年度
概要
編集会計など事務作業を目的としたものが中心で、またその多くは政府機関や業界団体等により決定されている。
例えば会計の年度を会計年度と言う。また学校の年度は学校年度、砂糖の収穫の統計に関わる年度は砂糖年度、といった方法で命名されている。
語法
編集年度の中には欧米での行政の会計年度などのように、通常の暦年(暦の上での年)と開始点・終了点が一致するものもある。
日本では多くの場合、グレゴリオ暦の1月1日以外を開始点とするものが狭義の「年度」とされ、暦年と区別する意味で「年度」と呼んでいる。ただし、暦策定の目的ではない特定の目的で計算などをするために「1年」を定める必要がありそのための開始日を任意に定めており、たまたま1月1日でも良いのでそうしている場合も「年度」と呼ぶ。また、単に「○○年の」という意味で「○○年度」という表現が誤って使われている場合もある。
年数の表現
編集各年度は「平成13年度」と表現することが多い。つまり通常の暦法による年表記に「度」を付け加えて年度の表記とする。年度途中で改元があった場合の表記であるが、平成元年(1989年)3月に議決された補正予算は「昭和六十三年度補正予算」とされていたが、昭和元年(1926年)12月に議決された追加予算は「大正十五昭和元年度」と併記されていた[3]。
西暦は世界共通表記の為、「2001 / 02年度」「2001 / 2002年度」とは表記使用しない。年度とは、元号に対して使用する日本独自の表記になる。
様々な年度の一覧(各地域概要)
編集各例には国名を明示していても、それらの国以外での有無について言及するものではない。
「+」が付いている年度は同じ年数の暦年に開始し、「-」が付いている年度は前年に開始する。印のない年度は、不明、あるいは、原則として2暦年を併記する。
会計年度
編集各民間企業の会計年度の開始月や決算月は、法人設立時に任意に定めることができる。たとえば10月に始まり9月に終わるとしても良いし、2月に始まり1月に終わるとしてもよい。また、開始月を、所定の手続きにしたがうかたちで変更することもできる[4]。
学校年度
編集学校における一学年の期間。
- スリランカ、バングラデシュ、東ティモール、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、タンザニア、ルワンダ、エルサルバドル、グアテマラ、コロンビア - 1月開始。
- ウガンダ、モザンビーク、ニカラグア、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、ホンジュラス - 2月開始。
- 韓国、ペルー - 3月開始。
- 日本、北朝鮮、インド、パキスタン、ネパール、エクアドル(海岸地域) - 4月開始。
- タイ - 5月開始。
- フィリピン、ミャンマー、スーダン - 6月開始。
- インドネシア - 7月開始。
- ドミニカ共和国 - 8月開始。
- ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、中国、ベトナム、ラオス、エジプト、エチオピア、ガーナ、カメルーン、シエラレオネ、マラウィ、エクアドル、ハイチ - 9月開始。
- カンボジア、ギニア、ギニア・ビサウ、セネガル、トーゴ、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マリ - 10月開始。
他
編集- 農作物・加工品
- いも年度 - 日本、9月開始+[5]。
- 生糸年度 - 日本、6月開始+[5]。
- 砂糖年度 - 日本、10月開始+(砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律2条8号で規定)[5][6]。
- 大豆年度 - 日本、10月開始+[5]。
- でん粉年度 - 日本、10月開始+(砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律2条8号で規定)[5]。
- 穀物年度 - アメリカ、9月開始[7]。
- 小麦年度
- トウモロコシ年度
- 米穀年度 - 日本、11月開始-[10][5]。
- コメ年度 - 中国、1月開始[9]。
- 麦年度 - 日本、7月開始+[5]。
- わら工品年度 - 日本、11月開始+[5]。
- 綿花年度 - 日本、8月開始-[5]。
- 羊毛年度 - 日本、7月開始-[5]。
- 醸造年度(酒造年度) - 日本、7月開始-。酒造業界用の年度。日本では国税庁が規定した7月開始のものが使われている[11]。
- 工業製品
日本の年度
編集現在の日本における具体的な年度の例としては、4月1日から翌年3月31日までを括る「新年度」や「会計年度」、「学校年度」などが一般にも用いられる。本来は種類を特定して使用するのが妥当であるものの、国の会計年度や学校年度が4月から3月までのため、単に年度といった場合、4月からのものを意味するのが一般的である。国の法律でも例えば、国と地方の協議の場に関する法律第4条第1項など、この用例は多い。この区切りは明治時代から続く。
以下の表に、日本の年度を記す。
暦年 | 前年 | 今年 | 次年 | |||||||||||||||||||||||||
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7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | |
羊毛年度 | 今年度 | 次年度 | 次々年度 | |||||||||||||||||||||||||
綿花年度 | 今年度 | 次年度 | 次々年度 | |||||||||||||||||||||||||
農薬年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
米穀年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
貿易年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
会計年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
学校年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
生糸年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
肥料年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
麦年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
酒造年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | |||||||||||||||||||||||||
いも年度 | 前々年度 | 前年度 | 今年度 | 次年度 | ||||||||||||||||||||||||
砂糖年度 | 前々年度 | 前年度 | 今年度 | |||||||||||||||||||||||||
大豆年度 | 前々年度 | 前年度 | 今年度 | |||||||||||||||||||||||||
でん粉年度 | 前々年度 | 前年度 | 今年度 | |||||||||||||||||||||||||
わら工品年度 | 前々年度 | 前年度 | 今年度 | |||||||||||||||||||||||||
暦年 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
前年 | 今年 | 次年 |
日本では、「昭和57年度」(1982年4月 - 1983年3月)、「平成23年度」(2011年4月 - 2012年3月)のように元号で年度を呼ぶ場合もある。その際、2つの元号に跨る年は、その年度の開始時点での元号を採用する。例えば4月開始の年度の場合、1989年は1月8日改元なので、1988年度は「平成元年度」ではなく「昭和63年度」と表す。ただし、日本の会計年度では特例として、2019年4月からを「令和元年度」とする申合せがなされている[13]。
脚注
編集出典
編集- ^ 大辞泉「年度」
- ^ 日本の国として生活の節目の新年である「新年度(しんねんど)」の期間は毎年4月1日から翌年3月31日までとも考えられ、お隣の国の韓国の新年度の期間は毎年3月1日から翌年2月末日までである。
- ^ 昭和元年12月29日官報第3号
- ^ ただし個人事業主は税法により1月1日に始まり12月31日に終わると定められている。
- ^ a b c d e f g h i j k 種類別の年度区分 (PDF) やまがたアグリネット(山形県)、2011年6月13日閲覧。
- ^ 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 e-Gov
- ^ 米国農務省2012/13年度のトウモロコシの生産見通しを据え置く 世界の飼料穀物の需給動向 - 農畜産業振興事業団
- ^ a b 国際価格と需給体制の変化 - 伊東正一
- ^ a b c 中国の食糧需給問題 農林水産省
- ^ ミニマム・アクセス米に関する報告書 p.17(注1) 農林水産省
- ^ 酒造りの区切りとしての「酒造年度」(BY) 酒のシーズン入りの「酒造元旦」としての「日本酒の日」 月桂冠株式会社
- ^ “業界展望 - 10大ニュース”. 全国肥料商連合会. 2013年3月25日閲覧。
- ^ 改元に伴う元号による年表示の取扱いについて 平成31年4月1日 新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議申合せ