日本国際問題研究所
公益財団法人日本国際問題研究所(にほんこくさいもんだいけんきゅうしょ、英称:The Japan Institute of International Affairs, JIIA)は、中長期的な外交問題の研究を行う日本のシンクタンク。略称は、国問研(こくもんけん)。元外務省所管。ペンシルベニア大学の世界大学ランキングにおいて、日本及びアジア地域で毎年1位の研究機関に選出されている。
公益財団法人日本国際問題研究所 | |
略称 | 国問研、JIIA |
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設立 | 1959年 |
設立者 | 吉田茂 |
種類 |
公益財団法人 シンクタンク |
法人番号 | 2010005018803 |
所在地 | 東京都千代田区霞が関3-8-1 虎の門三井ビル3階 |
会長 | 岡素之 |
理事長 | 佐々江賢一郎 |
ウェブサイト | https://www.jiia.or.jp/ |
概要
編集1959年(昭和34年)12月、国際問題の研究、知識普及、および海外交流の活発化を目的として吉田茂の主導で設立され、吉田自ら初代会長に就任した。1960年(昭和35年)9月より外務省所管の財団法人となり、研究活動・シンポジウム・講演会・出版などを中心に活動している。2014年(平成26年)4月1日に一般財団法人世界経済調査会と合併[1]。
2008年(平成20年)よりペンシルベニア大学の「シンクタンク・市民社会計画(TTCSP)」研究組織が、「世界のシンクタンク調査」の結果を発表している。全世界の6,300以上のシンクタンクの対象中から、日本国際問題研究所は、アジアのシンクタンク部門では3年連続第1位に選ばれている。また、2014年(平成26年)1月の調査では「世界(米国以外の地域)のトップ50」のうち、第13位に選ばれている[2]。
さらに、2021年1月28日付で公表された米国ペンシルバニア大学による2020年世界有力シンクタンク評価報告書において「シンクタンク・オブ・ザ・イヤー2020(世界トップシンクタンク賞)」(2020 Think Tank of the Year—Top Think Tank in the World)を受賞し、全世界のシンクタンクのランキングにおいても過去最高の8位に選ばれた[3][4]。
理事長は、外務事務次官経験者の松永信雄・小和田恆・佐藤行雄・野上義二、現理事長の佐々江賢一郎(元外務事務次官、アメリカ合衆国駐箚特命全権大使)を始めとして、外務省OBトップが歴任している。
同研究所には個人会員・法人会員制度が存在する[5]。
時事的な国際問題の分析・検討を行なう雑誌『国際問題』を刊行している。1976年(昭和51年)からは解散した社団法人・欧ア協会の業務も継承した。過去には共産圏の主要な演説・メディアの翻訳・解説記事などを掲載した『共産主義と国際政治』(1985年『ソ連研究』、1992年『ロシア研究』に改題)を刊行していた。その他にも国際問題シリーズ、JIIA選書、JIIA研究、JIIA現代アメリカなどの書籍を刊行している。
また、財団内に置かれた軍縮・科学技術センターは包括的核実験禁止条約の国内事務局としての役割を持ち、地震波、微気圧の計測を日本気象協会、核種の計測分析を日本原子力研究開発機構に委託している。
組織
編集歴代会長・理事長
編集- 会長
代 | 氏名 | 在任期間 | 肩書等 |
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1 | 吉田茂 | 1959年12月 - 1967年10月 | 内閣総理大臣(第45・48・49・50・51代) |
代行 | 鹿島守之助 | 1967年10月 - 1973年6月 | 鹿島建設会長 |
2 | 鹿島守之助 | 1973年6月 - 1975年12月 | 同上 |
代行 | 植村甲午郎 | 1975年12月 - 1976年4月 | 旧経団連会長 |
3 | 堀田庄三 | 1976年4月 - 1990年2月 | 住友銀行頭取 |
代行 | 岩佐凱実 | 1990年2月 - 1991年3月 | 経済同友会代表幹事 |
4 | 岩佐凱実 | 1991年3月 - 1999年6月 | 同上 |
5 | 平岩外四 | 1999年7月 - 2007年5月 | 経団連会長、東電会長 |
代行 | 服部禮次郎 | 2007年5月 - 2011年4月 | セイコー名誉会長 |
6 | 西室泰三 | 2011年4月 - 2016年6月 | 東芝社長、東証社長、東証グループ会長、日本郵政社長、ゆうちょ銀行社長を歴任 |
代行 | 三木繁光 | 2016年6月 - 2018年6月 | 三菱UFJ銀行名誉顧問 |
7 | 西室泰三 | 2011年4月 - 2016年6月 | 同上 |
代行 | 三木繁光 | 2016年6月 - 2018年6月 | 同上 |
