出場記録も更新した。また、横田広明が持っていた男女最年長KO勝利記録も更新した。
  • 2017年7月11日、後楽園ホールにて花形冴美と6度目の防衛戦を行い、16年6月同様再度のスプリットディシジョン(96-94、94-96、95-95)の引分防衛に成功し、自身の持つ最年長世界王座防衛記録を47歳9ヶ月に更新した[18]

王座陥落 - 引退

編集
  • 2018年7月29日、KBSホールにてアマチュア全日本王者の経験を持つ岩川美花と7度目の防衛戦を行うが、1-2(96-94×2、94-96)の判定で敗れ、4年2ヶ月保持した王座から陥落、JBCから「負けたら引退」の勧告を受けていた48歳の池山は試合後に一度は引退を表明した[19]
  • しかし、宮尾綾香とのWBA女子世界アトム級暫定王座決定戦が決まり引退を撤回、2018年11月20日に後楽園ホールにて試合に臨むが0-3(97-92×2、96-93)の判定で敗れ49歳2ヶ月での王座返り咲きはならなかった[20]
  • 2019年4月14日、KBSホールにて元WBC女子世界ミニフライ級王者黒木優子とノンタイトルで対戦し、1-1の判定で引き分け[21]。9月に50歳を迎えるが、去就については「ちょっと考えます」と明言を避けた[22]
  • 2021年10月15日、後楽園ホールにて2年ぶりの試合として元WBO女子世界ミニマム級王者江畑佳代子の引退試合の相手となるが[23][注 1]、試合は最終6回にダウンを奪われ、0-3判定で敗れた[25]。なお、試合時点で52歳27日となり、国内初の50代での公式試合出場となった。
  • 2023年4月15日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)第2競技場にて引退式[INS 1]。IBF女子世界アトム級王者の岩川美花と引退スパーリングを行い、53歳ながら素早い出入りとボディ打ちで衰え知らずの軽快な動きを披露し、20年に及ぶプロボクサー人生に幕を下ろした[26]

戦績

編集
  • JWBC:10戦 8勝 3KO 1敗 1分
  • JBC:18戦 10勝 2KO 5敗 3分
日付 勝敗 時間 内容 対戦相手 国籍 備考
1 2003年11月30日 4R 判定3-0 上村里子   日本 プロデビュー戦
2 2004年2月22日 2R KO 櫻田由樹   日本
3 2004年5月23日 4R 判定0-3 菊地奈々子   日本 日本ミニフライ級トーナメント
4 2005年3月13日 6R 判定3-0 渡辺まりか   日本 日本ミニフライ級王座次期挑戦者決定戦
5 2005年6月12日 8R 判定1-1 菊地奈々子   日本 日本ミニフライ級タイトルマッチ
6 2005年11月20日 6R 判定3-0 ジプシー・タエコ   日本
7 2006年4月30日 4R 2:00 TKO アヤカ   日本 日本ミニフライ級タイトルマッチ
8 2006年10月1日 8R 判定2-1 西田久美子   日本 日本王座防衛1
9 2007年5月13日 3R 1:16 KO 金那慶   韓国
10 2007年11月18日 10R 判定3-0 クリスティーナ・ベレンスキー   ハンガリー WIBA世界ミニマム級タイトルマッチ
11 2008年8月3日 2R 0:46 TKO ノーンブア・ルークプライアリー   タイ
12 2008年11月23日 6R 判定3-0 上村里子(山木)   日本
13 2009年5月2日 10R 判定0-3 小関桃(青木)   日本 WBC女子世界アトム級タイトルマッチ
14 2010年5月16日 6R 判定3-0 秋田屋まさえ(ワイルドビート)   日本
15 2010年8月15日 10R 判定0-3 朴智賢   韓国 IFBA世界ミニマム級タイトルマッチ
16 2010年12月5日 6R 判定2-1 小田美佳(宮田)   日本
17 2013年12月14日 6R 判定2-0 岩川美花(井岡弘樹)   日本
18 2014年5月17日 10R 判定3-0 ジョゼベル・パガデュアン   フィリピン WBO女子世界アトム級王座決定戦
19 2014年9月20日 10R 判定3-0 秋田屋まさえ(ワイルドビート)   日本 WBO防衛1
20 2015年2月28日 10R 判定3-0 ノル・グロ   フィリピン WBO防衛2
21 2015年12月19日 10R 判定3-0 ジュジース・ナガワ   フィリピン WBO防衛3
22 2016年6月14日 10R 判定1-1 花形冴美(花形)   日本 WBO防衛4
23 2016年12月13日 6R 0:36 TKO 宮尾綾香(ワタナベ)   日本 WBO防衛5
24 2017年7月11日 10R 判定1-1 花形冴美   日本 WBO防衛6
25 2018年7月29日 10R 判定1-2 岩川美花(高砂)   日本 WBO陥落
26 2018年11月20日 10R 判定0-3 宮尾綾香   日本 WBA女子世界アトム級暫定王座決定戦
27 2019年4月14日 10R 判定1-1 黒木優子(YuKOフィットネス)   日本
28 2021年10月15日 6R 判定0-3 江畑佳代子(ワタナベ)   日本 江畑の引退試合
テンプレート

