思春の泉』(ししゅんのいずみ)は、1953年昭和28年)11月3日公開の日本映画である。中川信夫監督、新東宝俳優座の製作提携作品、新東宝の配給作品である。白黒映画スタンダードサイズ、10巻 / 2,420メートル(1時間28分)。宇津井健の映画デビュー作である。のちに『草を刈る娘』(くさをかるむすめ)と改題した。

思春の泉
(草を刈る娘)
監督 中川信夫
脚本 館岡謙之助
原作 石坂洋次郎
製作 高木次郎
山崎喜暉
佐藤正之
出演者 左幸子
宇津井健
岸輝子
音楽 斎藤一郎
撮影 横山実
編集 長田信
配給 日本の旗 新東宝
公開 日本の旗 1953年11月3日
上映時間 88分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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概要

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原作は石坂洋次郎の小説『草を刈る娘』。東北の農村を舞台にした青春喜劇であり、岩手山麓の田頭村(現・岩手県八幡平市)でロケーションが行われた[1]。当時俳優座に所属していた宇津井健を映画デビューさせようとする作品でもあり、俳優座が提携し、千田是也岸輝子東野英治郎など俳優座のメンバーも多く出演している。

公開当時の朝日新聞夕刊(日時不詳)で高評価を受け、日本以外にソ連でも一般公開されるなど、中川信夫が監督した文芸映画の中では評価が高い部類に入っている[2]。また、中川は戦時中の映画製作本数減少にともない東宝を契約解除されているが、本作の公開後、東宝撮影所前のバス停で森岩雄東宝撮影所長(当時)から声をかけられ「東宝に帰ってきませんか」と誘いを受けて、中川いわく「グッときた」というエピソードが残っている[3]中川は東宝を契約解除になった日のことを「石をもて追はるる如くふるさとを出でしかなしみ消ゆることなし」という詩にしたためていたことをこの森との邂逅の後で思い出したと、後に自叙伝の中で語っている[1]

本作は後にメインタイトルを原作どおりの『草を刈る娘』に変えている。時期と経緯は不明だが、原作2度目の映画化である西河克己監督、吉永小百合主演の日活作品『草を刈る娘』(1961年)の前後にタイトルを変えて再上映されたものと推測される。CS日本映画専門チャンネルで放映された国立近代美術館フィルムセンター所蔵版(2007年7月24日初回放映)では、メインタイトルが『思春の泉』ではなく『草を刈る娘』となっているのが確認できる。ただし、現在においても正式名称は、キネマ旬報その他のデータベースでは『思春の泉』とされることから、本項目もそれに従った。

あらすじ

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東北の農民たちにとって、秋の馬草刈りは小屋掛けをして若者たちが大挙して集まる1年の中で最も楽しい時期であり、若者たちの間で恋が芽生える季節でもある。草刈りの陣頭指揮をするそで子婆さんとため子婆さんは毎年この時期に若者たちの縁組をまとめてきたが、今年はそれぞれ自分の村に住むモヨ子と時造の縁組をまとめようということになった。村娘たちに混ざって裸になり泉で水浴びするモヨ子に時造は胸をときめかせ、2人の婆さんが訪ねた占い師はこの縁談が吉であると予言して滑り出しは快調だったが、時造に気のある村の芸者チョン丸が2人の間に割って入ったり、時造がモヨ子を押し倒して乱暴を働く事件が起こったりして、雲行きが怪しくなってくる。2人の諍いは、やがてそで子婆さんとため子婆さんの喧嘩に飛び火し、二つの村を巻き込んだ騒動に発展していくのだった。

スタッフ

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キャスト

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参考文献

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脚注

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  1. ^ a b 『自分史 わが心の自叙伝』、p.36.
  2. ^ 『インタビュー 全自作を語る』、p.211. 『映画監督 中川信夫』のp.210にはソ連公開時のポスターが図版掲載されている。
  3. ^ 『自分史 わが心の自叙伝』、p.36、および『インタビュー 全自作を語る』、p.211。

関連項目

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外部リンク

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