山形県県民会館
山形県県民会館(やまがたけんけんみんかいかん、Yamagata Prefectural Hall)は、山形県山形市で運営されていた県内では最大規模の多目的ホール。新会館「やまぎん県民ホール」(山形県総合文化芸術館)が同市双葉町に開館することに伴い、2019年11月30日で閉館した。
山形県県民会館 (やまぎんホール) Yamagata Prefectural Hall | |
---|---|
情報 | |
通称 | 県民会館、山形県民会館 |
完成 | 1962年 |
開館 | 1962年7月10日 |
閉館 | 2019年11月30日 |
収容人員 | 約1,700人 |
客席数 |
大ホール 1,496席 地下講堂 150席(移動席) |
設備 | 大ホール、地下講堂、楽屋、展示室、会議室、こども館 |
用途 | 各種コンサート、音楽大会、式典、講演会、会議 等 |
運営 | ステージアンサンブル東北支社 |
所在地 | 山形県山形市七日町3-1-23 |
位置 | 北緯38度15分19.9秒 東経140度20分27.3秒 / 北緯38.255528度 東経140.340917度座標: 北緯38度15分19.9秒 東経140度20分27.3秒 / 北緯38.255528度 東経140.340917度 |
アクセス | JR山形駅東口から車で約10分 |
2009年4月から指定管理者制度の導入によってステージアンサンブル東北支社が管理・運営を行い[1]、2013年3月に山形銀行が命名権を取得[2]。4月から「やまぎんホール」の愛称が用いられていた[3]。
概要
編集第二次世界大戦の終結による混乱が収まり、生活にゆとりが出てくると県民の間で、豊かな芸術文化の享受を求める声があがり、そのための施設の整備が喫緊の課題となった。また経済や自治さらには教育などの活発化に伴い、大規模な集会場を求める声も聞かれるようになった。こうした要望を踏まえ、県は1959年7月、「県民会館(図書館併設)建設計画(案)」を策定。県民会館建設は緒に就いた[4]。
山形県県民会館は、設計が山下寿郎設計事務所、施工を大成建設が手掛け、県庁(現:文翔館)正面に建設され、1960年11月3日に着工、1962年6月竣工し7月開館した[5]。
建物は鉄筋コンクリート製地下1階、地上4階建で、約2000名収容の大ホールのほか小講堂などが備えられた。また付属施設として県立図書館が併設され72,000冊が蔵書可能な三層積層の書架や閲覧室等が設けられた[5]。1990年7月、県民会館から至近の緑町一丁目の旧知事公舎跡に新築された複合施設である遊学館が開館した際には県立図書館も併設された。図書館跡には山形県こども館(現:やまぎんこども館)が開館している。
その後、県民会館の老朽化が顕著となったため、県は1992年から新文化施設の検討を開始し、2000年には基本設計を策定。翌年にはJR山形駅西口に新文化施設を建設するための用地を68億円で購入した。しかし、2005年1月に山形県知事に当選した斎藤弘は財政規律を重んじる方針を唱え[6]、県は平成17年度補正予算発表時に計画の凍結を表明。県民会館の継続運用を発表した。
継続運用の方針に則り、2005年11月下旬から2006年3月31日の期間に耐震補強、内装改修、アスベスト除去の工事が行われ、同年10月31日には外壁の耐震化工事も完了した。改修を経てホール内の雰囲気が明るくなり、音響面で多少の改善は見られたが、音楽向きのホールとは未だ言えないとの声も一部では聞かれた。
2009年1月、斎藤弘を破り知事に初当選した吉村美栄子は、新文化施設予定地を空き地のままにしておくことについて監査した専門家が「年間約1億5千万円の機会損失が生じている」と指摘したことを受け、計画再開を決断[6]。2012年には有識者懇談会を立ち上げ、県は2014年3月には施設の概要を策定し、2016年2月には実施設計概要も公表した。
新県民文化施設は山形駅西口の山形市双葉町一丁目に鉄骨鉄筋コンクリート造りなどで建設し、地上5階、地下1階(延べ床面積約1万6100平方メートル)で構成され、県が県土地開発基金から事業用地を買い戻す約67億5700万円を除き、整備事業費は約143億円を見込み[7]、2018年度の完成、2019年度中の開業を予定していた。しかし、建設業界の人手不足に加え、東日本大震災以降の復興需要の高まりなどに伴う労務費の高騰などから、3度目の入札でようやく建築主体業者が決したため[8]、工期が約半年ほど伸び、整備事業費も当初より5億円ほどの増加を見込んだ。2018年2月、新県民文化施設の名称について県は、内部検討の上で「県総合文化芸術館」としたと発表した[9]。
