本能 (曲)

椎名林檎のシングル

本能」(ほんのう)は、日本シンガーソングライター椎名林檎による楽曲1999年10月27日東芝EMI(当時)より発売された4枚目のシングルの表題曲として発表された。

「本能」
椎名林檎シングル
初出アルバム『勝訴ストリップ
B面 あおぞら
輪廻ハイライト
リリース
規格 シングル
録音 カメスタ、スタジオテラ
ジャンル オルタナティブ・ロックJ-POP
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
作詞・作曲 椎名林檎
プロデュース 井上宇仁
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間2位(オリコン
  • 1999年11月度月間3位(オリコン)
  • 1999年12月度月間8位(オリコン)
  • 1999年度年間40位(オリコン)
  • 2000年度年間49位(オリコン)
  • 椎名林檎 シングル 年表
    ここでキスして。
    (1999年)
    本能
    (1999年)
    ギブス
    (2000年)
    ミュージックビデオ
    本能 - YouTube
    勝訴ストリップ 収録曲
    1. 虚言症
    2. 浴室
    3. 弁解ドビュッシー
    4. ギブス
    5. 闇に降る雨
    6. アイデンティティ
    7. 罪と罰
    8. ストイシズム
    9. 月に負け犬
    10. サカナ
    11. 病床パブリック
    12. 本能
    13. 依存症
    私と放電 収録曲

    ディスク1

    1. すべりだい
    2. アンコンディショナル・ラブ
    3. リモートコントローラー
    4. 眩暈
    5. 輪廻ハイライト
    6. あおぞら
    7. 時が暴走する
    8. Σ
    9. 東京の女
    10. 17
    11. 君ノ瞳ニ恋シテル

    ディスク2

    1. メロウ
    2. 不幸自慢
    3. 喪@ CエNコ瑠ヲュWァ
    4. 愛妻家の朝食
    5. シドと白昼夢
    6. 意識~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~
    7. 迷彩~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~
    8. la salle de bain
    9. カリソメ乙女 (HITOKUCHIZAKA ver.)
    10. 錯乱 (ONKIO ver.)
    11. 映日紅の花
    12. 膨らんできちゃった
    13. はいはい
    14. 光合成
    ニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜 収録曲

    ディスク1

    1. 浪漫と算盤 LDN ver.
    2. 幸福論
    3. すべりだい
    4. 正しい街
    5. 歌舞伎町の女王
    6. 丸ノ内サディスティック
    7. ここでキスして。
    8. ギブス
    9. 罪と罰
    10. 本能
    11. 真夜中は純潔
    12. 迷彩
    13. 茎(STEM)〜大名遊ビ編〜
    14. りんごのうた

    ディスク2

    1. 公然の秘密
    2. この世の限り
    3. 流行
    4. 自由へ道連れ
    5. カーネーション
    6. NIPPON
    7. ありあまる富
    8. 青春の瞬き
    9. 人生は夢だらけ
    10. おいしい季節
    11. 獣ゆく細道
    12. 長く短い祭
    13. 目抜き通り
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    初回生産分のみ、特製パーカー応募券付き。同日にはデビューシングルの『幸福論』が12cmシングル盤として再発売された。

    概要

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    前作『ここでキスして。』より約10ヶ月ぶりとなるシングル。出荷ベースでミリオンセラーとなり、2014年12月時点で自身最大のヒット曲である。ナース姿のコスプレガラスを叩き割るミュージック・ビデオジャケットも話題となった。

    当初は同年4月に発表予定だった『ギブス』を発売する予定だったが、椎名自身「(既にツアー「先攻エクスタシー」で披露されていたこともあり)新鮮味もなくなる」と感じ、ワンクッション置くという意味合いで本楽曲を発売する運びとなったとのこと。また、この楽曲は1999年9月5日に行われたライブイベント「Sweet Love Shower '99」で初披露された。そして、発売延期となった『ギブス』は、2000年1月26日に発売された。

    日本テレビ系『FUN』のエンディングテーマ曲として起用されたほか[1]、シングルのカップリング曲は2曲とも「サントリー ザ・カクテルバー」のCMソングとして使用されたため、シングル収録曲全曲にタイアップがついた。

    ミュージック・ビデオ

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    ミュージック・ビデオ及びディスクジャケットは、これまでにも椎名の作品のアートワークなどを担当していたアートディレクター木村豊が製作。病院を舞台にしたセットでナースコスプレ姿の椎名がガラスを叩き割るといった内容で大きな話題となった。ベッドの上で女性の患者と絡み合うシーンもあるが、本人は深い意味は無いと語っている[注釈 1][2]

    撮影に使われたガラスは映画撮影用の割れやすい特殊ガラスで、わざわざハリウッドから空輸されたために、ガラス代よりも輸送費がかさんでしまったという[注釈 2]。そこまでして用意したにもかかわらず、想定した物より硬かったせいで、実際の撮影では握り拳でガラスを割るシーンで指などに切り傷を負ってしまい、ワセリンで止血しながら撮影を続けた。

    ミュージック・ビデオの最後にカメラが引き撮影スタジオ全体が見えるようになって仕掛けがばらされるが、それはその出来事を不満に思った椎名が提案したもの[4]。ガラス割りのシーンの撮影はレコーディングの時から決まっており、白衣や医者、看護師にスパイシーで宇宙っぽいというイメージを持っていたことも重なり、撮影自体はノリノリだったという[5]

