楡井 久(にれい ひさし、1940年10月[1] - 2021年1月28日[2])は、日本の環境地質学者[3]

経歴

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福島県会津地方生まれ[1]。大学で地質学を専攻[1]1970年千葉県職員となり[1]、以降30年近くにわたり地盤沈下地質汚染液状化などに関わった[1][4]1976年から就任していた水質保全研究所・地質環境第一研究室室長を最後に県職員を退職し、1998年4月から茨城大学に転じて、広域水圏環境科学教育研究センター陸水域環境自然史分野の教授に着任した[3][5]2006年、茨城大学を定年退職し、在職中に就任していた特定非営利活動法人日本地質汚染審査機構理事長(専従)となった[1][6]

2021年1月28日、死去[7]

千葉セクションの国際標準地をめぐって

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千葉セクション国際標準模式層断面及び地点(地球磁場逆転層チバニアン))としての登録申請をめぐる動きの中で、当初は楡井も申請を推進する立場から発言していた[4]。ところが、2010年代後半になると、申請を進めようとしていたグループの研究に不適切な部分があり、認められないとする見解を示すようになった[8]

楡井を会長とする研究団体「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」は、2018年1月中旬に、現地の民有地部分に、所有者の協力を得てコンクリートブロック製の階段を設けた[9][10]。これに対して、天然記念物としての指定を目指していた市原市は、現状変更にあたるとして困惑していると報じられた[10]2019年5月、楡井は現地の民有地の所有者から前年の内に借地権を取得していたことを公表し、これを根拠に他の研究者の自由な立ち入りを拒むこともあり得ると述べ、これによって現地への自由な立ち入りが前提となっている国際標準模式層断面及び地点への登録は極めて困難になったと報じられた[11]。事実、申請手続きが一時中断した[12]

上記に対し、2019年9月19日、市原市が提出していた「同地層へ研究者が調査や研究を進めるため立ち入ることを、土地の所有者や賃借権者らが正当な理由なく妨げてはならないことや、妨げた場合は5万円以下の過料を科す罰則規定を定めた条例案」が全会一致で可決・成立した[13][14][15]。「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」の一連の活動は、日本ジオパークネットワーク運営会議 保全ワーキンググループによって「ジオパーク活動の趣旨から外れた問題のある行動」と指摘されている[16]

2020年1月17日、韓国で行われた国際学会での理事会での投票の結果、千葉セクションの国際標準地への登録が認められ、正式に「チバニアン」と名付けることが決まった[15][17][18]

脚注

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  1. ^ a b c d e f 兜森衛. “「チバニアン」めぐり地質学者同士が泥沼論争…「データのねつ造、改ざん、盗掘」が争点”. ビジネスジャーナル/Business Journal. ビジネスジャーナル. 2024年2月24日閲覧。
  2. ^ -お知らせー”. www.npo-geopol.or.jp. 日本地質汚染審査機構. 2021年12月20日閲覧。
  3. ^ a b 楡井久 - researchmap
  4. ^ a b 久米宏 ラジオなんですけど 過去ログページです! ゲスト:楡井久さん(地質学者)” (2015年7月18日). 2019年5月27日閲覧。
  5. ^ 三村信男「巻頭言 楡井 久先生の定年退職にあたって」(PDF)『広域水圏センター年報』第9号、2006年、1頁。 
  6. ^ 辻陽明 (2006年11月25日). “(新市民伝)きれいな大地を子孫に残す 楡井久さん”. 朝日新聞・朝刊・be週末b3: p. 3. " 見えない地下の汚染に警鐘を鳴らす。市民の側に立つ地質汚染研究の第一人者だ。… 千葉県庁の研究者だった。福島県の会津出身。山歩きと地層の観察が好きで地質学を学んだ。大阪市立大で博士号を取得。70年、30歳のとき、千葉県から声がかかった … この調査法を全国に広めようとNPO法人を設立。茨城大教授を経て今春から専従する。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  7. ^ 訃報”. NPO法人日本地質汚染審査機構. 2021年4月26日閲覧。
  8. ^ 小宮山亮磨、小林舞子「「チバニアン」に異議 国際学会の審査中断」『朝日新聞・朝刊・ちば首都圏』2018年5月19日、34面。 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  9. ^ 古関東深海盆ジオパーク推進協議会ホームページ
  10. ^ a b 石平道典 (2018年2月6日). “便利?「チバニアン」階段 研究団体、事故起きないよう整備 市原市は困惑”. 朝日新聞・朝刊・ちば首都圏: p. 29  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  11. ^ 首都圏NEWSWEB “チバニアン”の登録に支障も”. 日本放送協会 (2019年5月27日). 2019年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月27日閲覧。
  12. ^ 「自由な立ち入り」困難、チバニアン申請手続き中断 :”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2019年5月27日). 2020年1月17日閲覧。
  13. ^ 「チバニアン」研究目的の立ち入りめぐる条例成立 千葉 市原”. NHK政治マガジン. 日本放送協会 (2019年9月19日). 2020年1月17日閲覧。
  14. ^ 調査妨害阻止へチバニアン条例 千葉・市原市で成立”. SankeiBiz. 産経新聞社 (2019年9月19日). 2020年1月17日閲覧。
  15. ^ a b チバニアン誕生 地球史に新時代 市原の地磁気逆転地層、新名所に”. www.chibanippo.co.jp. 千葉日報 (2020年1月17日). 2020年1月17日閲覧。
  16. ^ JGN運営会議保全ワーキンググループ - チバニアンアクセス”. sites.google.com. 2020年4月4日閲覧。
  17. ^ 日本放送協会. “「チバニアン」 国際学会が命名決定 日本の地層で初登録”. NHKニュース. 2020年1月17日閲覧。
  18. ^ 地球史の地質時代名に「チバニアン」 国際学会が決定”. 日本経済新聞 電子版. 日本経済新聞社 (2020年1月17日). 2020年1月17日閲覧。