月のゆくへ』(つきのゆくえ)は荒木田麗女明和8年(1771年)に成した、二巻三冊の歴史物語[1]。「月のゆくえ」[2]「月の行方」[2]「月の行衛」[3]とも。荒木田の代表作の一つである[4]

内容は、虚実を織り交ぜながら平家一門の興亡を[2]鏡物に倣った[4]雅文体で綴ったもので[1]、巻一(二冊)で高倉天皇、巻二で安徳天皇の事績を述べ[1]、『今鏡』と『増鏡』の間にあたる『弥世継』の代わりになるものとしている[2]。荒木田は『平家物語』と『源平盛衰記』を主な資料としつつ[1][2]、その博識を生かして和漢の故事詩歌などを引いて物語に趣を添えている[1]

伊勢神宮神宮文庫に、荒木田興正妻直女の写本が残る[2]

脚注

編集
  1. ^ a b c d e 小学館国語辞典編集部 編『日本国語大辞典』 第9巻(第2版)、小学館、2001年、283頁。 
  2. ^ a b c d e f 国史大辞典編集委員会『国史大辞典』 第9巻、吉川弘文館、1986年、739頁。 
  3. ^ 日本大百科全書』 第1巻(第2版)、小学館、1994年、691頁。 
  4. ^ a b 加藤周一 編『世界大百科事典』 第1巻(改訂新版)、平凡社、2007年、540-541頁。ISBN 978-4582027006