獲得タイトル

編集

受賞歴

編集
  • 京都府スポーツ特別奨励賞[27]
  • 岡山市民スポーツ栄誉賞[28]
  • WBO10月度月間最優秀選手[29]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 当初メインはWBO女子世界アトム級タイトルマッチ岩川美花 vs 鈴木菜々江を予定していたが、岩川の負傷のため中止になった[24]

出典記事

編集
  1. ^ a b “池山直がドローV4、花形冴美は3度目の正直ならず”. Bpxing News. (2016年6月13日). http://boxingnews.jp/news/38294/ 
  2. ^ DANGAN187 ダブルタイトルマッチ”. DANGAN. 2022年2月12日閲覧。
  3. ^ 岡山市長メールマガジン「伝説のおかやまの挑戦」(18) 6月2日号”. 岡山市. 2014年6月2日閲覧。
  4. ^ 関西地区女子B級4月29日実施 受験者1名 合格者1名 合格率100%』(プレスリリース)一般財団法人日本ボクシングコミッションhttp://www.jbc.or.jp/web/test/2008/04f.pdf2015年2月14日閲覧 
  5. ^ “女子世界王者の池山がプロテストに合格”. 日刊スポーツ. (2008年5月1日). https://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20080501-354525.html 2015年2月14日閲覧。 
  6. ^ 選手紹介 池山直”. フュチュール (2013年12月11日). 2013年12月14日閲覧。
  7. ^ NHK岡山放送局 (2014年6月11日). “池山直選手 大きな挫折を経て 2014年6月11日(水)放送”. 岡山ニュース もぎたて!. 2014年11月19日閲覧。
  8. ^ “池山直がWBO挑戦!ダブル世界戦に”. デイリースポーツ. (2014年4月11日). http://www.daily.co.jp/newsflash/ring/2014/04/11/0006855876.shtml 
  9. ^ “44歳池山、最年長王者に=黒木はWBC王座奪取-WBO女子アトム級”. 時事通信. (2014年5月17日). http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2014051700280 
  10. ^ “池山vs秋田屋、池原vsアバニエル、9.20女子W世界戦”. Boxing News. (2014年7月29日). http://boxingnews.jp/news/16156/ 
  11. ^ “【BOX】45歳池山が初防衛!2回にダウン奪った”. スポーツ報知. (2014年9月20日). https://web.archive.org/web/20140924053429/http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20140920-OHT1T50195.html 
  12. ^ “WBOダブル世界戦!池原シーサー久美子vsジェゼベル・パガデュアン!池山直vsノルブロ!安藤麻里復帰戦!2.28 TO THE FUTURE VOL.19~未来へ~ アゼリア大正”. Lady Go!. http://blog.livedoor.jp/ladygo1999/archives/8681485.html 2015年1月19日閲覧。 
  13. ^ “45歳5カ月の池山直が年長防衛更新”. デイリースポーツ. (2015年2月28日). https://www.daily.co.jp/newsflash/ring/2015/02/28/0007778444.shtml 
  14. ^ “池山直がスリランカでV3、WBO女子アトム級”. Boxing News. (2015年12月20日). http://boxingnews.jp/news/33234/ 
  15. ^ “国内最年長防衛の46歳池山、次戦はスリランカ V3に挑戦”. デイリースポーツ. (2015年11月4日). https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2015/11/04/kiji/K20151104011447740.html 
  16. ^ “王者・池山直V4、46歳8カ月最年長世界王座防衛”. 日刊スポーツ. (2016-0613). https://www.nikkansports.com/battle/news/1662758.html 
