新田原基地
宮崎県新富町にある航空自衛隊基地
新田原基地(にゅうたばるきち、Nyutabaru Airbase)は、宮崎県児湯郡新富町大字新田19581に所在する航空自衛隊の基地。第5航空団等が配備されている。基地司令は第5航空団司令が兼務。
新田原飛行場 | |||||||
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新田原飛行場 | |||||||
IATA: なし - ICAO: RJFN | |||||||
概要 | |||||||
国・地域 | 日本 | ||||||
所在地 | 宮崎県児湯郡新富町大字新田19581 | ||||||
種類 | 軍用 | ||||||
所有者 | 防衛省 | ||||||
運営者 | 航空自衛隊 | ||||||
所在部隊 | 第5航空団 | ||||||
標高 | 79 m (259 ft) | ||||||
座標 | 北緯32度05分01秒 東経131度27分05秒 / 北緯32.08361度 東経131.45139度 | ||||||
地図 | |||||||
空港の位置 | |||||||
滑走路 | |||||||
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空港の一覧 |
また、国内最強の技量を持つパイロットらで編成された飛行教導群のかつての本拠地であったことでも知られる。基地面積は9,135平方キロメートル。日米共同訓練のために滑走路の改修や隊舎などの整備が行われている[1]ほか、米軍普天間飛行場の「有事展開拠点機能」の移設先の一つに選ばれている[2]。元々は帝国陸軍航空部隊の新田原陸軍飛行場として建設されたもので、陸軍航空隊や落下傘部隊の教育施設であったが、大戦末期には特攻機の出撃基地として使われた[3]。
沿革
編集- 1940年(昭和15年)
- 1941年(昭和16年)
- 1944年(昭和19年)4月 - 陸軍航空通信学校新田原教育隊編成
- 1945年(昭和20年) - 太平洋戦争敗戦により廃止
- 1957年(昭和32年)12月1日 - 旧新田原陸軍飛行場跡地に滑走路を再建、航空自衛隊基地として開庁
- 1959年(昭和34年)6月1日 - 第3操縦学校分校(新田原)が第17飛行教育団と改称
- 1961年(昭和36年)7月15日 - 第5航空団及び第6飛行隊が松島基地から移動
- 1962年(昭和37年)1月8日 - 第10飛行隊編成(使用機:F-86F)
- 1963年(昭和38年)1月25日 - 第17飛行教育団が廃止
- 1964年(昭和39年)
- 1965年(昭和40年)
- 2月:基地内に「宮崎航空保安事務所新田原管制所」が設置される
- 3月:新田原管制所内で宮崎空港と新田原飛行場の進入、出発機に対する進入管制業務を開始。管制要員は宮崎空港内の航空保安事務所から3名が派遣された[4]
- 1966年 (昭和41年) 11月:新田原基地にあった進入管制所を宮崎空港に引き揚げる。宮崎空港内の計器飛行管制室で、自前の機器を用いて進入管制業務を開始。宮崎航空保安事務所新田原管制所は廃止[4]
- 1971年(昭和46年)7月26日 - F-104が離陸に失敗。滑走路をオーバーランして丘の中腹に激突して大破炎上。乗員1名が殉職[5]
- 1973年(昭和48年)4月11日 - 基地所属の救難隊機 (MU-2) が尾鈴山で訓練中に墜落して乗員4名殉職
- 1978年(昭和53年)4月 - 新田原警務分遣隊が新田原地方警務隊に改編
- 1980年(昭和55年) - 日米地位協定第2条第4項(b)の適用施設・区域(一時共同使用)として179.28haが在日米軍に新規提供される(施設・区域名: 新田原飛行場、Nyutabaru Air Base, FAC 5115)[6]
- 1982年(昭和57年)12月21日 - 第202飛行隊機種更新、F-104J/DJからF-15J/DJ
- 1983年(昭和58年)3月16日 - 飛行教導隊が築城基地から移動
- 1985年(昭和60年)3月2日 - 第204飛行隊が機種更新と同時に百里基地へ移動、第301飛行隊が百里基地から移動
- 1990年(平成 2年)4月12日 - 飛行教導隊が機種更新、T-2高等練習機からF-15DJ
- 2000年(平成12年)10月6日 - 第202飛行隊を廃止、航空教育集団隷下の飛行教育航空隊(第23飛行隊)編成(使用機:F-15DJ)これにより、空自の航空団で唯一の1個飛行隊体制となる
- 2002年(平成14年)3月31日 - 第5基地防空隊新編
- 2007年(平成19年)1月 - 基地近傍におけるトリインフルエンザ処分家禽(約93000羽)を敷地内に埋却
- 2010年(平成22年)5月 - 宮崎県における口蹄疫処分家畜の埋却地に選定(4箇所、4ha)
- 2014年(平成26年)8月1日 - 航空戦術教導団新編に伴い、飛行教導隊が飛行教導群に改編
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)10月12日 - 新田原飛行場を管轄するターミナル管制が宮崎進入管制区(宮崎空港)から鹿児島進入管制区(鹿児島空港)に移管[8]
