月曜日あるいは火曜日
『月曜日あるいは火曜日』(げつようびあるいはかようび、原題: Monday or Tuesday)は、ヴァージニア・ウルフによる短編集である。ホガース・プレスによって1921年に出版された。初版は1000部が印刷され、ヴァネッサ・ベルによるページ全面を使った木版画が4ページ含まれていた[1]。この初版本は誤植が多かったため、レナード・ウルフはこれを史上最低の書籍の一つと呼んだ[2]。ほとんどの誤植はアメリカ版では修正された[3]。短編集には8つの物語が収められている[4]。
- 「憑かれた家」"A Haunted House"
- 「ある協会」"A Society"
- 「月曜日あるいは火曜日」"Monday or Tuesday"
- 「書かれなかった長篇小説」"An Unwritten Novel" – 1920年にロンドン・マーキュリー誌に掲載
- 「弦楽四重奏団」"The String Quartet"
- 「青と緑」"Blue & Green"
- 「キュー植物園」"Kew Gardens" - 以前個別に出版
- 「壁の染み」"The Mark on the Wall" – 以前にTwo Stories(1917年)に収録
著者 | ヴァージニア・ウルフ |
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原題 | Monday or Tuesday |
絵 | ヴァネッサ・ベル |
国 | イギリス |
言語 | 英語 |
出版社 | ホガース・プレス(イギリス) ハーコート・ブレイス(アメリカ) |
出版日 | 1921年 |
出版形式 | 印刷 |
ページ数 | 91[1] |
表題
編集1919年のエッセイ『現代小説論』において、ヴァージニア・ウルフは執筆に対する新たなアプローチを説明する。
Examine for a moment an ordinary mind on an ordinary day and she is popular. The mind receives a myriad impressions—trivial, fantastic, evanescent, or engraved with the sharpness of steel. From all sides they come, an incessant shower of innumerable atoms; and as they fall, as they shape themselves into the life of Monday or Tuesday
"ちょっとの間、普通の日の普通の心を調べてみるがいい。心は無数の印象—些細で、幻想的で、はかない、あるいは、鋼のような鋭さで刻み付けられた印象を受け取る。これらの印象は、あらゆる方向から、無数の原子の絶え間ないシャワーとなって降りそそぐのだ。そして、それらが落ちてきて、月曜とか火曜日とかの生活となるとき…"
(邦訳は、中村祐子「『灯台へ』におけるナラティヴ・モードの揺らぎ」『現代文芸論研究室論集』第8巻、2018年、110-126頁、doi:10.15083/00080215。からの引用)
この最後の句 "the life of Monday or Tuesday"("月曜とか火曜日とかの生活")は、ウルフがフィクションの核であると信じていたものである。そしてここから、本短編集の表題が来ている[5]。
邦訳版
編集- 『月曜日か火曜日・フラッシュ』大澤 實 訳、英宝社、東京〈英米名作ライブラリー〉、1956年。doi:10.11501/1694429。
- 『壁のしみ―短編集』川本静子 訳、みすず書房〈ヴァージニア・ウルフ・コレクション〉、1999年。ISBN 9784622045045。
- 「壁のしみ」「キュー植物園」「書かれなかった小説」「幽霊屋敷」
- 『ヴァージニア・ウルフ短編集』西崎憲 編訳、筑摩書房〈ちくま文庫〉、1999年。ISBN 9784480035141。
- 「青と緑」「憑かれた家」「弦楽四重奏団」「月曜日あるいは火曜日」「キュー植物園」「壁の染み」「書かれなかった長篇小説」
- 『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』西崎憲 編訳、亜紀書房〈ブックスならんですわる 01〉、2022年。ISBN 978-4750516929。増訂版
- 『ある協会』片山亜紀 訳、エトセトラブックス、2019年。ISBN 9784909910035。抜粋版
- 『月曜か火曜』片山亜紀 訳、エトセトラブックス、2024年。ISBN 9784909910240。原書と同じ構成での完訳版
出典
編集- ^ a b “Monday Or Tuesday. With Woodcuts By Vanessa Bell.”. Antiqbook. 2012年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月3日閲覧。
- ^ Bulut, A. (March 1997). Virginia Woolf and Her Work: Proceedings of the Fifth METU British Novelists Seminar 13–14. pp. 41–51 .
- ^ a b Note on the Text, page xi of Monday and Tuesday publ. Hesperus Press, 2003
- ^ 以下の邦題は西崎憲編訳『ヴァージニア・ウルフ短編集』他、による。
- ^ Rodríguez, L. (2001). “Parody and metafiction: Virginia Woolf's 'An Unwritten Novel'”. Links & Letters 8: 71–81 .
外部リンク
編集- “西崎憲 編訳『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』”. NHK (2022年3月13日). 2023年2月3日閲覧。
- 片山亜紀 (2022年2月21日). “『青と緑:ヴァージニア・ウルフ短篇集』「解説」から考えたこと”. note. 2023年2月3日閲覧。
- Online Text
- Monday or Tuesday - Modernism Lab Essays
- Monday or Tuesday パブリックドメインオーディオブック - LibriVox