岩波駅
岩波駅(いわなみえき)は、静岡県裾野市岩波にある、東海旅客鉄道(JR東海)御殿場線の駅である。駅番号はCB13。
岩波駅 | |
---|---|
駅舎(2022年6月) | |
いわなみ Iwanami | |
◄CB12 富士岡 (4.7 km) (5.4 km) 裾野 CB14► | |
所在地 | 静岡県裾野市岩波64-1 |
駅番号 | CB 13 |
所属事業者 | 東海旅客鉄道(JR東海) |
所属路線 | ■御殿場線 |
キロ程 | 45.3 km(国府津起点) |
電報略号 | ワナ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線 |
乗車人員 -統計年度- |
1,457人/日(降車客含まず) -2021年- |
開業年月日 | 1944年(昭和19年)12月8日 |
備考 |
概要
編集裾野市の深良地区にある駅。地区の北部に位置し、裾野市と御殿場市の境界線が駅の500mほど北を通っている。かつては深良村内唯一の鉄道駅であった。
御殿場線がまだ東海道本線の一部であった1911年(明治44年)5月に開設された岩浪信号所が、岩波駅の前身である。岩波信号場に変更された後、第二次世界大戦中の1944年(昭和19年)12月に旅客営業を行う岩波駅となった。1987年(昭和62年)4月に実施された国鉄分割民営化により、運営事業者は日本国有鉄道(国鉄)からJR東海に移っている。
歴史
編集- 1911年(明治44年)5月1日:国有鉄道東海道本線の岩浪信号所として、御殿場駅 - 佐野駅(現・裾野駅)間に開業[1]。
- 1912年(明治45年)7月18日:岩波信号所に改称[1]。
- 1922年(大正11年)4月1日:岩波信号場に変更[1]。
- 1934年(昭和9年)12月1日:熱海駅 - 沼津駅間開通に伴い、東海道本線国府津駅 - 岩波駅 - 沼津駅間は御殿場線に改称[2]。
- 1943年(昭和18年)7月11日:御殿場線単線化。付近は1891年(明治24年)に複線化されていた。
- 1944年(昭和19年)12月8日:岩波駅に昇格、旅客営業を開始[1]。
- 1946年(昭和21年)3月5日:荷物の取扱いを開始[1]。
- 1968年(昭和43年)7月1日:御殿場線御殿場駅 - 沼津駅間の電化に伴い、構内を電化。スイッチバックを廃止。
- 1969年(昭和44年)7月31日:専用線を発着する貨物の取扱いを開始[1]。
- 1971年(昭和46年)2月1日:荷物の取扱いを廃止[1]。
- 1982年(昭和57年)11月15日:貨物の取扱いを廃止[1]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、東海旅客鉄道(JR東海)の駅となる。
- 1989年(平成元年)
- 2010年(平成22年)3月13日:ICカード「TOICA」の利用が可能となる[6]。
- 2019年(令和元年)5月26日:新設の地上駅舎(多機能トイレ付)、上り線ホーム(2番線)の供用開始[7][8]。
- 2020年(令和2年)11月29日:新設するエレベーターの供用開始[9][7]。
駅構造
編集単式ホーム2面2線を持つ地上駅。下り列車は東側のホーム(1番線)を使用し、上り列車は西側のホーム(2番線)を使用する。駅構内の北側に保線車両留置用の側線がある。
2019年5月26日をもって駅舎が地上に移設され、新設する上り線ホーム(2番線)、多機能トイレが新たに使えるようになり、2020年11月29日にはエレベーターを新設し供用を開始した。また、上り線ホーム新設後は従来のホーム上り線側に転落防止柵が新設される[7][8]。
駅舎移設前は島式ホーム1面2線で、1989年に建設されたガラス張りの橋上駅舎を使用していた[3]。駅事務所や改札口は2階にあり[3]、1階のホームや構内西側にある出入口に階段が下りる構造であった。駅舎内にはJR全線きっぷうりばとICカード対応のタッチパネル式の自動券売機が設置されていた。駅舎機能が地上に移った後も、旧駅舎の跨線橋部分については下り線ホームへの通路として使用されている。
駅開業時はスイッチバック駅[注釈 1]で、本線から分岐する行止りの引き上げ線に接して単式ホーム1面が設置されていた。1968年(昭和43年)の電化に伴い、ホームは本線上の勾配区間に移転し、スイッチバックは解消された。この時のホームは移転前と同じく単式ホームであったが、分割民営化後にホームの一部を削り2番線が新設され、島式ホームとなった。駅の沼津寄りには、引き上げ線の痕跡である築堤が、草木に埋もれながらも残っている。
当駅は業務委託駅であり[4]、東海交通事業の係員が駅業務を行っているが、夜間は係員が配置されない無人駅となっている[4]。また、管理駅である裾野駅が当駅を管理している[4]。
のりば
編集番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | 御殿場線 | 下り | 沼津方面[注釈 2] |
2 | 上り | 御殿場・国府津方面[注釈 2] |
-
改札口(2022年6月)
-
1番線ホーム(2022年6月)
-
2番線ホーム(2022年6月)
-
エレベーター外観(2022年6月)
貨物取扱
編集国鉄時代の1969年(昭和44年)から1982年(昭和57年)まで、当駅でも貨物営業を行っていた。
1966年(昭和41年)10月から本格的に開始された[10]鉄道(車運車)による自動車輸送の一つ基地として、1968年(昭和43年)10月に沼津駅に自動車輸送基地が新設された[11]。1969年7月には、当駅に接続するトヨタ自動車の専用線が建設され、沼津駅の基地は廃止された[11]。
