彼方
『彼方』(かなた、Là-Bas)は、フランスの作家、J・K・ユイスマンスによる長編小説。
テーマ
編集作品のテーマは、現代フランスのサタニズム(悪魔主義)。最初『エコー・ド・パリ』紙に連載された。第1回は1891年2月15日号で、多くが保守的な『エコー・ド・パリ』購読者はそのテーマに衝撃を受け、編集部に連載を中止するよう抗議した。だが連載は続けられ、同年4月には「Tresse et Stock」から1冊の本として発売された。しかしこの時もフランスの鉄道駅は本の販売を拒んだ。
なお主人公のデュルタルは、引き続きユイスマンスの小説『大伽藍』『献身者』でも主役を務めている。
あらすじ
編集小説家のデュルタルは空虚で品性のない現代世界に厭いている。中世の研究をすることに心の救いを求めるが、ある時、15世紀の悪名高き幼児虐殺魔ジル・ド・レイのことを知り、サタニズムについて調べ出す。そしてパリで、サタニズムはけっして過去の遺物ではなく、現代フランスにも生き続けていることを知る。そして、愛人シャントルーヴ夫人の案内で、デュルタルは遂に黒ミサに列する。
翻案
編集ノーマン・メイラーが本作に基づいてレーゼシナリオ『黒ミサ(原題:Trial of the warlock)』を書き、野島秀勝により翻訳され1977年に集英社から刊行された[1]。
参考文献
編集- Robert Baldick The Life of J.-K. Huysmans (OUP, 1955; revised by Brendan King, Dedalus, 2006)
- Là-Bas translated as The Damned by Terry Hale (Penguin Classics, 2001)