- 2018年(平成30年)10月20日 - 政府がアメリカ軍の弾薬庫や駐機場を整備する方針を地元の自治体に伝えたことを発表した。有事の際などの緊急時に対する備えが理由だという[9][10]
- 2023年7月26日 - フランス航空宇宙軍のラファールBなどが、フランスの海外展開訓練「ミシオン・ペガーズ(仏: Mission Pégase)」のため飛来。フランス空軍の戦闘機が日本を訪れたのは、第二次世界大戦後これが初である[11]。
配置部隊
編集- 西部航空方面隊隷下
- 航空救難団隷下
- 航空支援集団隷下
- 航空教育集団直轄
陸上自衛隊西部方面総監直轄
- (自衛隊宮崎地方協力本部)
- 新田原分駐所
- 防衛大臣直轄部隊
- (航空警務隊)新田原地方警務隊
航空管制
編集GND(地上) | 275.8MHz |
TWR(管制塔) | 126.2MHz, 236.8MHz, 304.5MHz |
APP(着陸) | 120.1MHz, 120.9MHz 123.6MHz, 261.2MHz 362.3MHz |
MET(気象) | 344.6MHz |
航空保安無線施設
編集局名 | 種類 | 周波数 | 識別信号 |
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新田原 | TACAN | 1184MHz | NHT |
新田原 | ILS | 111.3MHz | INH |
- 運用時間は、24時間である
交通
編集航空祭
編集- 例年11月末か12月初旬に開催される。ブルーインパルスの展示飛行あり。
- 新田原基地所属機による機動飛行、模擬スクランブルおよび模擬対地攻撃、救難飛行展示が行われ、また、築城基地・第6飛行隊所属のF-2Aが飛来し、機動飛行が行われる。また、かつて空挺部隊が駐屯していたことから、第1空挺団による空挺降下(降下隊員は、ほとんどが宮崎県出身者で構成される)も行われる[12]。かつては、岩国基地・第1海兵航空団所属のF-16や、陸上自衛隊目達原駐屯地・第3対戦車ヘリコプター隊所属のAH-1Sによる展示飛行が行われたことがある。また、災害展示では宮崎県警察航空隊のヘリコプターや宮崎県の防災ヘリ、宮崎大学のドクターヘリも参加したことがある。
- 地上展示では陸海空自衛隊や米軍の航空機を主に展示しているが、第5航空団基地業務群隷下の第5基地防空隊によるVADSの模擬射撃訓練をはじめとした、防空火器や基地警備車両の展示も行われる。過去には、陸上自衛隊の74式戦車(第8戦車大隊)の展示も行われた年もあった。
- 2014年には米軍のV-22"オスプレイ"が展示された。
- また、2016年10月に第301飛行隊の移駐に伴い、地元への感謝のしるしとして、例年の航空祭に加え『"さらば、ファントム"F-4EJ Final Demo』が行なわれた。
- 2021年には新型コロナウィルスで航空祭が中止となり、航空自衛隊への入隊に興味、関心がある人を対象とした新田原基地航空祭代替行事『ウィークエンド新田原』が行われた。
基地内駐車場は関係者・障害者のみで、事前に申し込む必要がある。なお、新田原航空祭名物の南側駐車場(他基地と比べ滑走路に極端に近い)は基地内工事の為2006年から使用中止となっている。
脚注
編集- ^ 衆議院議員赤嶺政賢君提出航空自衛隊新田原基地における「米軍再編」に伴う日米共同訓練と施設整備に関する質問に対する答弁書 防衛省・自衛隊
- ^ “築城の米軍拠点化調査 福岡 田村・真島氏が現地入り”. しんぶん赤旗. (2018年10月13日). 2018-10-17
- ^ 眠る特攻機 水深45メートルに65年 朝日新聞 平成22年8月15日
- ^ a b 「航空管制五十年史:航空交通の安全ひとすじに」, 航空管制五十年史編纂委員会, 航空交通管制協会刊, 2003年3月, P181 「5-15 宮崎空港」
- ^ 「離陸に失敗」『中國新聞』昭和46年7月26日 夕刊 7面
- ^ 昭和55年防衛施設庁告示第2号
- ^ 新田原基地に第305飛行隊を配備 - MRT宮崎放送(2015年8月31日)
- ^ 鹿児島・宮崎両空港 管制業務統合へ 地方空港どうしは初 - NHKニュース(2017年10月6日配信、10月9日現在のオリジナルをアーカイブ化)
- ^ “新田原基地に米軍の弾薬庫や駐機場整備へ 宮崎”. NHK. (2018年10月20日) 2018年10月21日閲覧。
- ^ “新田原基地に米軍弾薬庫や駐機場整備へ”. 西日本新聞. (2018年10月20日) 2018年10月21日閲覧。
- ^ 安楽拓也「フランス航空宇宙軍展開部隊のラファール、A330 MRTT、A400M 航空自衛隊と国内で初共同訓練」『航空ファン』第72巻第10号、文林堂、2023年8月21日、1-9頁、JAN 4910037431035。
- ^ 空自関係行事では唯一、降下時に『空の神兵』が放送される。
関連項目
編集外部リンク
編集- 航空自衛隊新田原基地
- 航空自衛隊 新田原基地 (@JASDF_Nyutabaru) - Twitter