怠け者の天国
『怠け者の天国』(なまけもののてんごく、オランダ語: Luilekkerland, 英語: The Land of Cockaigne)は、フランドルの画家ピーテル・ブリューゲルが1567年に描いた絵画[1][2]。
オランダ語: Luilekkerland 英語: The Land of Cockaigne | |
作者 | ピーテル・ブリューゲル |
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製作年 | 1567年 |
種類 | 油彩、板 |
寸法 | 51.5 cm × 78.3 cm (20.3 in × 30.8 in) |
所蔵 | アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン |
ドイツ・ミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されている[3]。縦 51.5 センチメートル、横 78.3 センチメートルの大きさをもつ[1]。彫版職人のピーテル・ファン・デル・ヘイデンによって、本作を原画とした同名の彫版画が製作されている[4][5]。
16世紀には、オランダの写本やドイツの版画において、寝て待っているだけで食糧がやってくるといった「怠け者の天国」を主題とした作品が発表されており、ブリューゲルもこれらにヒントを得たものと考えられている[1]。
作品
編集画面右手前には、毛皮のついたコートを身にまとった聖職者が描かれている。その隣では農夫が、脱穀に用いる農具の上に身を置いている。その後方には、兵士が描かれており、手袋や槍が投げ出されている。3人とも、腹をいっぱいにして木の回りに寝そべっている[1]。
画面手前中央には、スプーンが挿し入れられた、足を生やしたゆで卵が描かれている。画面左奥には、甲冑を身につけた騎士が、ヒバリの焼き鳥がやってくるのを、口を開けて待っている[1]。小屋の屋根の上では、タルトやパンケーキがひとりでに大きくなっている[6]。
画面右奥には、焼かれたガチョウが自ら皿の上に身を横たえようとしており、その付近では、ナイフが背中に突き刺さった状態の焼かれたブタが駆けている様子が描かれている[1][6][7][8]。
出典
編集- ^ a b c d e f 『ブリューゲルへの招待』 2017, p. 65.
- ^ “The land of the Cockaigne, 1567 gedateerd”. Nederlands Instituut voor Kunstgeschiedenis. 2023年2月5日閲覧。
- ^ “今月の「みどころルーペ」 - 今月のMMM”. メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド. 2023年2月5日閲覧。
- ^ “Pieter van der Heyden - The Land of Cockaigne attributed to Pieter van der Heyden - The Land of Cockaigne”. The Museum of Fine Arts, Houston. 2023年2月5日閲覧。
- ^ “Luilekkerland, Pieter van der Heyden (attributed to), after Pieter Bruegel (I), 1567 - 1600” (英語). Rijksmuseum. 2019年9月23日閲覧。
- ^ a b Iwasaki, p. 110.
- ^ 吉川一義『プルーストと絵画 レンブラント受容からエルスチール創造へ』岩波書店、2008年2月、155頁。ISBN 978-4-00-024641-5。
- ^ Corrie (2001年8月11日). “Land of make-believe” (英語). The Guardian. 2023年2月5日閲覧。
参考文献
編集- 小池寿子『ブリューゲルへの招待』廣川暁生 監修、朝日新聞出版、2017年4月。ISBN 978-4-02-251469-1。
- Iwasaki, Soji. “The Political Discourse and the Iconography of Commonwealth in The Tempest” (PDF) (英語). 日本シェイクスピア協会. pp. 103-127. 2019年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月23日閲覧。