御厨
施設・領地
御厨(みくり、みくりや)とは、「御」(神の)+「厨」(台所)の意で、神饌を調進する場所のことである。本来は神饌を用意するための屋舎を意味する。御園(みその、みそのう)ともいう。
概要
編集本来は神饌を調理するための屋舎を意味するが、表現の一種として神饌を調進するための領地も意味する。そこに生産者(漁民など)が神人として属していた。
神社は神田、神郡、神戸といった領地を持っていたが、平安時代中期以降荘園が増え神社も権禰宜による自墾地系の地域の特産品を納めるかわりに神税を免除される御厨・御園という名の荘園を持つようになる。その後、権禰宜の仲介で武士からの寄進地系の御厨・御園が増加していった[1]。
中世日本においては、皇室や伊勢神宮、賀茂神社など、有力な神社が荘園(神領)を持ち、後に地名及び名字として残った。鎌倉時代には全国各地に約500か所を数えるほどになっていた[2]。また中世では、たびたび武士団によって略奪・押領される(武士の領地化)といったことが起こっている。特に関東の相馬御厨や大庭御厨は源義朝の濫行で歴史上有名である。
主な御厨
編集現代に残る地名
編集市町村名に限らず、大字や小字として日本各地に「御厨」の地名が残っている。群馬県桐生市や大阪府東大阪市、長野県長野市等に存在する。長崎県松浦市と静岡県磐田市には、「御厨駅」という駅もある。
過去には以下のような「御厨」を冠する市町村があった。
脚注
編集出典
編集- ^ 新田 2014, p. 33.
- ^ 『男衾三郎絵詞 伊勢新名所絵歌合』 1978, p. 110.
参考文献
編集- 小松茂美 編『男衾三郎絵詞 伊勢新名所絵歌合』解説:源豊宗、中央公論社〈日本絵巻大成12〉、1978年5月。ASIN B000J8OR4S。
- 新田功「観光の原点としての伊勢参宮についての経済的・統計的考察」(PDF)『新情報』第102巻、新情報センター、2014年11月、32-41頁、国立国会図書館サーチ:R000000004-I025893472、2024年9月18日閲覧。