8 | 岡素之 | 2018年6月 - 現任 | 住友商事名誉顧問 |
- 理事長
代 | 氏名 | 在任期間 | 肩書等 |
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1 | 久保田貫一郎 | 1962年1月 - 1965年5月 | |
2 | 別府節弥 | 1965年5月 - 1968年4月 | |
3 | 徳永太郎 | 1968年4月 - 1969年9月 | |
4 | 島津久大 | 1969年9月 - 1973年12月 | |
5 | 高橋通敏 | 1973年12月 - 1977年10月 | |
6 | 大野勝巳 | 1977年10月 - 1980年10月 | |
7 | 中川融 | 1980年10月 - 1984年5月 | |
8 | 新関欽哉 | 1984年5月 - 1990年4月 | 元香港総領事、元駐墺・ソ・西独・蒙・印大使 |
9 | 松永信雄 | 1990年4月 - 1999年3月 | 元外務事務次官 |
10 | 小和田恆 | 1999年3月 - 2003年1月 | 元外務事務次官、元国連大使、国際法学者、皇后雅子の父 |
11 | 佐藤行雄 | 2003年2月 - 2009年1月 | 元駐蘭・豪・国連大使 |
12 | 野上義二 | 2009年2月 - 2018年6月 | 元外務事務次官、元駐英大使 |
13 | 佐々江賢一郎 | 2018年6月[6] - | 元駐米大使 |
在籍した人物
編集括弧内は在籍した当時の主な役職、ハイフン以降はその他の代表的な役職を示す。
- 秋山信将(主任研究員) - 一橋大学大学院法学研究科教授、在ウィーン日本政府代表部公使
- 浅野亮(研究員) - 同志社大学法学部教授
- 阿部信泰(軍縮・不拡散促進センター所長) - 国連事務次長、駐スイス特命全権大使
- 石川薫(所長代行) - 駐カナダ特命全権大使、外務省経済局長
- 稲田十一(研究員) - 専修大学経済学部教授
- 梅本哲也(研究員) - 静岡県立大学国際関係学部教授
- 大村昌弘(研究調査部長) - 駐フィジー特命全権大使、内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官
- 長内敬(主幹) - 駐ラトビア特命全権大使、一橋大学大学院社会学研究科客員教授
- 小澤俊朗(所長代行) - 在ウィーン日本政府代表部特命全権大使
- 笠井達彦(研究調査部長) - 駐カザフスタン特命全権大使、一橋大学大学院社会学研究科客員教授
- 川井伸一(研究員) - 愛知大学学長
- 上野俊彦(主任研究員) - 上智大学外国語学部教授
- 小窪千早(研究員) - 静岡県立大学国際関係学部講師
- 片田さおり(客員研究員) - 南カリフォルニア大学教授、世界国際関係学会副会長
- 斎木尚子(副所長) - 外務省研修所長、外務省国際法局長
- 佐藤行雄(副会長) - 国連大使、外務省北米局長
- 重家俊範(所長代理) - 駐大韓民国特命全権大使、外務省中東アフリカ局長
- 杉本信行(主任研究員) - 上海総領事
- 鈴木一人(客員研究員) - 東京大学公共政策大学院教授
- 須藤隆也(軍縮・不拡散促進センター所長) - 駐エジプト特命全権大使、外務省中近東アフリカ局長
- 高橋邦夫(研究調査部長) - 駐ネパール特命全権大使、日本総合研究所国際戦略研究所副理事長
- 樽井澄夫(軍縮・不拡散促進センター所長) - 日本台湾交流協会台北事務所長、防衛参事官
- 西川賢(研究員) - 津田塾大学学芸学部准教授
- 西村六善(客員研究員) - 内閣官房参与、外務省欧亜局長
- 星野俊也(主任研究員) - 大阪大学副学長、国際連合日本政府代表部大使
- 松田邦紀(研究調整部長) - 駐パキスタン特命全権大使
- 宮本悟(研究員) - 聖学院大学政治経済学部教授
- 毛里和子(研究員) - 早稲田大学政治経済学部教授
- 山上信吾(所長代行) - 外務省経済局長、駐オーストラリア特命全権大使
定期刊行物
編集- 『国際問題』(月刊) 2006年4月より電子版にて配信
- AJISS-Commentary 電子版にて配信
脚注
編集- ^ 世界経済調査会データベース 日本国際問題研究所
- ^ THE THINK TANKS AND CIVIL SOCIETIES PROGRAM 2009 Archived 2011年6月7日, at the Wayback Machine.
- ^ “日本国際問題研究所 国際的に評価され受賞”. 日テレNEWS24 (日本テレビ). (2021年1月28日) 2021年8月15日閲覧。
- ^ “国際問題研究所にトップシンクタンク賞 日本で初”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2021年1月29日) 2021年8月15日閲覧。
- ^ 会員:JIIA -日本国際問題研究所-
- ^ 前駐米大使が理事長に 日本国際問題研究所朝日新聞デジタル