トヨタ自動車の専用線は、岩波駅の北1kmほどの場所で御殿場線から分岐し、カーブを描きトヨタ自動車の敷地へ入っていた。途中には、川を渡る橋や東名高速道路の高架下を潜る場所があり、線路の終点はトヨタ自動車東日本(旧関東自動車工業)東富士工場の裏側(駅反対側)辺りにあった。1970年の「専用線一覧表」によれば、専用線の作業キロは0.9km、総延長は2.2kmで、構内作業は国鉄の機関車によって行われていた[12]。このトヨタ自動車専用線は、1982年11月に廃止されている[10]。
利用状況
編集「静岡県統計年鑑」によると、2021年度(令和3年度)の1日平均乗車人員は1,457人である[静岡県 1]。
1993年度(平成5年度)以降の推移は以下のとおりである。
乗車人員推移 | ||
---|---|---|
年度 | 1日平均 乗車人員 |
出典 |
1993年(平成 | 5年)1,679 | [静岡県 2] |
1994年(平成 | 6年)1,641 | [静岡県 3] |
1995年(平成 | 7年)1,595 | [静岡県 4] |
1996年(平成 | 8年)1,621 | [静岡県 5] |
1997年(平成 | 9年)1,517 | [静岡県 6] |
1998年(平成10年) | 1,484 | [静岡県 7] |
1999年(平成11年) | 1,401 | [静岡県 8] |
2000年(平成12年) | 1,404 | [静岡県 9] |
2001年(平成13年) | 1,448 | [静岡県 10] |
2002年(平成14年) | 1,425 | [静岡県 11] |
2003年(平成15年) | 1,441 | [静岡県 12] |
2004年(平成16年) | 1,429 | [静岡県 13] |
2005年(平成17年) | 1,473 | [静岡県 14] |
2006年(平成18年) | 1,721 | [静岡県 15] |
2007年(平成19年) | 1,939 | [静岡県 16] |
2008年(平成20年) | 2,117 | [静岡県 17] |
2009年(平成21年) | 2,223 | [静岡県 18] |
2010年(平成22年) | 2,156 | [静岡県 19] |
2011年(平成23年) | 2,010 | [静岡県 20] |
2012年(平成24年) | 1,973 | [静岡県 21] |
2013年(平成25年) | 2,032 | [静岡県 22] |
2014年(平成26年) | 1,998 | [静岡県 23] |
2015年(平成27年) | 2,123 | [静岡県 24] |
2016年(平成28年) | 2,163 | [静岡県 25] |
2017年(平成29年) | 2,134 | [静岡県 26] |
2018年(平成30年) | 2,121 | [静岡県 27] |
2019年(令和元年) | 2,095 | [静岡県 28] |
2020年(令和 | 2年)1,575 | [静岡県 1] |
2021年(令和 | 3年)1,457 |
駅周辺
編集バス路線
編集富士急モビリティ、裾野市自主運行バスが発着する。停留所名は岩波富士見橋。
- 富士急モビリティ
- 裾野市自主運行バス(運行事業者:富士急シティバス) ※平日(水・金、祝日・お盆休み・年末年始を除く)のみ運行
- 裾野市内循環線青葉台・岩波ルート:裾野駅
- 東西線(2024年4月1日~同年9月30日の間実証運行):裾野駅
隣の駅
編集脚注
編集記事本文
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 2』 JTB、1998年
- ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 1』 JTB、1998年
- ^ a b c “JR御殿場線の岩波駅で駅舎完成セレモニー” 静岡新聞 (静岡新聞社): p19. (1989年6月22日 朝刊)
- ^ a b c d 東海旅客鉄道編集 『東海旅客鉄道20年史』 東海旅客鉄道、2007年
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 90年版』ジェー・アール・アール、1990年8月1日、172頁。ISBN 4-88283-111-2。
- ^ 『平成22年3月 TOICAがますます便利になります!!』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2009年12月21日。オリジナルの2020年12月19日時点におけるアーカイブ 。2020年12月19日閲覧。
- ^ a b c 『御殿場線 岩波駅 新駅舎及び新上りホームの供用開始について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2019年5月13日。オリジナルの2020年4月3日時点におけるアーカイブ 。2020年4月3日閲覧。
- ^ a b 「新駅舎・ホーム 26日から使用 JR岩波駅」『日本経済新聞』朝刊2019年5月14日(静岡経済面)2019年5月14日閲覧。
- ^ 『御殿場線 岩波駅 エレベーター等の供用開始について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2020年11月11日。オリジナルの2020年11月11日時点におけるアーカイブ 。2020年11月11日閲覧。
