斬月伝
斬月伝(ざんげつでん)は角川ビーンズ文庫から発売されているライトノベル。本編は全3巻。著者・菅沼理恵、イラスト・瀬田ヒナコ。
概要
編集菅沼理恵の二作品目で前作とイラストレーターを同じくしているが両作品の内容には接点を持たない。
あらすじ
編集主人公・真砂は幼い頃に故郷を追われ、のちに師と仰ぐ柊千晶と出会う。それから数年後、師匠となった柊とその友人、東雲と共に都で平穏な日々を送っていた真砂だったが、ある日を境に化生から「小鳥」と呼ばれ狙われることとなる。「対偶」という不思議な運命に導かれた真砂と東雲。対を成す二人が都に仇なす化生を斬る。
登場人物
編集主要人物
編集- 高遠 真砂(たかとお まさご)
- 14歳。大鑑である高遠家の次男。化生から好かれる体質で、「小鳥」と呼ばれる。年齢相応に見えない幼い外見を気にしている。
- 和泉 東雲(いずみ しののめ)
- 21歳、春の生まれ。元・神維将。甘味好きで、辛いものは苦手。柊には「若様」、きららには「のの」と呼ばれる。小さいころは体が弱かった。弦琴ならほとんど弾ける。
- 柊 千晶(ひいらぎ ちあき)
- 作中では「柊」と書かれており、下の名前で呼ぶ者は少ない。腕の立つ医者。学問には精通しているが世情には疎い。
- 香里(かさと)
- 白蛇の化生。見た目は10歳を過ぎたくらいだが、実際は数百年も生きている。屋敷に封じ込められており、外には出られない。寒くなると冬眠する。
- 丹緒(にお)
- 天猫種。二つに分かれたしっぽの先が赤い。真砂に懐いており、真砂の力を借りて人間の姿をとることもできる。その姿は東雲の祖父と同じらしい。猫の姿では「るるる」や「るう」と言う泣き声が特徴的。東雲にとっては兄弟子らしい。
- 月舟(げっしゅう)
- 異国から来たという謎の青年。20歳の誕生日を迎える一週間前に時を止める呪縛をかけられたが、実年齢は谷中と変わらない。他人の憎しみや妄執を好む性質を持つ。
その他の人物
編集- 鷹介(ようすけ)
- 真砂より年上の少年。真砂の友人。やや内気な性格で真砂にはよく懐いている。両親を失くしており、現在は長屋の一角で壊れ物の修繕をして生計を立てている。手先が器用で機械(からくり)好き。真砂にも機械時計を贈った。
- 谷中(やなか)
- 真砂の笛の師匠。
- 瑞樹(みずき)
- 谷中の弟子。弟子の中でも幼い子どもたちの纏め役、谷中の弟子になったばかりの真砂の世話係でもあった。父の形見でもある笛は技巧に優れていたが、稽古の成果を披露する際、谷中に「傲りがある」と指摘され、それ以後真砂を妬むようになる。その妄執に引き寄せられた月舟の企みによって化生に取り憑かれたが、真砂と東雲によって助けられる。その後は谷中の元を去り、旅に出た。
- 悠矢(ゆうや)
- 谷中の弟子の少年。直鑑の血筋。
- 汐斗(せきと)
- 谷中の弟子の少年。
- あやめ
- 谷中の弟子の少女。
- つばき
- 谷中の弟子の少女。
- 和 晴朗(かのう はるあき)
- 神維将代理。
- 狭霧(さぎり)
- 東雲の双子の妹。きららの対偶にして国主。
- きらら
- 作中では「きらら」と書かれるが字は「雲母」で、真砂には字を教えていた。狭霧の対偶にして天鳥。無邪気な少女。
- 山背(やましろ)
- 妙齢の女性。
- 高遠 朔夜(たかとお さくや)
- 真砂の異母兄、北海州銀京の領主の嫡子。嫡子としての義務で都に住んでいた。柊とともに東雲の「ご学友」だった。梅香が好きで、衣に焚き染めていた。東雲と対峙し深手を負わせたが、そのために斬月の鞘には選ばれず、自刎した。
- 小鈴(こすず)
- 真砂の母。出自は町人であり、真砂の父の側室である。
- 坂下(さかした)
- 直鑑のひとり。和とは兄弟のような間柄らしい。妻帯者。
その他の人外
編集- 斬月(ざんげつ)
- 東雲を鞘とする竜骨刀。
- 砕星(さいせい)
- 真砂を鞘とする竜骨刀。
用語
編集- 天鳥(あとり)
- 国主の対偶となる存在。作中ではきらら、真砂に当たる。
- 神維(かむい)
- 地祇と交わり化生と呼ばれるものを退治できる異能を持つ存在。神と人をつなぐため「神維」と記す。
- 神維将(かむいのかみ)
- 神維を束ねる存在。代理に和。
- 化生(けしょう)
- 人に仇なす存在。元は地祇だったものが変質した。
- 小鳥(ことり)
- 背中に天翔貴種(てんしょうきしゅ)の先祖返りである証「翅痕(しこん)」がある。小鳥の条件は異能を持つこと、適切な生年であること、翅痕があることの三つである。天鳥候補。
- 式紙(しきがみ)
- 丹緒曰く、作ったものの味が残る。
- 天猫種(てんびょうしゅ)
- 作中では丹緒を指す。攻撃力が高く、時には化生を喰らう。
- 地祇(ちぎ)
- 神全般を指す。
- 白神(つくもがみ)
- 器物に憑く神。
- 竜骨刀(りゅうこつとう)
- 斬月や砕星を指す。大陸では「神骨刃(しんこつじん)」と呼ぶらしい。
- 呪縛(じゅばく)
- 大陸での術のようなもの。術は異能がないと使えないが、呪縛は誰でも憶えれば使える。
- 詞(ことは)
- 術の際に唱える。
シリーズ一覧
編集- 文庫
- 斬月伝 白き刃で闇を断て(2008年9月)ISBN 978-4044508104
- 斬月伝 夜明けに結ぶ朱き絆(2009年1月)ISBN 978-4044508111
- 斬月伝 時のめぐりを告げるもの(2009年6月)ISBN 978-4044508128
- 雑誌掲載のみ、文庫未収録
- 斬月伝 旅は道連れ 世は嵐(2007年6月 The Beans vol.9)電子書籍化済み
- 斬月伝 夢の中でも花に焦がれて(2008年1月 The Beans vol.10)
- 斬月伝 小鳥が隣で眠る夜(2008年7月 The Beans vol.11)
- 斬月伝 約束のつばさ(2009年1月 The Beans vol.12)