掘削
掘削(くっさく、掘鑿とも)とは、土砂や岩石を掘り取って穴を開けることである。「~する」で動詞にもなる。
歴史
編集ネアンデルタール人に埋葬の文化があったことから、少なくとも5万年前の人類には穴(土坑)を掘って埋葬するという習慣(土坑墓)があったことがわかる[1]。
床面を地表面より低く掘り下げる竪穴建物は、古くは旧石器時代のアメリカ先住民に見られ[2]、日本列島では縄文時代に一般的になる[3]。
このほか日本列島では、旧石器時代から狩猟の手段として地面を掘削して構築する落とし穴(陥し穴[注 1])が使用され始めており、静岡県三島市の初音ヶ原遺跡や[4][5]、同県駿東郡長泉町の東野遺跡、神奈川県横須賀市の打木原遺跡などで、約30000年前と推定される落とし穴が検出されている。このように古くから掘削という行為が行われていたことが裏付けられている[4]。
道具・機械
編集人力による掘削の時に用いる道具は、シャベル、スコップ、つるはし、くさび、オーガー、掘棒[6](ディガー)、ホールディガー、踏み鋤等が挙げられる。
掘削に使用する大型機械の代表的なものには、油圧ショベル(パワーショベル、バックホウ)、ユンボ、スクレイパー、クラムシェル、ドラグライン、ブルドーザ、ブルドーザーに装備するリッパ、ハンマードリルなどがある。
その他、小型機械であるブレーカー、高圧噴射水を利用するウォータージェット、火薬を用いる発破(はっぱ)、化学反応を利用する静的破砕剤なども掘削道具として用いられる。
掘削の制約等
編集日本では私有地であったとしても、特定の場所において掘削行為をする場合には、事前の許可もしくは届出を要することがある。主なものは次の通り。
掘削に関する資格
編集国際的な掘削プロジェクト
編集大会
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “ネアンデルタール人の埋葬を改めて確認”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2024年2月12日閲覧。
- ^ Daifuku, Hiroshi (1952-07). “The Pit House in the Old World and in Native North America” (英語). American Antiquity 18 (1): 1–7. doi:10.2307/276236. ISSN 0002-7316 .
- ^ 富山県. “縄文の住居とむら”. 富山県. 2024年2月12日閲覧。
- ^ a b c 堤 2009, pp. 56–59.
- ^ 三島市教育推進部郷土資料館 2011.
- ^ a b 「掘棒」 。
- ^ “「全国穴掘り大会」900人が参加、6人協力で深さを競う…優勝チーム「悪天候はチャンスだった」”. 読売新聞オンライン (2024年2月6日). 2024年2月12日閲覧。
- ^ “力を合わせて掘りまくれ 400人参加し穴掘り大会 成田ゆめ牧場”. 毎日新聞. 2024年2月12日閲覧。
- ^ Largest hole digging championship ギネス記録
- ^ INC, SANKEI DIGITAL. “「墓穴掘り」の腕競う ハンガリー”. 産経フォト. 2024年2月12日閲覧。
- ^ Dunai, Marton (2016年6月3日). “Dig for victory! Hungarian grave diggers compete to be the best” (英語). Reuters. 2024年2月12日閲覧。
- ^ Times, The Moscow (2021年5月14日). “Shovels Fly at Siberia’s Annual Speed Grave-Digging Contest” (英語). The Moscow Times. 2024年2月12日閲覧。
参考文献
編集- 三島市教育推進部郷土資料館「旧石器時代の落とし穴-初音ヶ原遺跡-」『広報みしま』第277号、三島市、2011年6月1日。
- 堤隆『ビジュアル版・旧石器時代ガイドブック』新泉社〈シリーズ「遺跡を学ぶ」別冊第2巻〉、2009年8月25日。ISBN 9784787709301。