日産・ラシーン
ラシーン(RASHEEN)は、1994年(平成6年)から2000年(平成12年)の6年間、日産自動車が企画・販売したクロスオーバーSUVである。製造は高田工業が担当した。
日産・ラシーン/ 日産・ラシーンフォルザ R*NB14型 | |
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前期型(1994年12月-1997年1月) | |
後期型(1997年1月-2000年8月) | |
ラシーンフォルザ (1998年4月-2000年8月) | |
概要 | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 1994年 - 2000年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアクロスオーバーSUV |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
GA15DE 1,497cc 直列4気筒[1] SR18DE 1,838cc 直列4気筒[2] SR20DE 1,998cc 直列4気筒[3] |
最高出力 |
GA15DE: 77 kW (105 PS)/6,000rpm[1] SR18DE: 92 kW (125 PS)/6,000rpm[2] SR20DE: 107 kW (145 PS)/6,400rpm[3] |
最大トルク |
GA15DE: 135 N⋅m (13.8 kg⋅m)/4,000rpm[1] SR18DE: 156.9 N⋅m (16.00 kg⋅m)/4,800rpm[2] SR20DE: 178.5 N⋅m (18.2 kg⋅m)/4,800rpm[3] |
変速機 | 4速AT/5速MT |
サスペンション | |
前 | 独立懸架ストラット式[1] |
後 | 独立懸架パラレルリンクストラット式[1] |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,430mm |
全長 | 3,980-4,210mm |
全幅 | 1,695/1,720mm |
全高 | 1,450/1,515mm |
車両重量 | 1,160-1,310kg |
その他 | |
販売終了前月までの新車登録台数の累計 | 7万2793台[4] |
概要
編集型式は「R*NB14」であるが、B14型系サニーとの共通部品は皆無に近く、1世代古いB13型系サニーの4WD車や、B13型以降プラットフォームを共有しているN14型系パルサーの4WD車と共通の部品が多く使われている。全車四輪駆動(4WD)であり、ビスカスカップリングを用いたフルオートフルタイム4WDシステムを採用する。型式に割り当てられるアルファベットはモデルによって異なり、ラシーンftには「H」、ラシーンフォルザには「K」、それ以外には「F」が割り当てられる[5]。
デザインコンセプトには、Be-1やパオを手がけた坂井直樹が率いるウォータースタジオが関わっているが、公式には発表されていない。そのため、限定生産ではなくベース車も異なるが、パイクカーシリーズの流れを汲んだ商品企画であった。
テールゲート(バックドア)は上下開きとされ、タイプII以上ではその後方にスチールパイプ製の横開き式キャリアを介し、スペアタイヤを装備している。タイプIとタイプI B仕様は背面スペアタイヤキャリアがなく、スペアタイヤは荷室内収納となる。タイプIIIでは、さらに大径丸形フォグランプとグリルガードがセットで標準装備となる。全長はタイプIおよびタイプI B仕様が3,980 mm、タイプIIが4,115 mm、タイプIIIが4,210 mm となる。
本格的なクロスカントリーカーを思わせる風貌ではあるが、そういった雰囲気を手軽に楽しむための自動車であり、開発時に激しい不整地走行は想定されていない。
1993年(平成5年)の東京モーターショーに参考出品した試作車が好評だったため、細部を変更して1994年(平成6年)12月に市販化された[6]という経緯を持っている。高さを抑え角張った外装デザインが特徴的であり、一度もフルモデルチェンジされることなく2000年(平成12年)まで生産が続けられた。日本のみならずイギリス等の日本国外でも高く評価され、中古車はいまだに根強い人気を保ち、ラシーンを専門に扱う中古車販売店も存在する。
1997年1月15日から同年11月30日にかけて、イメージキャラクターにドラえもんを起用[7]し、当時のキャッチコピーは「新・ぼくたちのどこでもドア。RUN!RUN!ラシーン新発進。」[7]。また、車体色のブルーカラーは「ドラえもんブルー」と称された。
1998年4月からは、ラシーンフォルザのイメージキャラクターとしてムーミンとスナフキンが登場[7]。ムーミン・スナフキンはミニチュア、ラシーンの国はミニチュアと実写の合成、フォルザは実写と、キャラクター・風景・車それぞれを巧妙に合成している。当時のキャッチコピーは「ラシーンの国へようこそ。ちょっと大きめ ラシーンフォルザ発進。」。CMに使われた曲はオリジナル曲で、作詞はパトリック・ヌジェ、作曲は井上ヨシマサ、演奏は野村義男によるものである[7]。
初代 RB14型(1994年-2000年)
編集- 1993年(平成5年)10月
- 第30回東京モーターショーにて試作車を参考出品。
- 1994年(平成6年)12月12日
- 恵比寿ガーデンプレイスで発表会が行われ、RFNB14型「ラシーン」即日発売[8]。1497cc・最高出力105馬力の直列4気筒DOHCのGA15DE型を搭載。全車センターデフの代わりにビスカスカップリングを用いるフルオートフルタイム4WD車で、「タイプI」、「タイプII」、「タイプIII」の3タイプと、タイプIの一部装備を簡略化した廉価モデル「タイプI B仕様」の4グレードで販売をスタートした。トランスミッションは全グレードで5速MTと4速ATを選択可能だった。
- 1995年(平成7年)8月30日
- 特別仕様車「タイプF」を追加設定[9]。タイプI をベースにエクステリアにルーフレールを、インテリアにウッド調パネルを装備していた。専用色としてブラックが追加された。
- 1996年(平成8年)4月8日
- 特別仕様車「タイプL」を追加設定[10]。タイプI をベースにエクステリアにルーフレール、背面タイヤ、ホワイトのホイールカバー、ボディ同色ドアミラー、専用ドアステッカーを装備し、インテリアに専用シート地を備えたモデル。専用色としてアクティブレッドが追加された。