- ^ a b 貨物近代化史編集委員会編 『鉄道貨物輸送近代化の歩み』 日本貨物鉄道、1993年
- ^ a b 遠藤浩一 「30年の歴史に終止符をうったク5000形」『鉄道ピクトリアル』 通巻第627号、1996年
- ^ 名取紀之・滝沢隆久編 『トワイライトゾ〜ンMANUAL 12 全国鉄道面白謎探検』 ネコ・パブリッシング、2003年
- ^ “トヨタの未来都市「ウーブン」が着工、入居は4年以内に”. 朝日新聞デジタル. (2021年2月23日). オリジナルの2021年2月24日時点におけるアーカイブ。 2021年2月24日閲覧。
- ^ “トヨタ、「Woven City」地鎮祭を実施”. トヨタ. (2021年2月23日). オリジナルの2021年2月24日時点におけるアーカイブ。 2021年2月23日閲覧。
利用状況
編集- 静岡県統計年鑑
- ^ a b “6.鉄道運輸状況(JR)” (xls). 長期時系列【統計年鑑編】(県・市町村の変遷~商業). 静岡県. 2024年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月14日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1993(平成5年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1994(平成6年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1995(平成7年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1996(平成8年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1997(平成9年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1998(平成10年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1999(平成11年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2000(平成12年). 静岡県. p. 338 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2001(平成13年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2002(平成14年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2003(平成15年). 静岡県. p. 284 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2004(平成16年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2005(平成17年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2006(平成18年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2007(平成19年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2008(平成20年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2009(平成21年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2010(平成22年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2011(平成23年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2012(平成24年). 静岡県 (2014年5月1日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2013(平成25年). 静岡県 (2015年5月11日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2014(平成26年). 静岡県 (2016年5月2日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2015(平成27年). 静岡県 (2017年5月2日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2016(平成28年). 静岡県 (2018年3月29日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2017(平成29年). 静岡県 (2019年3月27日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2018(平成30年). 静岡県 (2020年3月17日). 2020年3月25日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2019(令和元年). 静岡県 (2021年3月23日). 2021年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月24日閲覧。