    収録曲

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    1. 本能
      日本テレビ系『FUN』エンディングテーマ曲。
      イントロヴォコーダーで加工されている英語詞は、コンサートなどで披露する際は「幸福論(悦楽編)」同様、拡声器を使用する。ベストアルバム「ニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜」ではミックスが変更され、加工されていない。
      2006年に行われた東京事変のライブツアー「“DOMESTIC!”Just can't help it.」で披露した際は、間奏のピアノソロをメンバーの伊澤一葉自身の楽曲から引用した[注釈 3]
      コンサートでは2008年の「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」以来長らく披露されていなかったが、2018年の「(生)林檎博'18 -不惑の余裕-」の1曲目として約10年ぶりに演奏された。その際楽曲の前半にはRHYMESTERMummy-Dが登場し、オリジナルのラップを披露した。
      恋愛の歌のように見えるが、テーマは『脱モラトリアム後に大人が割り切らなくちゃいけないこと』。「人間の本能とは『嫉妬や自己愛や自己顕示欲の繰り返し』」と言う一方で、「この曲を作った時は何にも考えていなかった」[2]
    2. あおぞら
      サントリー ザ・カクテルバーフェアリーテイル篇」CMソング。
      高校二年生の時、遺伝性の目の病気で網膜剥離の手術を受けた男友達に「あおぞら」というタイトルで歌を作って欲しいと頼まれ、彼からもらった手紙を元に歌詞を書いた曲[6][注釈 4]
      コンサートでは「幸福論(悦楽編)」のようにロック調にアレンジされて披露された。
    3. 輪廻ハイライト
      「サントリー ザ・カクテルバーぶどう篇」CMソング。
      実際に歌われている歌詞は英語だが、空耳方式で、英語に聞こえそうな日本語を無理やり当て字をして表記されている。
      コンサートで披露されたのは1999年に開催された学園祭ツアー「学舎エクスタシー」のみ。

    詳細

    全作詞・作曲: 椎名林檎 全編曲: 亀田誠治
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.「本能」椎名林檎 全編曲: 亀田誠治椎名林檎 全編曲: 亀田誠治
    2.「あおぞら」椎名林檎 全編曲: 亀田誠治椎名林檎 全編曲: 亀田誠治
    3.「輪廻ハイライト」椎名林檎 全編曲: 亀田誠治椎名林檎 全編曲: 亀田誠治
    合計時間:

    参加メンバー

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    本能
    酸欠ギター名越"ラムネ"由貴夫 遅刻王
    悩殺ベース亀田"ハレンチ"誠治 師匠
    悪意ピアノ斎藤"シヴォレー?"有太 元番長
    男気ドラム村石"ケンソー"雅行 先輩
    惨劇シンセサイザー:中山"オケヒット"信彦 副委員長
    あおぞら
    真心ギター西川進
    真心ベース:亀田誠治
    真心オルガン:斎藤有太
    真心シンセ:皆川真人
    真心フリューゲルホルン水江洋館
    真心ピヨピヨ:椎名林檎
    輪廻ハイライト
    国宝ピアノ:島健 様
    国宝ウッドベース:高水健司 様
    国宝ドラム:渡嘉敷祐一 様

    録音や操作:井上"コンブ"宇仁天才 at カメスタ スタジオテラ
    凄腕音仕上げ:前田康二 at バーニー グランドマン

    脚注

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    注釈

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    1. ^ なおこの女性は椎名の友人で、当時はまだ大学生だったとのこと。また椎名の後ろで医者の恰好でエレキベースを演奏しているのは同じく友人であり、後の発育ステータスベーシストでもあった鳥井泰伸。
    2. ^ 撮影では約25枚使用され、1枚につき100万円ほどかかったという[3]
    3. ^ 椎名本人が伊澤に間奏部分のアレンジを依頼した。
    4. ^ 当人に実際に聴かせたところ「なんかドリカムみたい」と言われたという。

    出典

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    1. ^ 雑誌『WHAT's IN?』1999年11月号 p21
    2. ^ a b 電脳RAT. UNGA!. (1999年10月25日). https://sp.universal-music.co.jp/ringo/special/plugin/009/009honnou.htm 
    3. ^ Quick Japan編集部+松田義人「第二章 椎名林檎大辞典」『前略 椎名林檎様』、太田出版、2001年2月、83-84頁、2014年11月3日閲覧 
    4. ^ フジテレビ系列の音楽番組魁!音楽番付〜JET〜」(2009年6月24日放送回)での発言。
    5. ^ “【2000年1月】本能/椎名林檎 ガラス割りで“歌舞伎町の女王”広く浸透”. スポニチ Sponichi Annex (株式会社スポーツニッポン新聞社). (2012年1月30日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/yomimono/music/anokoro/01/kiji/K20120130002536260.html 2022年8月5日閲覧。 
    6. ^ Quick Japan編集部+松田義人「第一章 友人たちの語る「椎名林檎」以前」『前略 椎名林檎様』、太田出版、2001年2月、40-46頁、2014年11月3日閲覧