桂林遺芳抄(けいりんいほうしょう)は、室町時代後期・戦国時代前期の公卿東坊城和長によって著された紀伝道に関する故実書。『群書類従』雑部所収。

和長は文明14年(1482年:23歳)に対策及第までの自身の経験と東坊城家に伝わる先例・記録を元にして、『桂蘂記』(けいずいき)と呼ばれる著作を著していたが、永正12年(1515年:56歳)になって子孫への教育のために改訂増補を行い、紀伝道一般に関する内容を記した書に改めたとされている。

古代から伝えられている紀伝道の先例・故実やその変遷、形骸化したとはいえ当時なお守られ続けてきた紀伝道の作法・手続などについて具体的に記載されている。古代・中世における紀伝道の歴史および室町・戦国期における家学家業としての紀伝道を知る上で貴重な史料となっている。

参考文献

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  • 桃裕行「桂林遺芳抄」(『国史大辞典 5』(吉川弘文館、1985年) ISBN 978-4-642-00505-0
  • 佐藤厚子「桂林遺芳抄」(『日本歴史大事典 1』(小学館、2000年) ISBN 978-4-09-523001-6