朱牟田夏雄
朱牟田 夏雄(しゅむた なつお、1906年6月29日 - 1987年10月18日)は、日本の英文学者、翻訳家。東京大学名誉教授。
来歴
編集福岡県三池郡に生まれる。翌年上京。1924年、東京高等師範学校附属中学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)卒業。附属中の同級生には、西園寺公一(元参議院議員)、春山泰雄(元サッカー日本代表)などがいた。
1924年、文科の首席で第一高等学校入学。1927年、東京帝国大学英文科に入学。斎藤勇の指導を受ける。
1932年、大学院修了後、上海の東亜同文書院に赴任、8年間勤務する。1940年、神戸商業大学(神戸大学の前身)予科教授として帰国。
1946年、第一高等学校教授、学制改革により東京大学教養学部助教授(1951年に教授昇任)。
研究
編集18世紀英国文学を中心に精力的に翻訳を行い、1967年ローレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』の翻訳で読売文学賞受賞。1978年、ジョージ・メレディスの『エゴイスト』の訳業で日本翻訳文化賞を受賞した。サマセット・モームの研究紹介にも、中野好夫と共に大きな役割を果たした。
著書
編集主な翻訳
編集- 『文学を語る』(ヘンリー・メジャー・トムリンソン、研究社) 1934年
- 『ジョウゼフ・アンドルーズ』上・下(ヘンリー・フィールディング、新月社、英米名著叢書) 1948年
- 『幸福の探求(ラセラス)』(サミュエル・ジョンソン、思索社) 1949年
- 改訳『幸福の追求 アビニシアの王子ラセラスの物語』(吾妻書房) 1962年/岩波文庫 2011年
- 『二つの野心の悲劇 みのらぬ恋』(トーマス・ハーディ、英宝社) 1952年、新版 1993年ほか
- 『トム・ジョウンズ』全4巻(フィールディング、岩波文庫) 1951年 - 1955年、改版 1975年、復刊 1992年ほか/のちグーテンベルク21(上下、電子書籍)
- 『恋愛対位法』(A・ハックスリー、河出書房、世界文学全集) 1955年 ほか/岩波文庫 全2巻 1962年
- 『サミング・アップ』(サマセット・モーム、金星堂、現代作家対訳双書)1955年 - 原文との対訳テキスト
- 『現代英文学の五十年』(R・A・スコット=ジェイムズ、青木雄造共訳、英宝社) 1960年
- 『ミル自伝』(J・S・ミル、岩波文庫) 1960年
- 『科学と政治』(C・P・スノウ、音羽書房) 1961年
- 『雨 / 赤毛』(サマセット・モーム、岩波文庫) 1962年
- 『トリストラム・シャンディ 紳士の生涯と意見』(ロレンス・スターン、筑摩書房、世界文学大系) 1966年、新版 1972年/岩波文庫 全3巻 1969年、改版 2009年、のち電子書籍
- 『モームと私生活 甥の見たその生涯と家系』(ロビン・モーム、竹内正夫共訳、英宝社) 1968年
- 『大地』全2巻(パール・バック、講談社、世界文学全集) 1970年、新版1974年/講談社文庫 全3巻 1978年
- 『ケニルワースの城』(ウォルター・スコット、集英社、世界文学全集) 1970年、新版 1974年、1979年
- 『エゴイスト』全2巻(ジョージ・メレディス、岩波文庫) 1978年。講談社、世界文学全集 1980年
- 『ローマ帝国衰亡史』第5・6巻(エドワード・ギボン 、筑摩書房) 1987年 - 1988年、ちくま学芸文庫[1] 第4・5・6巻 1996年
記念論集
編集脚注
編集- ^ 文庫版(全10巻)は中野好之が全面改訂
参考文献
編集- 「朱牟田夏雄教授略年譜・主要著訳書目録」 (朱牟田夏雄教授古稀記念号) 『中央大学文学部紀要』 1977-03