  17. ^ “池山直が6回TKO勝ちでV5、宮尾綾香は足負傷で涙”. Boxing News. (2016年12月13日). http://boxingnews.jp/news/43359/ 
  18. ^ “47歳池山が6度目防衛 ボクシング女子、最年長更新”. 日本経済新聞. (2017年7月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK20807_R10C17A7000000/ 
  19. ^ “48歳の池山直が王座陥落、岩川美花が新王者に”. Boxing News. (2018年7月29日). https://boxingnews.jp/news/59801/ 2019年6月30日閲覧。 
  20. ^ “宮尾綾香が池山直に判定勝ち WBA女子アトム級暫定王座獲得”. Boxing News. (2018年11月20日). https://boxingnews.jp/news/62643/ 2019年6月30日閲覧。 
  21. ^ “レジェンド池山直vs黒木優子 元王者対決はドロー 小澤瑶生が日本女子フライ級王者に”. Boxing News. (2019年4月15日). https://boxingnews.jp/news/66314/ 2019年6月30日閲覧。 
  22. ^ “元世界王者対決は引き分け 今年50歳の池山、今後は「ちょっと考えます」”. Sponichi Annex. (2019年4月14日). https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2019/04/14/kiji/20190414s00021000463000c.html 2019年6月30日閲覧。 
  23. ^ “10.15女子世界アトム級戦 王者の岩川美花と鈴木菜々江がダイレクトリマッチ”. Boxing News. (2021年8月30日). https://boxingnews.jp/news/85486/ 2021年9月1日閲覧。 
  24. ^ “岩川美花の負傷で女子世界戦延期も興行実施 セミは晝田瑞希のデビュー戦”. スポーツ報知. (2021--10-07). https://hochi.news/articles/20211007-OHT1T51087.html?page=1 2021年10月17日閲覧。 
  25. ^ “【ボクシング】元世界王者対決は江畑佳代子が有終の美飾る/すでにチャンピオン級! 晝田瑞希が鮮やかにプロデビュー”. BBM Sports. (2021年10月16日). https://www.bbm-japan.com/article/detail/25927 2021年10月17日閲覧。 
  26. ^ “国内最年長世界王者の女子ボクサー池山直が53歳で引退「今後も勇猛邁進で前に出る人生を」”. デイリースポーツ. (2023年4月15日). https://www.daily.co.jp/ring/2023/04/15/0016247636.shtml 2023年4月16日閲覧。 
  27. ^ “女子世界王者の池山、池原に京都府スポーツ特別賞”. Boxing News. (2014年10月14日). http://boxingnews.jp/news/18680/ 
  28. ^ “WBO女子アトム級王者 池山直選手に「岡山市民スポーツ栄誉賞」”. 瀬戸内海放送. (2014年10月15日). http://www.ksb.co.jp/newsweb/index/2192 
  29. ^ “池原と池山WBO女子月間賞、マイキーはS・ライト級へ”. Boxing News. (2014年10月21日). http://boxingnews.jp/news/18909/ 

インスタグラム

編集
  1. ^ 真正ボクシングジム [@shinseiboxinggym] (2023年3月6日). "【興行のお知らせ📣】". Instagramより2023年3月6日閲覧

関連項目

編集

外部リンク

編集
前王者
菊地奈々子
第5代JWBCミニフライ級王者

2004年9月18日 - 2005年

次王者
アンリ
空位
前タイトル保持者
ホリー・ダナウェイ
第3代WIBA世界ミニマム級王者

2007年11月18日 - 2007年

空位
次タイトル獲得者
グレッツェン・アバニエル
前王者
N/A
初代WBO世界アトム級王者

2014年5月17日 - 2018年7月29日

次王者
岩川美花