閉館
編集新会館「やまぎん県民ホール」(山形県総合文化芸術館)が2019年12月1日にプレオープンすることに伴い、11月30日を以て閉館した。最後のステージは前日から「ユニコーン100周年ツアー“百が如く”」で、山形公演をしていた「ユニコーン」が飾った[10][11]。2020年1月、ユニコーンのメンバーである山形県出身のABEDONこと阿部義晴を起用した特別番組「ABEDON from ユニコーン presents "ありがとう山形県県民会館"」が日テレプラスにて放送された。会館の歴史を刻むように長年大ホールのステージに設えられていたグランドピアノ「スタンウェイ」を演奏、大ホールに響かせる最期の音色とした[12][13]。なお、併設の山形県こども館は、山形市のべにっこひろばなど屋内遊戯施設が各地に整備されたことなどから、閉館が決まり、2020年2月29日に幕を閉じた[14]。
施設
編集- 大ホール
- 地下講堂
- 定員150名(移動席。机使用の場合は120人)。コンサートに使われる他、リハーサル会場としても使用されている。
- 楽屋
- 展示室
- 会議室
(付帯施設)
- こども館
アクセス
編集脚注
編集- ^ “会館 各種業務委託 / 施設管理運営”. 株式会社 ステージアンサンブル東北. 2017年3月1日閲覧。
- ^ 命名権:県民会館→「やまぎんホール」に こども館含め協定 来月から3年間 /山形 - 毎日.jp、2013年3月7日配信
- ^ 「「山形県県民会館」ならびに「山形県こども館」のネーミングライツ(施設命名権)契約の更新について」『』山形銀行、2016年3月14日。オリジナルの2016年3月28日時点におけるアーカイブ。2017年3月1日閲覧。
- ^ 『山形県史 第7巻 (現代編 下)』p.457
- ^ a b 『大成クォータリー (8) 』1963年、大成建設。
- ^ a b 「教えて!がってん 山形駅前に県の文化施設ができるの」『朝日新聞』山形版 2014年1月18日
- ^ 「山形駅西口拠点施設、19年度開館へ 7月から工事発注」『』山形新聞、2016年5月30日。オリジナルの2016年5月31日時点におけるアーカイブ。2017年3月1日閲覧。
- ^ 「新県民文化施設、安藤など4社JVが落札 県、3度目の入札」『』山形新聞、2017年2月25日。オリジナルの2017年2月25日時点におけるアーカイブ。2017年3月1日閲覧。
- ^ 「名称は「県総合文化芸術館」に JR山形駅西口の新拠点施設」『』山形新聞、2018年2月16日。オリジナルの2018年3月10日時点におけるアーカイブ。2018年3月9日閲覧。
- ^ “山形県県民会館が57年の歴史に幕 ユニコーンが最後を飾る”. オリコンニュース. (2019年12月1日) 2019年12月5日閲覧。
- ^ 「県民会館、57年の歴史に幕 運営33年間・高橋館長、観客の喜び原動力」『』山形新聞、2019年12月1日。オリジナルの2019年12月1日時点におけるアーカイブ。2019年12月5日閲覧。
- ^ “ABEDON from ユニコーン presents“ありがとう山形県県民会館””. 日テレプラス. 2020年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月13日閲覧。
- ^ “日テレプラスにて「ABEDON from ユニコーン presents "ありがとう山形県県民会館"」オンエア決定!”. Sony Music Artists (2019年11月29日). 2020年5月13日閲覧。
- ^ “山形)県こども館、27年の歴史に幕 133万人利用”. 朝日新聞デジタル. (2020年3月1日) 2020年4月10日閲覧。
参考文献
編集- 山形県編 『山形県史 第7巻 (現代編 下)』山形県、2004年。
外部リンク
編集- 山形県県民会館 - ウェイバックマシン(2019年7月4日アーカイブ分)
- やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)