水酸化アンモニウム
水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)は、アンモニアの水溶液を示す場合に用いられる名称である。アンモニア水(ammonia water)とも呼ばれ、NH3(aq)と表すことができる。アンモニア水中の電離平衡において中間体として NH4OH の存在が仮定されたこともあるが[2]、この化学種の存在は否定されている[3]。
水酸化アンモニウム | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 1336-21-6 |
ChemSpider | 14218 |
UNII | 5138Q19F1X |
E番号 | E527 (pH調整剤、固化防止剤) |
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特性[1] | |
化学式 | NH4OH |
モル質量 | 35.04 g/mol |
外観 | 揮発性の高い水溶液, 無色透明, 苦い臭気を持つ |
密度 | 0.91 g/cm3 (25 %) 0.88 g/cm3 (32 %) |
融点 |
−57.5 ℃ (25%) |
沸点 |
37.7 ℃ (25%) |
水への溶解度 | 混和性 |
危険性 | |
EU分類 | Corrosive (C) Dangerous to the environment (N) |
Rフレーズ | R34, R50 |
Sフレーズ | (S1/2), S26, S36/37/39, S45, S61 |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 塩化アンモニウム シアン化アンモニウム |
その他の陽イオン | 水酸化テトラメチルアンモニウム |
関連物質 | アンモニア ヒドロキシルアミン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
塩基性度
編集水溶液中ではアンモニアと水は次のような平衡にある。
1Mのアンモニア水溶液では、約0.42%のアンモニアがアンモニウムイオンとなり、pHは11.63となる。塩基解離定数は:
実験室での用途
編集アンモニア水は伝統的に定性分析に用いられる。他のアミンと同様に銅(II)イオンと混合すると深青色の溶液になる。硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えると酸化銀(I)が沈殿するが、アンモニア水を過剰量加えるとジアンミン銀(I)イオン錯体として溶解する。これはトレンス試薬と呼ばれる。
アンモニア水をCu2+のような金属イオンの存在下で過酸化水素水と混合すると、過酸化水素が急激に分解する。
脚注
編集- ^ Record 労働安全衛生研究所(IFA)発行のGESTIS物質データベース
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
- ^ Housecroft, C. E.; Sharpe, A. G. (2004). Inorganic Chemistry (2nd ed.). Prentice Hall. p. 187. ISBN 978-0130399137.