- 1996年(平成8年)9月
- 特別仕様車「タイプJ」を追加設定。タイプI をベースにエクステリアにルーフレール、ボディ同色ドアミラーを装備し、インテリアに専用シート地、キーレスエントリーなどを装備。安全装備としてABSを装備していた。専用色としてプラチナシルバーメタリックが追加された。
- 1997年(平成9年)1月14日
- マイナーチェンジ[11]。外装ではフロントグリルのデザイン変更とフロントバンパー部のターンシグナルレンズがクリアー(白レンズ)化が相違点となる。安全装備として全車にデュアルエアバッグ、ABSを標準で装着した。また、1838cc・最高出力125馬力の直列4気筒DOHC SR18DE型エンジンを搭載し、センターデフ+ビスカスカップリング方式のフルタイム4WDシステム「ATTESA」を搭載するRHNB14型「ラシーンft」シリーズが追加設定された。グレード構成はタイプIII と B仕様が廃止され、1.5L 車が「タイプI」、「タイプII」、「タイプS」、1.8L 車が「ftタイプII」、「ftタイプS」の合計5種類となった。トランスミッションは1.5L のタイプI、タイプIIでは5速MTと4速ATが選択可能で、1.5L のタイプSと1.8L 全車は4速ATのみの設定だった。
- 1997年(平成9年)10月
- 1998ccの直列4気筒DOHC SR20DE型エンジンを搭載し、フロントとリアのオーバーハングを延長し、背面上半部は前傾したスタイルとなる。丸形4灯式ヘッドランプ、オーバーフェンダー、専用ラジエーターグリル、専用前後バンパー等を装備したスポティーモデルの「フォルザ」を第32回東京モーターショーにて参考出品。
- 1997年(平成9年)12月1日
- 特別仕様車「タイプA」を追加設定[12]。タイプIIをベースに専用スペアタイヤカバー、熱反射ハーフミラーガラス、専用シート地、キーレスエントリーを備えたモデル。専用色としてワインレッドパールメタリックが追加された。
- 1998年(平成10年)4月6日
- RKNB14型「ラシーン フォルザ(RASHEEN FORZA)」を追加設定[13]。内容は前年の東京モーターショーにて公開されたプロトタイプと同様である。全長・全幅・全高はそれぞれ 4,150×1,720×1,515mm となり、全幅が 1,700mm を超えて車両区分が3ナンバーとなる。1.8L モデルと同様にセンターデフ+ビスカスカップリング方式のフルタイム4WDシステム「ATTESA」を搭載していた。グレード設定は標準車の「フォルザ」とキーレスエントリー等が標準になる「フォルザSパッケージ」の2種類で、エンジンは2.0LのSR20DEのみ、トランスミッションは4速ATのみの設定となった。CMキャラクターとしてムーミンとスナフキンを起用。
- 2000年(平成12年)5月11日
- 特別仕様車「タイプM」を追加設定[14]。タイプA をベースにインテリアに白木調のパネルを採用(センタークラスター上部やメータークラスター部分)し、CD一体AM/FM電子チューナーラジオを標準装備した。専用色としてオパールブルーチタンメタリックが追加された。
- 2000年(平成12年)8月31日
- 高田工業での生産終了。総生産台数7万2793台[15]。
車名の由来
編集関連項目
編集脚注
編集- ^ a b c d e “ラシーン タイプII”. 日産ヘリテージコレクション. 12 April 2024閲覧。
- ^ a b c “ラシーンft タイプS(1997年1月)”. グーネット. 12 April 2024閲覧。
- ^ a b c “ラシーンフォルザ(1998年4月)”. グーネット. 12 April 2024閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第29号11ページより。
- ^ “ラシーン(日産)のモデル・グレード別カタログ情報”. グーネット. 12 April 2024閲覧。
- ^ 三栄書房『90年代国産車のすべて』 82頁参照
- ^ a b c d “ラシーン(1994/12~2000/08・RB14型) CMについて教えて。”. 日産自動車. 2024年4月12日閲覧。
- ^ a b 『ニッサン ラシーン新発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1994年12月12日 。2022年4月11日閲覧。
- ^ 『ラシーンの特別仕様限定車「TYPE F」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1995年8月30日 。2022年4月11日閲覧。
- ^ 『テラノ、ラシーンの特別仕様車を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1996年4月8日 。2022年4月11日閲覧。
- ^ 『ラシーンをマイナーチェンジ あわせて1.8ℓエンジン搭載車を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1997年1月14日 。2022年4月11日閲覧。
- ^ 『ラシーンの特別仕様車「TYPE A」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1997年12月1日 。2022年4月11日閲覧。
- ^ 『ラシーンに2.0リッター車「フォルザ」を追加』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1998年4月6日 。2021年12月23日閲覧。
- ^ 『ラシーンの特別仕様車「TYPE M」を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2000年5月12日 。2021年12月23日閲覧。
- ^ 坂口善英『日産ラシーンのデザイン開発』 三樹書房 2011年
- ^ “その他日産ホームページ:日産のホームページは何故「羅針盤」というのですか? いつから開設しているのですか?”. 日産自動車 (2010年12月8日). 2012年7月29日閲覧。
- ^ “The COMPASS”. 1997年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月29日閲覧。
外部リンク
編集- ラシーン
- Gazoo.com 日産・ラシーン - ウェイバックマシン(2003年5月19日アーカイブ分)