病気不安症
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病気不安症(びょうきふあんしょう、英: illness anxiety disorder)とは、身体の徴候や症状の誤った解釈のため、病気にかかるあるいはかかっているとの思い込みが6か月以上持続しており、それが著しい苦痛や機能の障害を呈している精神障害である[1]。病気に関する不安に著しくとらわれ、正常を逸脱している。『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版のDSM-Vの診断名である。第4版のDSM-4では心気症(英:hypochondriasis)と呼ばれていた。
病気不安症 | |
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概要 | |
診療科 | 精神医学, 心理学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | F45.2 |
ICD-9-CM | 300.7 |
MeSH | D006998 |
特にADHDやアスペルガー症候群などの精神疾患をもった患者に多いが、大半は思い込みによる状態が多く悪化する心配はない。成人してその症状が出た場合は両親などに原因があることが多い。
DSM-IVにおける診断基準の1つは身体醜形障害ではないことを要求している。
DSM-5では医療を求める型と、避ける型を特定するよう記載されている。
頭痛や胃痛といった、些細な心身の不調を誤って解釈し、「がんなどの重篤な病気にかかっているのではないか」と思い込んでいるものである。いくら検査などで身体に異常がないと指摘されても、容易に考えを変えることができず、病院を転々とすることもしばしばある。たとえば、バルザックの『谷間の百合』に出てくるモルソフ伯爵がこれにあたる[2]。
治療法については、「病気不安症#治療」を参照。
定義
編集精神医学的障害の一種である。
治療
編集心理療法
編集認知行動療法
編集病気不安症は、不安症の一種であり、認知行動療法が有効である[3]。
まず治療者は、個々の身体感覚についての認知モデルを示しながら、別の安心できる説明・解釈(事実に基づいている)を提示し、患者が苦痛・恐怖の少ない解釈を採用できるよう支援する[4]。その際、従来の解釈と別の解釈、それぞれのメリットと証拠についての再調査や議論を行ったり、それぞれの解釈の妥当性を検証するための行動実験(治療者のサポートのもと、従来の解釈・別の解釈の妥当性を、実際の行動を伴って検証すること)を行ったりして、安心できる解釈のほうを採用できるようサポートする[5]。
また、不安感への対処方法(気をそらすスキルやリラクゼーションなど)を習得できるよう支援することも有効である[6]。
病気不安症の治療目標は、身体感覚の除去ではなく、上記のように病気に対する不安感や信念を軽減したり、対処方法の習得をサポートしたりして、心理的な苦痛を和らげることである[6]。
出典
編集- ^ 『DSM-IV-TR』§心気症。
- ^ 中外医学社『コメディカルのための専門基礎分野テキスト 精神医学』171ページ
- ^ Clark, D. M., & Fairburn, C. G. 伊豫雅臣(監訳) (2003). 認知行動療法の科学と実践 星和書店, 219頁.
- ^ Clark, D. M., & Fairburn, C. G. 伊豫雅臣(監訳) (2003). 認知行動療法の科学と実践 星和書店, 227-228頁.
- ^ Clark, D. M., & Fairburn, C. G. 伊豫雅臣(監訳) (2003). 認知行動療法の科学と実践 星和書店, 227-228, 236, 240-241頁.
- ^ a b 『認知行動療法事典』丸善出版、2019年、362-363頁。